護国の鳥

春の章

43

シルヴァリオが死体となって発見されたのは、翌日の早朝だった。

同室のリングレーが血相を変えて食堂に飛び込んできたのだ。

「大変だ！シルヴァリオが……」

そこから先は言葉にならず、彼は泡を吹いて倒れてしまった。

生徒たちは騒然となったが、ユリシスがすかさず、

「皆はここで待機していてくれ。教官を呼んでくる」

と席を立ち、当然のようにレッドが後を追った。

生徒たちは自室待機を命じられたが、名目通り自習をする者など誰もおらず、めいめいが寄り集まって憶測を述べ合っている。

やって来たのはルベリエとラグランジュの二人だった。

シルヴァリオの部屋に踏み込むなり目に飛び込んできたのは、大の字になって横たわるシルヴァリオの骸と、興味津々でそれを覗き込んでいるフィンの姿だった。

「おやおや」

ラグランジュは苦笑する。

「おい、こいつをつまみ出せ」

ルベリエは傍にいたユリシスに命じ、ユリシスは「行こう」とフィンの肩を押して促した。

「えー？もっと見たかったのに」

まるで玩具を欲しがる子供のようにフィンは頬を膨らませた。

三人が部屋に入ってくると、ルートは顔をしかめた。

「済まない。フィンが勝手に行動しないよう見張っておけと教官に命じられているんだ」

丁寧に弁明すると、ユリシスは頭を下げた。