ＴＨＥ ＬＡＳＴ ＷＯＬＦ

【３日目】

53

「出てこないね。やっぱ碓氷さんだったのかな？」

桜庭のんが言い、

「そうかもしれません。あるいは、昨晩襲撃された古川博人さん」

応じたのは麻生雪妃だった。

「古川も怪しかったんだよな。口数少ないし、やたらどもってるし」

「あれは単に緊張してたからだと思うよー。それに夜死んでるんだから、絶対白じゃん」

野村忠司の言い草に、桜庭のんがフォローを入れる。

「確かに、古川さんが霊媒師っていう可能性もなくはないですね」

俺は言った。

そういえば彼は、一日目に碓氷遼太が処刑される前、何か言いかけていたような気もする。

時間切れで発言を聞くことはできなかったが――。

『制限時間が終了しました。プレーヤーは今後、一切の発言をしないでください』

日暮れのときが再び訪れ、ゲームマスターの声が言った。

『端末を使って、本日処刑する人物に投票してください。制限時間は一分です』

今回は、投票に迷う心配はなかった。

俺は佐藤和男をタップし、イエスのボタンを押して投票する。

――ごめんな。

まだ100％じゃないけど、佐藤和男は十中八九、人狼だ。

この処刑によって人狼が減る。それはつまり、人狼の敗北が一歩近づいたことを意味している。

このゲームが終了して人狼が負ければ、佐藤和男は殺される。首を吊られて――。

俺は目を閉じた。