THE LAST WOLF

凪子

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【延長戦】

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BBWに家族や大切な人を殺されたのは、俺だけじゃない。

Sacred Raverのメンバーの多くは直接的にせよ間接的にせよ、BBWに何かを奪われている。

BBWのやり方や、『汝は人狼なりや?』というゲーム、そして人狼法に異議を唱えたいと考える者たちが集まって、組織が結成された。

戸上さんは、Sacred Raverの創始者でブレーンだ。

まとめ役として資金を集めたり、大きくなっていく組織の内部統制を行うなどして、さまざまに動いてくれていた。

今回の計画が実現したのも、戸上さんの力によるところが大きい。

彼の父親は弁護士で著名な法学者の戸上幸信で、彼は人狼法制定に強硬に反対していた。

『汝は人狼なりや?』についても懐疑的で、アンチBBWの最大勢力であり旗頭と呼べる存在だった。

ところが、戸上幸信は人狼法の制定の直前に急死した。

表向きは事故ということになっているが、実際は殺害されたのだ。

日高巳継君は、高校のころ、同級生がバニシングナイトに参加して命を落とした。

その少女はクラスメイトで、密かに思いを寄せていた相手だったが、彼女の父親が事業に失敗して借金まみれになり、一家離散を食い止めるために参加したということを後で知った。

勝てば五億円という賞金が得られるため、金に困って追いつめられた人間がバニシングナイトに参加する例は後を絶たない。

人生を取り戻すための、乾坤一擲大ばくちだ。

中には彼女のように、借金を背負った本人ではなく、家族や子供が代理で参加する例もあった。

参加の前日、何気ない様子で電話をかけてきた彼女の声を、巳継君は一生忘れられないという。

彼女が翌日死んだと聞かされたとき、巳継君はBBWと戦うことを決意した。

碓氷遼太さんは、天才プログラマーである弟がBBWにスカウトされて強制的に身柄を連行され、そのまま帰ってこられなくなった。

BBWは有能な人材を確保するため、全国に情報網を張り巡らせている。

彼の弟はプログラマーだったが、それ以外にも営業、法務、開発、建築、広報、秘書、経営、資産運用など、あらゆる分野で傑出した才能を持つ者は、スカウトという名の拉致によってBBWに拘束され、逃げ出せば社会的に抹殺される。

佐藤さんは奥さんが『汝は人狼なりや?』にはまりすぎて別居、BBWの社員と不倫の末、子供を連れて出ていってしまい、十年以上子供と会えていない。

子供は佐藤さんの名前すら忘れ、新しい父親にべたべたに甘やかされて懐いているそうだ。
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