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春の章
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「コネと金で何とか席は用意してもらえても、入ってしまえば実力がない奴は落ちるしかない。化けの皮が剥がれるのも時間の問題だ」
ルートは鮮やかな侮蔑を目に浮かべて言った。
向けられた矢のような悪意に、ユリシスは微塵も動揺を見せずに微笑み返す。
「君と一緒にここへ入ることができて嬉しいよ。切磋琢磨し、力や技術を磨いて、いつか君を超えられるよう頑張りたいと思う。こんなふうに競える相手がいる、僕は幸せ者だ」
よろしく、と差し出された手をぴしゃりと払いのけ、ルートは言い放った。
「馴れ馴れしく近寄るな。ヘドが出る」
「ほらな。かわいい顔して性格悪いだろ~?」
とフィンに説明したのはレッドで、からかうような瞳で二人のやりとりを見つめている。
「俺らもいろいろ努力したんだぜ?お近づきになりたいなって。でも氷の国のルート姫は、なかなか心を開いてくれないんだわ、これが」
ルートが振り上げた拳を際どくかわし、レッドのこめかみの毛が風圧でふわりと散る。
「おうおう、怖いねえ」
レッドは余裕の表情を崩さない。
「ねえ、ルート」
追撃しようとした彼の袖を引き、フィンは上目遣いで甘えるように言った。
「何か食べるものない?俺、お腹すいちゃったよ」
ルートは鮮やかな侮蔑を目に浮かべて言った。
向けられた矢のような悪意に、ユリシスは微塵も動揺を見せずに微笑み返す。
「君と一緒にここへ入ることができて嬉しいよ。切磋琢磨し、力や技術を磨いて、いつか君を超えられるよう頑張りたいと思う。こんなふうに競える相手がいる、僕は幸せ者だ」
よろしく、と差し出された手をぴしゃりと払いのけ、ルートは言い放った。
「馴れ馴れしく近寄るな。ヘドが出る」
「ほらな。かわいい顔して性格悪いだろ~?」
とフィンに説明したのはレッドで、からかうような瞳で二人のやりとりを見つめている。
「俺らもいろいろ努力したんだぜ?お近づきになりたいなって。でも氷の国のルート姫は、なかなか心を開いてくれないんだわ、これが」
ルートが振り上げた拳を際どくかわし、レッドのこめかみの毛が風圧でふわりと散る。
「おうおう、怖いねえ」
レッドは余裕の表情を崩さない。
「ねえ、ルート」
追撃しようとした彼の袖を引き、フィンは上目遣いで甘えるように言った。
「何か食べるものない?俺、お腹すいちゃったよ」
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