護国の鳥

凪子

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春の章

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「エスペラント帝国軍の軍服には、必ずこの護国の鳥の紋章が刺繍ししゅうされています。あなた方も誇り高き護国の鳥となれるよう、日々勤めをおこたらず、修練に邁進まいしんするように」

かたくるしい説教が終わると、ようやく解放された生徒たちは食堂に殺到する。

午前六時半、朝日が雲の端を真紅に染めていく。

「さあ坊やたち、存分に召し上がれ。お代わり自由よ。お残しせずに食べた子は、ごほうびにチューしてあげる」

サイクロイドは女子禁制で、基本的に男性しか入島することはできない。

したがって教官や寮監りょうかん、職員に至るまで全員が男である。

そして、なぜか食堂の一切をとりしきる料理長は、ごっつい体に派手なツナギを着たオネエなのであった。

食事自体はおいしく人気があったが、時折送られる流し目におびえる生徒もちらほらいる。

「相変わらず朝から強烈だな。食欲なくなりそう」

呟き終えるか終えないかのうちに、厨房ちゅうぼうから恐ろしい速さで何かが飛んでくる。

レッドが「うおっ」と間一髪のところで避けると、包丁は壁に墓標ぼひょうのように突き刺さった。
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