ＴＨＥ ＬＡＳＴ ＷＯＬＦ

【延長戦】

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バニシングナイトに応募するためには、ＢＢＷのホームページからパーソナルナンバー――国民一人一人が持っている個体識別番号のことだ――を入力する必要がある。

そして確かに父さんのパソコンには、自分のパーソナルナンバーを打ち込んで応募した履歴が残っていた。

でも、そんなのはいくらでも偽装できることだ。

バニシングナイトに反対なら、断固として参加を拒否すればよかったと君は思うだろう。

でも、吉田のやり方は卑劣だった。

招待状の最後にはこう記載されていた。

【なお、参加が決定した後の申し込み取り消しは一切受け付けられません。
　参加者が当日、ＢＢＷの招集に応じなかった場合、命の保証はいたしかねます。
　また、その場合、代わりにご家族かご友人一名が、あなたの代わりにゲームに強制参加となりますので、くれぐれもご注意ください。】

つまり父さんは、母さんを人質にとられたんだ。

自分が参加を拒否すれば、恐らく無理やり人工島に連れていかれて殺される。

『楽園』は治外法権だ。そこで殺されても誰にも文句は言われない。

その上、母さんがこのゲームに巻き込まれることになる。

命のかかった騙し合いゲームに。

「どうして、こんなひどいことを思いつくの……」

俺は三歳になるかならないかだったけど、何でかな、母さんが両手で顔を覆ってこう呟いていたことは、やけに鮮明に覚えている。

そして父さんはバニシングナイトに身を投じ、『楽園』から帰らなかった。

母さんはその直後に自殺し、孤児となった俺は神崎の叔母さんに引き取られ、そして真珠、君と出会った。