守護霊は吸血鬼❤

凪子

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「なるほどな」

今まで黙っていたヴァンが、納得したように言って、聖の足を見つめた。

「お前は守られてばかりのお姫様かと思っていたら、どうやら違ったらしい」

(いや、違わないよ)

聖の陰鬱な自嘲に、ヴァンは軽く眉を上げた。

(試合のときは、無意識だったから動けたんだ。その後どんなことになるかなんて、考える暇もなかった。
だけど、さっきは……さっきのが俺の本当なんだ。俺は臆病で無力だ。自力で由宇を助けたいと思ったのに、足がすくんで動けなかった)

ヴァンはふんと鼻を鳴らす。

「臆病。結構じゃないか。だいたい、そんなつまらないことで怪我をされては困る。お前の血が飲めなくなるだろうが」

このうえなく甘美な血の味をかみ締めるようにして、ヴァンは桃色の舌をちろりと覗かせる。

聖は屈辱が脳裏に鮮烈によみがえって、ぱっと目を逸らした。

(つまらないって何だよ!由宇は俺の親友だぞ!)

「向こうはそうは思っていないようだがな」

と、涼しい顔でさらりとヴァンは言い刺した。

(え?)

思考が停止し固まった聖の前で、由宇は申し訳なさそうに言った。

「聖。それで、悪いんだけど今日は俺、ついて行けそうにないんだ。親も来るだろうし、医者にも安静にしておけって言われちまったし」

「あ、ああ。大丈夫、分かってるよ」

由宇はヴァンのほうをじっと睨んでいたかと思うと、鞄から取り出した手帳にさらさらと地図と電話番号を書いて聖に手渡した。

「この場所にある神社に行けばいい。そうしたら祓ってもらえるよ。遥さんには、俺から事情を説明しておくからさ」

聖は思わずヴァンを見た。ヴァンは平然と落ち着き払っている。

「それはありがたいけど。一人で行ってもいいのか?俺、何もわかってないけど」

「大丈夫だよ。とにかく行ってくれ。あの人に任せておけば絶対大丈夫だから」

真剣な眼差しで念押しする由宇に気圧されて、

「分かった」

聖は思わず頷き返すのだった。

















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