護国の鳥

終章

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ー終章ー






「ったく、腹立たしいほど晴れてやがる」

青いガラスのような空から降り注ぐ陽光に目を細め、レッドは呟いた。

大理石の床には分厚いじゅうたんが敷かれ、荘重な扉が並び、水晶の花瓶には色とりどりの花が飾られている。

エスペラント帝国首都・エスペラント。

第四の月の一日、皇宮では毎年、年度始めの行事が開催される。

そのうちの最も華やかなイベントが、サイクロイド士官学校卒業生たちの叙任式である。

一年前、サイクロイド士官学校の門をくぐった士官候補生は百名。

そのうち、晴れて卒業を迎えることができたのは四名だった。

本日彼らは紺の制服を脱ぎ、胸元に金の鳥の刺繍された、深い緋色の軍服を身にまとう。

さまざまな事情と思惑が絡み合い、本年のサイクロイド士官学校の卒業試験及び卒業式は取りやめとなった。

インバースの襲撃やフィンの力の暴走といった一連の事件は闇に葬られ、全ては『訓練中の事故』ということで処理された。

不毛の土地と化した島は、現在立ち入りが禁じられており、校舎は別の土地に移転された。

真実の生き証人である四人とルベリエは、事件後、即座に首都州に移送され、用意された邸宅にて使用人つきの生活を送ることとなった。

何不自由なく豊かで、しかし、徹底的な監視を受けながら。

隣で大きなあくびをし、目をこすっているフィンの頭をレッドがかき混ぜる。

「一ヶ月以上寝込んでおいて、まだ寝たりないってか」

「だって、ルベリエが儀礼だのマナーだの、ずっとうるさくて眠れなかったんだもん」

「ちゃんと覚えられたのかい？」

ユリシスは心配そうに尋ねる。

「陛下の御前に立つことになるんだ。失礼がないようにしないといけないよ」

「うーん。よく分かんないや」

能天気なやりとりを横目で見つめ、ルートは昨夜のことを思い出していた。