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沙織はポニーテールの似合う活発なタイプで、誰とでも気さくに話すし、体力も相当ある。
学生時代はテニス部に所属していて、そこで鍛えたのだという。
しかも酒豪で、接待も飲み会もどんとこいと言っていた。
「男選び間違えたかなー」
机の上に突っ伏す沙織を見るかたわら、千春はくるくるとフォークにパスタを巻きつける。
「面倒くさいって、どんな感じで?」
「二人でいるとき、いっつも不機嫌なの。テレビ見ながらぶすっと黙りこくってるか、たまにキレ気味に何か言ってくる。多分仕事の愚痴なんだろうけど、私も疲れてるし、正直あんまり聞きたくないからスルーしてる」
「それストレスだよ」
千春は沙織を指さした。
「配属されて三ヶ月目じゃん。慣れないことばっかで、仕事覚えるの大変なんじゃない? そこは優しく見守ってあげたら?」
「まあ悪い奴じゃないんだけどね……」
曖昧に語尾を濁すと、沙織は視線を遠く放った。
千春は真鍋祐太のことを思い出していた。
学生時代ラグビー部に入っていたという恵まれた体格に、大きく張った声、明るく積極的な盛り上げ役と、体育会系を絵に描いたような男だったと思う。
研修のときから沙織と仲がよく、真鍋の猛アプローチの結果、めでたく付き合うことになったと聞いた。
沙織を交えて何度か酒を飲んだぐらいの仲だが、特にこれといって好印象も悪印象もなかった。
「しばらくすれば落ちつくよ。今はそっとしとこ」
「そうする。で、千春は?」
突然矛先が自分に向いて、千春は目を丸くした。
学生時代はテニス部に所属していて、そこで鍛えたのだという。
しかも酒豪で、接待も飲み会もどんとこいと言っていた。
「男選び間違えたかなー」
机の上に突っ伏す沙織を見るかたわら、千春はくるくるとフォークにパスタを巻きつける。
「面倒くさいって、どんな感じで?」
「二人でいるとき、いっつも不機嫌なの。テレビ見ながらぶすっと黙りこくってるか、たまにキレ気味に何か言ってくる。多分仕事の愚痴なんだろうけど、私も疲れてるし、正直あんまり聞きたくないからスルーしてる」
「それストレスだよ」
千春は沙織を指さした。
「配属されて三ヶ月目じゃん。慣れないことばっかで、仕事覚えるの大変なんじゃない? そこは優しく見守ってあげたら?」
「まあ悪い奴じゃないんだけどね……」
曖昧に語尾を濁すと、沙織は視線を遠く放った。
千春は真鍋祐太のことを思い出していた。
学生時代ラグビー部に入っていたという恵まれた体格に、大きく張った声、明るく積極的な盛り上げ役と、体育会系を絵に描いたような男だったと思う。
研修のときから沙織と仲がよく、真鍋の猛アプローチの結果、めでたく付き合うことになったと聞いた。
沙織を交えて何度か酒を飲んだぐらいの仲だが、特にこれといって好印象も悪印象もなかった。
「しばらくすれば落ちつくよ。今はそっとしとこ」
「そうする。で、千春は?」
突然矛先が自分に向いて、千春は目を丸くした。
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