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作戦会議を終えると、パーティーまで1時間を切っていた。

「リハーサルの時間はありません。あとはぶっつけ本番でいきましょう」

「分かった。やってみる」

そこへ扉をノックする音がして、ユリウスは立ち上がった。

「どなたですか?」

「マリー様が、どうしてもローラ様に一目お会いしたいとおっしゃっておられます」

「マリー? 来てくれたの?」

私は勢いよくソファーから立ち上がった。

それを見て、「通してくれ」とユリウスが言い、室内に人影が転がり込んでくる。

「ローラ!!」

ストレートの銀髪に青い瞳の美人が、物すごい勢いで突っ込んできた。

ハグというよりタックルに近い状態で抱きしめられ、私は「ぐふっ」と声を上げた。

この子はマリー・ルークス侯爵令嬢。私のお友達で、テセオニア王立学院のクラスメイトでもある。

「ローラ、私のローラ……!会いたかったわ。大丈夫なの?顔をよく見せて」

「むぐ~っ!」 

豊かな胸に顔を押しつけられて、窒息寸前になる。

マリーは「あら、ごめんなさい」と頬ずりするように私の顔に顔を近づける。

「知らせを聞いたときは、生きた心地がしなかったわ。一体どういうことなの?結婚式を中止するだなんて」

「マリー、どうして知ってるの?」

ぎょっとして聞き返すと、マリーは「しまった」というような顔をしたが、もう遅い。

「……実は今日の朝、早文が届いたのよ。『アレックス伯爵子息とローラ公爵令嬢の結婚式は、両者の合意のもと、中止になりました』という内容だったわ。わたくしは受け取っていないけれど、別の招待客の方から伺ったの。ナイト家側の招待客には、全員届いているみたいよ」

なるほど。ナイト家は先手を打ってきたらしい。

「どうせ、アレックスが何かしでかしたんでしょう?暴力沙汰とか、賭け事で借金とか」

マリーは怒ったように言った。

うーん。ここで本当のことを打ち明けたら、マリー激おこだろうな……。

マリーは友達思いで、すごく優しくて、ちょっと暴走気味なところがあるからな~。

「お二人は昨日、正式に婚約破棄をされました。原因はアレックス様の浮気です」

隣でユリウスがさらっと暴露したので、私はぎょっとした。
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