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真相編
ネリヤカナヤ 前編
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そして、たーくんとロクな会話がないまま迎えた沖縄臨海学校。
そこには市内の中学校が合流する。
中学で別々になった、たーくんと長い時間いられるという絶好の機会にも関わらず、私は彼の言葉がずっと引っかかって冷戦状態が続いていた。
枕が仲介になって、かろうじて会話が出来ていたのが不幸中の幸いだった。
さて臨海学校では現地の様々な文化の体験学習が出来る。そして私の学校の女子は、読谷山花織という地元の織物を作る実習だった。
そして想いの手巾、愛する人の旅の無事を祈って送る布というのが気に入ったのでそれを作り、ほぼ無言でたーくんにそれを渡した。
「時雨シャンのてぃーさーじ、織部しゃん喜んでたようでしゅ」
と枕から聞いた時には嬉しくなって、いつまでも一人でご機嫌斜めになってる場合じゃないと思った。
「ねえ、枕。お願いがあるんだけど」
そして私は頃合いを見て枕に退場してもらって、たーくんの手を引いて国際通りから離れた公園に向かった。
うっすらだけど、以前私はここに来た記憶があり、包み隠さず全てを話すためには絶好の場所に思えた。
……それなのに。
「なんだ、そんな事か」
私が全てを話した、その直後のたーくんの言葉がこれだ。私が好きな人は、実はただの薄情だった!?
「いや、時雨ちゃんなりに確かにその件も凄く悩んでたんだと思う。
けど、ここに僕を連れて来て隠し事を話すって聞いたからてっきり……」
たーくんは、そう言いかけて。
「でも、その様子だと時雨ちゃん知らないのか……」
「何、この期に及んで隠し事するの?
やっぱりたーくん、私の事嫌いなんだ!」
思わず私はそう叫んでしまう。
ああ、自分のこんな性格が嫌になる。
「じゃあ言うけど。君の父親の話だ」
えっ私の、行方不明の父が一体何?
「平成入道、というテロリストは知ってる?」
「うっうん、名前ぐらいは」
確かニュースで聞いた事がある。
確か過激な新興宗教団体に所属していて、爆弾を作って日本各地を爆破しまくった男だ。犠牲者も大勢出て、亡くなった人もいると聞く。
「特に踏むと作動する爆弾、いわゆる地雷をたくさん仕掛けていて、その幾つかはまだ見つかってないんだって」
「それって、ひょっとしてここ沖縄にも?」
「どころか、この公園にも過去に仕掛けられてていたらしい」
いやいや平成っていつの話?流石にもう全部撤去されてるでしょ……。
カチッ。
「……カチッ?」
どうやら私は、何かの起動装置を踏んでしまったようだ。
「時雨ちゃん、危ない!」
ドカァーン!
ふいにそんな音がして、私とたーくんの体は次の瞬間落下していた。
そこには市内の中学校が合流する。
中学で別々になった、たーくんと長い時間いられるという絶好の機会にも関わらず、私は彼の言葉がずっと引っかかって冷戦状態が続いていた。
枕が仲介になって、かろうじて会話が出来ていたのが不幸中の幸いだった。
さて臨海学校では現地の様々な文化の体験学習が出来る。そして私の学校の女子は、読谷山花織という地元の織物を作る実習だった。
そして想いの手巾、愛する人の旅の無事を祈って送る布というのが気に入ったのでそれを作り、ほぼ無言でたーくんにそれを渡した。
「時雨シャンのてぃーさーじ、織部しゃん喜んでたようでしゅ」
と枕から聞いた時には嬉しくなって、いつまでも一人でご機嫌斜めになってる場合じゃないと思った。
「ねえ、枕。お願いがあるんだけど」
そして私は頃合いを見て枕に退場してもらって、たーくんの手を引いて国際通りから離れた公園に向かった。
うっすらだけど、以前私はここに来た記憶があり、包み隠さず全てを話すためには絶好の場所に思えた。
……それなのに。
「なんだ、そんな事か」
私が全てを話した、その直後のたーくんの言葉がこれだ。私が好きな人は、実はただの薄情だった!?
「いや、時雨ちゃんなりに確かにその件も凄く悩んでたんだと思う。
けど、ここに僕を連れて来て隠し事を話すって聞いたからてっきり……」
たーくんは、そう言いかけて。
「でも、その様子だと時雨ちゃん知らないのか……」
「何、この期に及んで隠し事するの?
やっぱりたーくん、私の事嫌いなんだ!」
思わず私はそう叫んでしまう。
ああ、自分のこんな性格が嫌になる。
「じゃあ言うけど。君の父親の話だ」
えっ私の、行方不明の父が一体何?
「平成入道、というテロリストは知ってる?」
「うっうん、名前ぐらいは」
確かニュースで聞いた事がある。
確か過激な新興宗教団体に所属していて、爆弾を作って日本各地を爆破しまくった男だ。犠牲者も大勢出て、亡くなった人もいると聞く。
「特に踏むと作動する爆弾、いわゆる地雷をたくさん仕掛けていて、その幾つかはまだ見つかってないんだって」
「それって、ひょっとしてここ沖縄にも?」
「どころか、この公園にも過去に仕掛けられてていたらしい」
いやいや平成っていつの話?流石にもう全部撤去されてるでしょ……。
カチッ。
「……カチッ?」
どうやら私は、何かの起動装置を踏んでしまったようだ。
「時雨ちゃん、危ない!」
ドカァーン!
ふいにそんな音がして、私とたーくんの体は次の瞬間落下していた。
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