女子高生占い師の事件簿

凪子

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【1】ハーモニクス アストロジー

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「今日も寄ってくだろ?」

ギターの少年・りつが、明らかにほっとした様子で恵果に近づいて声をかけた。

その律よりも年上のスーツの若者・比呂ひろも、如才じょさいなく女子の群れをかわして、こちらにやってくる。

美蘭はいつも、この光景を不思議な気持ちで見守っている。

いわば恵果は、ファンの女子集団にとって最大の敵である。

しかも、ある意味、強引とも言える方法で二人のサービスタイムを終わらせる。

文句を言われたり、睨みつけられてもおかしくないところだ。

だが、なかなかどうして、そんなことにはならない。

彼女たちの中では、『恵果が二人に声をかけるところまで』が許された時間だということが、暗黙の了解になっている。

特別待遇をうらやましがる少女もいるけれど、腹いせに恵果に危害を加えようとする者は皆無かいむだ。
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