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「もう大丈夫です」
繰り返されるたびに、「うん」と私は頷く。
「ユリウス。私、ちゃんと分かってるから。ユリウスは、もう私の主治医じゃないんだってこと」
ベッドの上で身を起こし、手を離して、私はユリウスに向き直った。
「私のことを好きだって言ってくれて、嬉しかった。本当よ。だけど……あのとき、すぐに気持ちに応えることができなかった。怖かったから」
せっかく静まっていたはずの心臓が、ばくばくしている。
でも、いい。ドキドキしたって、唇が震えたって、みっともなくたっていい。
どんなに下手くそでも、喪女でも、絶対にこの気持ちは伝えてみせる。
だって、もう生きて会えないと思っていた人に、今こうして会えているんだから。
「主治医と公爵家の令嬢なら、一生一緒にいられる。仲よくできる。でも、もしユリウスと恋愛して、婚約して、それで、また駄目になったら?そう思ったら、怖くて、どうしても気持ちを伝える勇気が出せなかった。
あなたはアレックスとは違う。分かってるけど、だからこそ怖かったの。
アレックスに裏切られたとき立ち直れたのは、あなたのおかげ。そのあなたを失ったら、私……自分でいられなくなるかもしれないと思った」
ユリウスは緑色の瞳を、ひたと私に据えている。一瞬も目を逸らさない。
涙が込み上げてきて、私は咳払いでごまかした。
「ユリウスは、私の気持ちを分かってくれてるって甘えてた。私の気持ちが追いつくまで待ってくれるって。都合いいよね。でも主治医を辞めるって聞いたとき、そうじゃなかったんだって思った。私の自分勝手で、ユリウスをこんなに追い詰めていたんだなって。
私のせいで、大事なお医者さんっていう仕事を果たせなくなったり、公私混同になるのは嫌だった。
でも、ユリウスとそういう……恋愛関係になることも怖くて。だから、何も言わなかった。
アンナに捕まって、もう死ぬかもしれないと思ったとき、物すごく怖かった。
ユリウスが無事なのか分からない、それに、もう二度と会えないかもしれない。
そう思ったら、私、何でちゃんと伝えなかったんだろうって。死んじゃったら、もう何も言えないのに。
怖いとか、そんなこと言ってる場合じゃなかった。怖くても、傷ついても、伝えないで死ぬよりは全然いい。
私は……私も、ユリウスのことが好き」
繰り返されるたびに、「うん」と私は頷く。
「ユリウス。私、ちゃんと分かってるから。ユリウスは、もう私の主治医じゃないんだってこと」
ベッドの上で身を起こし、手を離して、私はユリウスに向き直った。
「私のことを好きだって言ってくれて、嬉しかった。本当よ。だけど……あのとき、すぐに気持ちに応えることができなかった。怖かったから」
せっかく静まっていたはずの心臓が、ばくばくしている。
でも、いい。ドキドキしたって、唇が震えたって、みっともなくたっていい。
どんなに下手くそでも、喪女でも、絶対にこの気持ちは伝えてみせる。
だって、もう生きて会えないと思っていた人に、今こうして会えているんだから。
「主治医と公爵家の令嬢なら、一生一緒にいられる。仲よくできる。でも、もしユリウスと恋愛して、婚約して、それで、また駄目になったら?そう思ったら、怖くて、どうしても気持ちを伝える勇気が出せなかった。
あなたはアレックスとは違う。分かってるけど、だからこそ怖かったの。
アレックスに裏切られたとき立ち直れたのは、あなたのおかげ。そのあなたを失ったら、私……自分でいられなくなるかもしれないと思った」
ユリウスは緑色の瞳を、ひたと私に据えている。一瞬も目を逸らさない。
涙が込み上げてきて、私は咳払いでごまかした。
「ユリウスは、私の気持ちを分かってくれてるって甘えてた。私の気持ちが追いつくまで待ってくれるって。都合いいよね。でも主治医を辞めるって聞いたとき、そうじゃなかったんだって思った。私の自分勝手で、ユリウスをこんなに追い詰めていたんだなって。
私のせいで、大事なお医者さんっていう仕事を果たせなくなったり、公私混同になるのは嫌だった。
でも、ユリウスとそういう……恋愛関係になることも怖くて。だから、何も言わなかった。
アンナに捕まって、もう死ぬかもしれないと思ったとき、物すごく怖かった。
ユリウスが無事なのか分からない、それに、もう二度と会えないかもしれない。
そう思ったら、私、何でちゃんと伝えなかったんだろうって。死んじゃったら、もう何も言えないのに。
怖いとか、そんなこと言ってる場合じゃなかった。怖くても、傷ついても、伝えないで死ぬよりは全然いい。
私は……私も、ユリウスのことが好き」
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