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春の章
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「本当だね。今日は僕たちにとって記念すべき日だ。きっと、忘れられない思い出になるだろう」
お粗末な感想に、苦々しい思いでルートは顔をそむける。
感傷的になっている場合ではない。
これから始まるのは、牧歌的な学園生活などでは断じてないのだから。
そのとき、すぐ傍でべしゃっと大きな音がして、三人は反射的にそちらを振り向いた。
泥の中に頭を突っ込んで、誰かがうつ伏せに倒れている。
制服を着ているので、かろうじて生徒だとは分かるが、十五歳の少年の平均身長から比して驚くほど小柄だった。
「大丈夫かい」
と膝をついた少年に引き上げられ、彼は無邪気に笑う。
「ありがと。蝶追っかけてたら転んじゃった」
「何だ、迷子かと思った。にしても、ちっちぇえな、お前。脳みそも三歳児レベルなんじゃねえの?」
顔の泥を拭っている彼を小突くレッドを、
「やめないか」と少年がたしなめる。
その間に、既にルートは踵を返し、確固たる歩調で大聖堂に向かって歩いていく。
お粗末な感想に、苦々しい思いでルートは顔をそむける。
感傷的になっている場合ではない。
これから始まるのは、牧歌的な学園生活などでは断じてないのだから。
そのとき、すぐ傍でべしゃっと大きな音がして、三人は反射的にそちらを振り向いた。
泥の中に頭を突っ込んで、誰かがうつ伏せに倒れている。
制服を着ているので、かろうじて生徒だとは分かるが、十五歳の少年の平均身長から比して驚くほど小柄だった。
「大丈夫かい」
と膝をついた少年に引き上げられ、彼は無邪気に笑う。
「ありがと。蝶追っかけてたら転んじゃった」
「何だ、迷子かと思った。にしても、ちっちぇえな、お前。脳みそも三歳児レベルなんじゃねえの?」
顔の泥を拭っている彼を小突くレッドを、
「やめないか」と少年がたしなめる。
その間に、既にルートは踵を返し、確固たる歩調で大聖堂に向かって歩いていく。
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