守護霊は吸血鬼❤

5

じれったくなるほどの長い間を空けて、聖はぎこちなく口を開いた。

ゆるゆると細い指で空の彼方を指さし、

「月が……」

「え？」

聖は唾を飲むと、目で何かを噛みくだくようにして瞬きを繰り返した。

心なしか顔色が悪く、青ざめているように見える。

由宇は聖の目を見つめて優しく言った。

「月がどうした？」

「………」

聖は困惑したような表情で沈黙していたかと思うと、やがて力なく首を左右に振った。

「いや、何でもない。気のせいだったみたいだ」

その表情にただならぬ気配を感じて、由宇はそれ以上追及するのを諦めた。

言葉にまごついたまま、のろのろと惰性だせいで足が進む。

すると唐突とうとつに、聖が声を発した。

「あ」