THE LAST WOLF

凪子

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【4日目】

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『おはようございます。四日目の朝がやってきました。プレーヤーの皆さんは目を開けてください』

ゲームマスターの声と同時に室内は明るくなり、俺は思わず息をついた。

よかった。今日もまだ生きている。

そして左斜め前に目をやると、先ほどまではなかった空席を発見した。

『昨日、人狼に襲撃され犠牲になったのは、小泉真知子さんでした』

「へー」

日高巳継は意外そうに目を丸くした。

「俺あの人、狂人なのかと思ってた」

「ちゃうわ。あれリア狂や」

片岡啓作が即座に言い返す。

ちなみにリア狂っていうのは『リアル狂人』の略で、狂人という役職じゃないのに、結果的に狂人のような振る舞いをするプレーヤーのこと。

大体が役職のない村人で、初心者や思い込みの激しい人が間違った推理を繰り広げて必要な人を処刑したり、強引に場を支配して人狼に有利な状況を作り出してしまうことを言う。

『汝は人狼なりや?』というゲームにおける蔑称の一つだ。

村人は占い師や霊媒師、人狼と違って何の情報もない。

だから自分の推理力で誰かを疑うしかないし、疑われても無実を証明する手段がない。

だから村人同士が互いに疑い合って潰し合うという状況は容易に発生する。

それは初心者だろうと、経験豊富な者だろうと同じだ。

なまじゲームに慣れていると、裏を読みすぎて失敗するということもある。

このゲームは騙し合いが基本だ。自分以外を徹底的に疑うことがルールでもある。

よって推理が外れていることは往々にしてあるため、あまり簡単にリア狂という言葉は使わないほうがいいとされている。
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