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春の章
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「あいつが自殺するようなタマかよ」
組んだ腕を頭の後ろに回し、レッドが不遜に鼻を鳴らす。
「少なくとも昨日までピンピンしてたぜ。なあ?お姫様」
ルートは素っ気なく挑発を黙殺する。
「彼に会ったのか?レッド」
注意深くユリシスは尋ねた。
「まあね」
とレッドは含みを持たせた言い方をする。
ユリシスはルートのほうに進み出ると、
「何か知っていることがあるなら教えてほしい。僕は教官に報告する義務がある」
「なぜ」
「そうか、言い忘れていたね」
ユリシスは爽やかな笑みを浮かべ、胸に手を当てて言った。
「今日、班分けが発表された。僕ら四班は、ここにいる四人がメンバーだ。僭越ながら僕は、この班のリーダーに任命されている」
ルートは愚にもつかないと言わんばかりの溜息をつく。
「出ていけよ」
刺すような目つきが答えだった。
「探偵ごっこはよそでやれ」
「そういうわけにはいかないよ」
ユリシスは物柔らかく、だが断固として意志を貫く構えだった。
「憶測で物を言ったり、根も葉もない噂を流すのはよくない。だけど、知っていることがあるのなら隠しておくべきじゃない」
「怖いのか?お坊ちゃん」
鼻先でせせら笑い、ルートは痛烈に言った。
「不安なら、いつでもママの元へ帰ればいい」
ユリシスの顔色が変わったのを見て、レッドは慌てて二人を引き離した。
組んだ腕を頭の後ろに回し、レッドが不遜に鼻を鳴らす。
「少なくとも昨日までピンピンしてたぜ。なあ?お姫様」
ルートは素っ気なく挑発を黙殺する。
「彼に会ったのか?レッド」
注意深くユリシスは尋ねた。
「まあね」
とレッドは含みを持たせた言い方をする。
ユリシスはルートのほうに進み出ると、
「何か知っていることがあるなら教えてほしい。僕は教官に報告する義務がある」
「なぜ」
「そうか、言い忘れていたね」
ユリシスは爽やかな笑みを浮かべ、胸に手を当てて言った。
「今日、班分けが発表された。僕ら四班は、ここにいる四人がメンバーだ。僭越ながら僕は、この班のリーダーに任命されている」
ルートは愚にもつかないと言わんばかりの溜息をつく。
「出ていけよ」
刺すような目つきが答えだった。
「探偵ごっこはよそでやれ」
「そういうわけにはいかないよ」
ユリシスは物柔らかく、だが断固として意志を貫く構えだった。
「憶測で物を言ったり、根も葉もない噂を流すのはよくない。だけど、知っていることがあるのなら隠しておくべきじゃない」
「怖いのか?お坊ちゃん」
鼻先でせせら笑い、ルートは痛烈に言った。
「不安なら、いつでもママの元へ帰ればいい」
ユリシスの顔色が変わったのを見て、レッドは慌てて二人を引き離した。
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