THE LAST WOLF

凪子

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【延長戦】

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「ほんじゃ、霊媒師はやっぱり」

「僕だよ」

碓氷遼太が遮って豪語した。

「まったく。初日に霊媒殺すとか、本当どうかしてるよ。リア狂集団め」

ぶつぶつと文句を言う彼の背中を、野村忠司が力強くたたいた。

「まあまあ。最終的に勝ったんだからいいだろ。細かいことは気にすんなって」

『村人の皆さん、おめでとうございます』

ゲームマスターの声が響き、俺たちは会話をやめた。

『これから五分後に、謁見の間で表彰式が行われます。案内に従い、全員で謁見の間に向かってください』

すると衛視が近寄ってきて、俺と片岡啓作から端末を回収した。そして、

「ご案内いたします」

と言って、部屋から出て歩き始めた。

話してはいけないというわけではなかったが、道中、俺たち八人は何となく無言だった。

衛視たちが傍についているせいもあったし、ほかの理由もあった。

つまり、勝ったのは八人。残りの負けた四人は殺されるという事実を、今更ながらに思い出していたのだ。

――処刑が決まったとき、麻生雪妃の表情は潔かった。

残された最後の三十秒、彼女は二十九秒間沈黙を保ち、最後の一秒でこう言った。

「さよなら」

二年前のバニシングナイトの生き残り、最年少参加者にして勝利者。

その彼女が負けるなんて、誰が予想しただろう。

謁見の間につくと、そこには大勢の衛視たちが打ち揃っていた。ざっと八十人ぐらいはいるだろうか。

高い吹き抜けの天井にシャンデリアが飾られ、大理石の床には赤絨毯が敷かれ、部屋の中央には階段の上に豪華な玉座が備えつけられている。

まさに、RPGなんかに出てくる謁見の間そのものだった。

俺たちは玉座の前に並んで立ち、その周囲を衛視たちが一メートル間隔くらいに囲むようにして、ただひたすら待った。
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