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【1】ハーモニクス アストロジー
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しおりを挟む気がつくと、曲は終わり、ストリートライブに集まった人だかりは散らばっていくところだった。
【RITZ】の二人は、女子高生やOLに囲まれて、愛想よく返事したり、手紙や花をもらっていたりする。
ちょっとしたファンクラブもできそうな勢いだ。
二人の――というより、ボーカルの男のカリスマ性は、美蘭もよく知るところだった。
彼は天性のものとしか思えない、『人目を惹く力』を持っている。
「お疲れさま」
その女子集団から、少し離れたところに恵果は立っていた。
女子の群れに囲まれながらも、二人はすぐに恵果の声を察知してそちらに目をやる。
そして、恵果は目が合うと、にっこり微笑む。
それを合図に人波が解けて、二人はミュージシャンから普通の人間に戻る。
藤森比呂と、五十嵐律という人間に。
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