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何なの? 何言ってるの?この人たち、怖いんですけど。

理解を越えた異次元の話に、頭がおかしくなりそうだ。

「アレックス様はローラ様を裏切り、身勝手に婚約破棄をし、アンナ嬢と結婚するけれども、これまでの無礼は全て水に流して、友達付き合いをしてほしいと。
そして、公爵様や奥様が今までずっとクレア様に援助をしてこられたように、ローラ様からもアレックス様やアンナ嬢に援助をしてほしいと。つまり、こういうことですか?」

身もふたもないユリウスの発言に、アレックスは鼻白んだ。

「そういう言い方はないだろう」

「言い方も何も、おっしゃったことを尋ね返しているだけです。誤解があってはいけませんので」

しゃあしゃあと言って、ユリウスは涼しい顔をしている。

それを聞いていると、ちょっとずつ頭が冷えてきた。

「クイーンズ家からの援助を失わず、親しく付き合い続ける方法は、アレックス様とローラ様が結婚することでした。ローラ様との婚約を破棄した時点で、公爵様や奥様がナイト家と絶縁することは予想できたはずです。
その覚悟もなく、あなたはアンナ嬢と結婚するとおっしゃったんですか?」

「別に……。お前のように、そんな計算ずくで動いちゃいない。人が人を愛するとき、そこに理屈なんかないだろう」

アレックスは腕組みをして、ふんぞり返った。

つまり、何も考えていませんでしたと。

それで、いざ私と絶縁してようやく、クイーンズ家とつながりが切れることへの不安が出てきたってことね。

いくらなんでも、それって都合がよすぎない?

「アンナは庶子とはいえ、ロベルト様の血を引く女性だ。彼女だってクイーンズ家の一員だ。だったら、これまでどおりクイーンズ家とナイト家が付き合いを続けてもおかしくはないだろう」

「そう思って、僕からも兄さんに手紙を書いたんだけどね。結局、返事は返ってこなかったよ」

ロベルトは肩をすくめ、やれやれと首を振った。

「僕には息子はたくさんいるんだが、娘はアンナだけでね。母親は正妻ではないけれど、僕なりに目をかけてきたつもりだよ。正式なクイーンズ家の嫡子ではないけれど、公爵令嬢を名乗ってもおかしくない娘だ」

「公爵令嬢は、公爵様の御息女でいらっしゃるローラ様だけです」

ユリウスが即座に切り返した。

そう、ロベルト叔父様は公爵の弟であって、公爵ではない。厳密に言うと、爵位すら持っていない。

「ロベルト叔父様。叔父様がアンナやアレックスと交流を持ち、援助することを止めはしません。ですが、クイーンズ公爵家は、正式にナイト家と交流を絶つと決断いたしました。
公爵家の名代として申し上げますが、この決断を変えるつもりはございません」

私は毅然とした態度で言った。
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