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王宮に入り、きらびやかなシャンデリアや花の飾られた廊下を通りすぎ、謁見の間に案内される。
しばらくすると、「ナサニエル王子殿下のお見えです」と先触れがあり、階段の上の豪華な椅子に王子が腰かけた。
「久しぶりだな!!ローラ。顔をよく見せてくれ」
明るく元気いっぱいの声に、私は顔を上げた。
燃えるような赤髪に、エメラルドグリーンの瞳。引き締まった体に、精悍な顔立ち。
この方こそ、テセオニア王国第一王子である、ナサニエル王子殿下だった。
「ご機嫌うるわしゅう存じます、殿下」
私はドレスの端を持って、公爵令嬢にふさわしい優雅なお辞儀をする。
「最後に会ったのは、年賀の挨拶だったか?」
「はい。年初めのパーティで、ご挨拶させていただきました」
「あれからまだ半年も経っていないのに、ますます綺麗になったな。見違えたぞ」
「とんでもございません。殿下も相変わらずご健勝のご様子、何よりでございます」
「おいおい、堅苦しいのはやめようぜ。いつもどおりネイトって呼んでくれよ」
私は苦笑した。
こんな感じで、王子はざっくばらんで気取らない人だ。
親戚同士だし、クイーンズ家は王家とも親しく交流があるので、小さいころから顔を合わせている。
だから、王子殿下というより、親戚のお兄ちゃんという感覚に近い。
「ユリウスも元気か?」
少し離れた場所に控えているユリウスを見て、王子は微笑みかけた。
「おかげさまでつつがなく過ごしております。お心遣いありがとうございます、殿下」
ユリウスは言って、美しいお辞儀をしてみせる。
ビショップ家は子爵だから、貴族の中ではあまり階級が高くない。
ただ、代々素晴らしいお医者さんを輩出してきた家系で、ユリウスのお父様も昔は王家の侍医(専門医師の1人)をしていたぐらい、高名な家柄だ。
だから、王子はユリウスともわりと親しい。年も王子が20歳で、ユリウスが21歳だから近いしね。
「こうして見ると、やっぱりナイト家に嫁がなかったのは正解だったみたいだな」
突然の爆弾発言に、私はぎょっとした。
しばらくすると、「ナサニエル王子殿下のお見えです」と先触れがあり、階段の上の豪華な椅子に王子が腰かけた。
「久しぶりだな!!ローラ。顔をよく見せてくれ」
明るく元気いっぱいの声に、私は顔を上げた。
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この方こそ、テセオニア王国第一王子である、ナサニエル王子殿下だった。
「ご機嫌うるわしゅう存じます、殿下」
私はドレスの端を持って、公爵令嬢にふさわしい優雅なお辞儀をする。
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「はい。年初めのパーティで、ご挨拶させていただきました」
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「とんでもございません。殿下も相変わらずご健勝のご様子、何よりでございます」
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私は苦笑した。
こんな感じで、王子はざっくばらんで気取らない人だ。
親戚同士だし、クイーンズ家は王家とも親しく交流があるので、小さいころから顔を合わせている。
だから、王子殿下というより、親戚のお兄ちゃんという感覚に近い。
「ユリウスも元気か?」
少し離れた場所に控えているユリウスを見て、王子は微笑みかけた。
「おかげさまでつつがなく過ごしております。お心遣いありがとうございます、殿下」
ユリウスは言って、美しいお辞儀をしてみせる。
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ただ、代々素晴らしいお医者さんを輩出してきた家系で、ユリウスのお父様も昔は王家の侍医(専門医師の1人)をしていたぐらい、高名な家柄だ。
だから、王子はユリウスともわりと親しい。年も王子が20歳で、ユリウスが21歳だから近いしね。
「こうして見ると、やっぱりナイト家に嫁がなかったのは正解だったみたいだな」
突然の爆弾発言に、私はぎょっとした。
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