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翌日、お父様とお母様から早馬で手紙が届いた。
ギルバートお兄様の屋敷は一部燃えてしまったけれど、火は早くに消し止められて、お兄様や奥様はご無事だったそうだ。
メイドや執事のみんなも、怪我した人はいるけれど、幸い死者は出なかったらしい。
今は怪我人の手当と、屋敷の修繕、放火した犯人を捕まえるということで、やることが山積みだそうだ。
お父様とお母様も、しばらくお兄様の屋敷に留まって、現場を手伝うつもりだと言っていた。
「エマ、これを」
「はい、お嬢様」
私は取り急ぎ昨日の晩餐会の結果を書いた手紙を、エマに手渡した。
「よろしくお願いね」
「必ず確実に公爵様と奥様、ギルバート様にお届けするとお約束いたします」
エマは恭しく言うと、私の部屋を出ていった。
「さて……と」
私はガラス窓からバルコニーに出た。
昼の日差しは強く、いつの間にか夏が近づいている。
婚約破棄でごたごたしていたのは春だったのに、月日が経つのは早いものだ。
「ねえ、ユリウス。私も南部地方へ行こうかな。何かお手伝いできるかもしれないし」
バルコニーで風に当たりながら、私は背後にいるユリウスに言った。
しばらく返事がないので振り向くと、こちらを心配そうに見ている瞳と目が合う。
「……そうおっしゃると思いましたよ。ですが、今動くのは得策ではないかと」
「どうして?」
「公爵家が不在だとナイト家やロベルト様に知られれば、よからぬ企みをする方もいるかもしれません」
「なるほどね……」
私は腐っても公爵令嬢で、お父様から留守中の公爵家を預かる立場でもある。
お父様からの信頼を嬉しく思うと同時に、責任の重みも感じていた。
「じゃあ、せめてユリウスだけでも、お兄様を助けに行ってあげてくれない?怪我人も出たって聞いたし、向こうにも専属医師はいるのだろうけど、人手不足かもしれないから」
「そうですね……」
ユリウスは目を伏せて、しばらく考え込んでいるようだった。
ギルバートお兄様の屋敷は一部燃えてしまったけれど、火は早くに消し止められて、お兄様や奥様はご無事だったそうだ。
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お父様とお母様も、しばらくお兄様の屋敷に留まって、現場を手伝うつもりだと言っていた。
「エマ、これを」
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私は取り急ぎ昨日の晩餐会の結果を書いた手紙を、エマに手渡した。
「よろしくお願いね」
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「……そうおっしゃると思いましたよ。ですが、今動くのは得策ではないかと」
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「そうですね……」
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