物語のない人生なんて!~とにかく面白い物語が読みたいんや~

凪子

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「最後に決めるのは私だけど……」――『バチェロレッテ・ジャパン シーズン3』(5~9話)Amazon Prime Video

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まさか、という思いはなかった。

どちらかというと、「ああ、やっぱりそうなりましたか」という、少し心残りなような気分だった。

運命や直感という言葉とは裏腹に、最後まで、本気の恋を感じることができなかった。

男性陣の目に、バチェロレッテの表情に、情熱や欲望を見てとることができなかった。

それはバチェロレッテでも参加者男性でも番組サイドでも、誰のせいでもないと、私は思う。

◇あらすじ

1人の独身女性(バチェロレッテ)が、生きてきた環境も恋愛観も違う個性溢れる男性参加者たちとゴージャスなデートを重ねながら、〈真実の愛〉を見つけ出す、ロマンチックな旅の日々を追う恋愛リアリティー番組『バチェロレッテ・ジャパン』。

待ち望まれたシーズン3の3代目バチェロレッテは文武両道を地で行く才女、武井亜樹。これまでキャリア優先で、恋愛の優先順位が低かったという彼女のもとに集まったのは、個性あふれる15名の男性たち。たった一つの真実の愛に辿り着くため、時に傷つきながらもドラマチックな恋模様を繰り広げていく。


顔に出やすい亜樹さんなので、男性のチョイスも分かりやすい。

概ね予想どおりの展開で物語は後半も進んでいく。

全体的に盛り上がりに欠けるように感じたのは、やはり『恋愛』の要素がなかったからだろう。

トキメキやドキドキといった甘い感覚、嫉妬や絶望や苦しみといったどす黒い感覚。

どちらも恋愛にはつきものだけれど、それほど強い感情を感じることができなかった。

本来一番の見せ場であろう、ピリピリした2ON1デートのときも、男性たちが「旅から帰ること」を恐れていないように思えて、だから積極的に手を挙げられたんだろうなと思う。

今までの2ON1デートのときは、「ここで帰るわけにはいかない」「絶対に帰りたくない」という恐怖と、「それでも2ON1というチャンスをつかみたい」という意志との葛藤があった。

でも今回は、もちろん小川さんからは少し感じられたけど、そこまでの強いギリギリの葛藤というのは見えなかったように思う。

亜樹さんも最後まで男性を信じ、警戒のバリアーを解くことがなかなか難しかったのではないか。

男性たちも、亜樹さんに1歩踏み込み、無理やり警戒のバリアーを解いて素の表情や、ぶっちゃけたやりとりをすることが、なかなかできなかったのではないか。

そんな感じで物語は進んでいき、「あれ、もう両親と会うの?」という感じで終盤を迎える。

両親と会うフェーズって、もう番組内とはいえ彼氏彼女の状態で、結婚できるかどうか・今後も家族ぐるみでお付き合いしていけるかどうかという確認の段階だ。

今の状況だと、ただの友達……まだまだお付き合いには至らない、どうなるかも分からない関係だ。

それでお互いの家族に会うというのも、結構気まずかったかもしれないなと思う。

最後に選ばれた方も素晴らしい方で、だからこそ旅から戻った後に2人が選んだ道についても納得できた。

ラストシーンを見ても、やっぱり、そうなるんじゃないかなという雰囲気があった。

今田さんもおっしゃっていたけれど、別に悪いことじゃない。

これも含めて恋愛リアリティ―ショーなんだ、ということだと思う。

総合的に見て感じたのは、恋愛の要素には性愛の要素が不可欠なんだなということ。

なるべくボディータッチをしなかったり、思わせぶりになる言動をとらない姿勢は女性として素晴らしい。

ただ、男性の恋愛は「①性的魅力」→→かなり遅れて「②人間性の理解・愛情」になるような気がして、とっかかりはほぼ全員、「そういうことをしたい」な気がする。

今回はどういう恋愛をしてきたのか、彼氏彼女になったらどういう雰囲気なのか、デートの中で確認する機会があまりなく、あくまで人間としてお互いを知るという旅だった。

それはそれで素晴らしいけど、もっとバチェロレッテの素顔や男性陣の別の側面、暴走するような熱量とかも少し感じてみたかったなと思う。

もちろん下ネタや露出は品格としてNGだけれど、バチェロレッテという魅力的な女性が本来持っておられる色気を発揮すると、もしかしたら少し違うストーリーになっていたかもしれない。

毎週楽しみに見ていたシリーズ、作り上げてくださった皆さんに感謝している。

しばらくバチェラー・バチェロレッテはお休みだけれど、次回作を楽しみに待ちたいと思う。



◇好きな台詞

「亜樹さんが、僕にとってのセロトニンでした」(櫛田創さん)

「全員に好かれようとは思わなかった。最後に選ぶのは私だけど、そこまでは一緒に頑張ってほしい」(武井亜樹さん)
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