ＴＨＥ ＬＡＳＴ ＷＯＬＦ

【２日目】

43

『投票結果を発表します。日高巳継、一票』

日高巳継の席にスポットライトが当たり、彼の名札の横に赤い丸い点が一つ表示される。

あの赤丸は得票数を意味しているようだ。

『小泉真知子、四票』

小泉真知子の席も同じようにスポットライトが当たり、得票数が表示される。

『碓氷遼太、七票』

最後に名前を呼ばれた碓氷遼太が、さっと青ざめた。

その目に色濃い恐怖が浮かぶ。

『よって、本日処刑されるのは碓氷遼太です。処刑対象者は最後に、三十秒以内で発言することができます。沈黙したままでも構いません』

中央のタイマーが３０秒からスタートする。

死ぬ前に残された、無情なほど短い時間。

「あーあ。本当、お前ら馬鹿ばっかだな」

碓氷遼太の声は震えていた。

「とりあえず日高を吊れよ。絶対偽だから」

その後、沈黙が十秒ほどあり、大きな音がして碓氷遼太の座っている椅子の周辺の床が動き始めた。

俺は驚いて立ち上がろうとしたが、椅子のアームの部分に腕を固定されて動きを封じられる。

碓氷遼太の体は椅子ごとカプセルに包まれ、カプセルは黒く染まり内部が見えない状態で、丸く空いた穴からゆっくり下へ下へと下降していく。

《墓場》は、この部屋の真下にあるのだ。

やがて音が静まると床の穴は閉まり、辺りは完全な静寂に包まれた。

『処刑が終了しました。プレーヤーは夜の行動を開始してください』