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放課後になると、聖は図書館へ駆け込み、熱心に書棚の間をめぐった。
「何を調べてるんだ?」
ぱらぱらとページをめくっていると、横合いから覗き込んできたヴァンに尋ねられ、心の中で率直に言い放った。
(お前を消す方法)
半ば怒りと制裁を覚悟して言ったのに、ヴァンは噛みついてくるどころか笑い転げた。
「俺を消すだと!?とんだ怖いもの知らずだな。面白い。やれるものならやってみるがいいさ」
(そうやって笑ってろよ。あとで吠え面かかせてやる)
何がそんなに面白いのか、ヴァンは笑いつかれて咳き込むと、不意に真顔に戻って言った。
「よくもまあ、俺を相手にそこまで喧嘩を売れたな。そんなに血を吸われたいのか?」
血を吸われるのが怖くないと言えば嘘になる。
だが、聖は意地でも認めるつもりはなかった。
(お前なんか怖いもんか。絶対に追い払ってやるからな)
「好きにしろよ。俺はここで、お前の愚かな企みを見物させてもらう」
そう言ってヴァンは口の端をくいと吊り上げた。
辞典や辞書の類には、吸血鬼の欄にはこう書かれているだけだった。
******************************
【吸血鬼】きゅうけつき
吸血鬼は、民話や伝説に登場する架空の存在で、ヒトや動物の血を吸う怪物。
多くのフィクションにおいて題材として取り上げられてきた。ヴァンパイアとも言う。
******************************
(それだけじゃ分かんないよ。吸血鬼を倒す方法、とかの本ないのかよ)
他の書物も、ヴァンパイアを登場人物にした小説や面白おかしいエンターテイメント本だけだった。
真面目な研究書のたぐいは一冊もない。
(そりゃそうか。フィクション……架空の存在なんだもんな)
ここに羅列されている文章と、実際のヴァンの姿は全くそぐわない。
微妙にいびつな形でずれているような気がする。
それとも、全ては聖の頭が勝手に作り上げた幻覚なのだろうか。
だとすれば、自分はかなり重度の精神疾患を抱えているかもしれない。
ぶんぶんと首を振って、聖は自分の考えを打ち消した。
(弱気になっちゃだめだ)
その後もほこりっぽい資料をあさってはみたが、めぼしい情報は見当たらなかった。
「何を調べてるんだ?」
ぱらぱらとページをめくっていると、横合いから覗き込んできたヴァンに尋ねられ、心の中で率直に言い放った。
(お前を消す方法)
半ば怒りと制裁を覚悟して言ったのに、ヴァンは噛みついてくるどころか笑い転げた。
「俺を消すだと!?とんだ怖いもの知らずだな。面白い。やれるものならやってみるがいいさ」
(そうやって笑ってろよ。あとで吠え面かかせてやる)
何がそんなに面白いのか、ヴァンは笑いつかれて咳き込むと、不意に真顔に戻って言った。
「よくもまあ、俺を相手にそこまで喧嘩を売れたな。そんなに血を吸われたいのか?」
血を吸われるのが怖くないと言えば嘘になる。
だが、聖は意地でも認めるつもりはなかった。
(お前なんか怖いもんか。絶対に追い払ってやるからな)
「好きにしろよ。俺はここで、お前の愚かな企みを見物させてもらう」
そう言ってヴァンは口の端をくいと吊り上げた。
辞典や辞書の類には、吸血鬼の欄にはこう書かれているだけだった。
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【吸血鬼】きゅうけつき
吸血鬼は、民話や伝説に登場する架空の存在で、ヒトや動物の血を吸う怪物。
多くのフィクションにおいて題材として取り上げられてきた。ヴァンパイアとも言う。
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(それだけじゃ分かんないよ。吸血鬼を倒す方法、とかの本ないのかよ)
他の書物も、ヴァンパイアを登場人物にした小説や面白おかしいエンターテイメント本だけだった。
真面目な研究書のたぐいは一冊もない。
(そりゃそうか。フィクション……架空の存在なんだもんな)
ここに羅列されている文章と、実際のヴァンの姿は全くそぐわない。
微妙にいびつな形でずれているような気がする。
それとも、全ては聖の頭が勝手に作り上げた幻覚なのだろうか。
だとすれば、自分はかなり重度の精神疾患を抱えているかもしれない。
ぶんぶんと首を振って、聖は自分の考えを打ち消した。
(弱気になっちゃだめだ)
その後もほこりっぽい資料をあさってはみたが、めぼしい情報は見当たらなかった。
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