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「申し訳ありません……。取り乱しました」
私とジェイド医師に、頭を下げて詫びる。
振り落とされたアレックスは、ベッドに横たわってぐったりしている。
ジェイド医師が「大丈夫ですか」と声をかけ、背中をさすり、ソフィアさんが布団をかけた。
「ううん。私の代わりに言ってくれてありがとう。スッキリした」
笑顔で言ったつもりだったけど、失敗したらしく、ユリウスが痛みをこらえるような顔をした。
ああ、おかしいな……せいせいするはずだったのにな。
前世で読んできた小説では、婚約破棄の相手が後で大変なことになって、そこで「オーホッホ、だから言ったでしょう」と高笑いを決め、トドメの一撃を食らわせるみたいなオチが多い。
いわゆる『ざまあ』な復讐劇で、私はその痛快感が大好きだった。
今まさに、その『ざまあ』状態になっているのに、どうしてだろう……ちっとも嬉しくない。
「ジェイド先生。アレックスを、こちらの病院で診ていただけますか。費用はわたくしが負担いたします」
「ローラ様……」
ユリウスは何か言いかけたが、諦めたように首を左右に振った。
ごめんね、ユリウス。
「かしこまりました」
「アレックスの病状が詳しく分かったら、お知らせいただけますか」
「もちろんです」
ジェイド医師は言い、深く頭を下げる。
「ありがとうございます。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします」
そう言って私も頭を下げ、個室を出ようとする。
「ユリウス様」
背後から呼び止めたジェイド医師は、神妙な面持ちで言った。
「お気持ちはお察しいたします。私も、あなたと同じ気持ちです。ローラ様のご命令がなければ、今すぐにでも、この方を病院から追い出していたでしょう」
隣でソフィアさんも、こくりと頷いている。
「……ありがとう」
私は微笑んだ。そして、もう一度ベッドにいるアレックスを見つめる。
目を閉じてあおむけに横たわる、青白い顔の痩せた若者。
「また来るから。そのとき、ちゃんと話しましょう。お大事になさってね」
返事は要らなかったので、私は待たずに個室の扉を閉めた。
私とジェイド医師に、頭を下げて詫びる。
振り落とされたアレックスは、ベッドに横たわってぐったりしている。
ジェイド医師が「大丈夫ですか」と声をかけ、背中をさすり、ソフィアさんが布団をかけた。
「ううん。私の代わりに言ってくれてありがとう。スッキリした」
笑顔で言ったつもりだったけど、失敗したらしく、ユリウスが痛みをこらえるような顔をした。
ああ、おかしいな……せいせいするはずだったのにな。
前世で読んできた小説では、婚約破棄の相手が後で大変なことになって、そこで「オーホッホ、だから言ったでしょう」と高笑いを決め、トドメの一撃を食らわせるみたいなオチが多い。
いわゆる『ざまあ』な復讐劇で、私はその痛快感が大好きだった。
今まさに、その『ざまあ』状態になっているのに、どうしてだろう……ちっとも嬉しくない。
「ジェイド先生。アレックスを、こちらの病院で診ていただけますか。費用はわたくしが負担いたします」
「ローラ様……」
ユリウスは何か言いかけたが、諦めたように首を左右に振った。
ごめんね、ユリウス。
「かしこまりました」
「アレックスの病状が詳しく分かったら、お知らせいただけますか」
「もちろんです」
ジェイド医師は言い、深く頭を下げる。
「ありがとうございます。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします」
そう言って私も頭を下げ、個室を出ようとする。
「ユリウス様」
背後から呼び止めたジェイド医師は、神妙な面持ちで言った。
「お気持ちはお察しいたします。私も、あなたと同じ気持ちです。ローラ様のご命令がなければ、今すぐにでも、この方を病院から追い出していたでしょう」
隣でソフィアさんも、こくりと頷いている。
「……ありがとう」
私は微笑んだ。そして、もう一度ベッドにいるアレックスを見つめる。
目を閉じてあおむけに横たわる、青白い顔の痩せた若者。
「また来るから。そのとき、ちゃんと話しましょう。お大事になさってね」
返事は要らなかったので、私は待たずに個室の扉を閉めた。
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