結婚前夜に婚約破棄されたけど、おかげでポイントがたまって溺愛されて最高に幸せです❤

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心臓がばくばくしている。

だって、ここはナイト家、いわば敵の本拠地だ。

アンナは、やろうと思えばいつだって、私を殺すことができる。

怖い。死ぬのは嫌だ。

でも――それより嫌なのは、ここでアンナに屈することだ。

「アンナ。どうして、アレックスとクレア様を殺したの？どうして私を目の仇にするの？」

アンナは不気味な笑みを浮かべながら黙っている。

「最初は、あなたがアレックスのことを本当に好きなんだと思ってたわ。だから婚約破棄は辛かったけど、受け入れた。でも、そうじゃなかった。あなたにとってアレックスとの結婚は、爵位やお金を得るための道具にすぎなかったのね」

「捨てられた身で、負け犬が偉そうにほざかないでくださる？私は一度も、あの馬鹿に結婚してほしいなんて言ったことはないわ。あいつが勝手に私に惚れて、言い寄ってきたのよ。
だから、目障りだったあんたを潰すために利用させてもらったってわけ」

アンナは腕を組み、痛烈に罵った。

「いつも自分は安全で恵まれた場所にいて、偉そうな綺麗事ばかり言って、聖女を気取ってる。人を見下して、上から目線で施して、自己満足に浸ってる。あんたの全てに虫唾が走るわ」

一瞬、アンナの後ろにアレックスの姿が見えて、私ははっとした。

婚約破棄のとき、アレックスが私に投げつけた言葉と似ている。

あのときアンナは気弱そうにアレックスの後ろに隠れていたけど――あれはアンナの言葉でもあったんだ。

「確かに、そう思われても仕方ないかもしれない。でも、だからって今までのことは消せないし、これからも生き方を変えることはできない。だって、これが私だから」

胸を張って私は言い切った。

いい人ぶってと陰口をたたかれても、世間知らずのお嬢様のくせにと言われても、自分の意志を貫きたい。

せっかく恵まれた境遇にいるのだから、その力をいい方向に使いたい。

ポイントのためじゃない。私が、そうしたいのだ。心の底から。