THE LAST WOLF

凪子

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【2日目】

29

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「はいっ」

元気よく手を上げたのは、先ほど碓氷遼太のときに口を挟んだ、制服を着た女の子だった。

桜庭さくらばのんっていいます!十八歳、高校三年生です!人狼はあんまり得意じゃないんですけど、頑張るのでよろしくお願いします」

明るい笑顔の似合う、小柄でかわいらしい子だった。

赤いリボンのセーラー服に短いスカート、ふわふわした蜂蜜色の長い髪。

「え、人狼が得意じゃないってどういうこと?」

日高巳継が笑いながら突っ込んだ。

「いきなりカミングアウトですか?」

桜庭のんはびっくりしたように目を丸くして、

「違う違う。『汝は人狼なりや』っていうこのゲーム自体が強くないってこと」

「強いとか弱いとか誰も聞いてねえんだよ」

神経質っぽい若者・碓氷遼太が言い刺した。

「お前こそ余計なこと言わずに黙ってろっつーの」

「こらこら、喧嘩しないの」

険悪になった空気に、グラマラスお姉さん・斎内紫帆が優しく割って入る。

「それじゃ、次の人は?」

桜庭のんの左隣、つまり俺の右隣に座っていた少女は、そのとき初めて口を開いた。

麻生雪妃あそう・ゆきひです。よろしくお願いします」

俺は息を飲んだ。

が、先に反応したのは関西弁の男・片岡啓作だった。

「麻生雪妃?麻生雪妃って、あの麻生雪妃か」

全員の視線が、痛いほど彼女に一極集中している。

麻生雪妃は平然とそれを受けとめ、誰にも視線を返さず人形のように座っていた。

そう、彼女は人形という言葉がふさわしい少女だった。

華奢な体つき、雪のように白い肌、吸い込まれそうに大きな黒い瞳。

フリルやレースのふんだんにあしらわれた装飾過多な、いわゆるゴシックロリータと呼ばれる服が、雰囲気と相まってよく似合っている。

文句なしの美少女なんだけど、どこか造り物めいていて不気味さを覚える。
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