23 / 58
就活編
-20.6°F (未来テラス その2)
しおりを挟む
「全く、キモオタの洞察力は恐ろしいわね」
とエイコが僕に言い、
「そしてレン、この人が未来テラスの中の人、佐々木テレーゼさん」
と喫茶店でエイコに紹介を受けた時には、飲んでるコーヒーを思わず吹き出しそうになった。
えっ既に知り合いだったの!?
しかも本名の方が芸名っぽいってどう言う事!?
「祖母がドイツ人のクウォーターなんです。母も私もそちらからの命名で」
ちなみに祖母はディートリンデ、母はアンネリーゼと言うらしい。
「そして私のファンクラブ、会員番号48番でもあるわ」
ああ、そっちの関係者ね。
そりゃエイコも彼女の事知ってるし、全力で守るわな。
「で、お聞きしたいのですが佐々木さん。僕の知り合いが近所のスーパーで見かけたとの事ですが」
「……ああ、またですか」
また?よく分からないが否定はしていないようだ。
バーチャルライバーの場合本人に似せて作るか全くの別人かどちらかになるのが多いんだけど、未来テラスは彼女、佐々木テレーゼによく似ている。
キモオタ遠藤でなくても同一人物かと疑うレベルで。
「私の務めるスーパーでも精肉の佐藤さんや百均の田中さん、サービスカウンターの中村さんに加えてエリアマネージャーの佐藤さんにまで疑われてて」
その美人な容姿も相まって、店内の男たちが互いの足を引っ張り合う暗闘の日々を繰り広げているらしい。
「いっそもう辞めてしまう訳にはいかないんです?
何かバレた時点で大騒ぎになりそうですが」
と僕が尋ねると。
「それは……」
と佐々木さんは歯切れが悪い。
「彼女の代わりに代弁するとね、そうもいかない事情があるの」
とエイコ。
「話してもいいんじゃないかな、テレーゼ?レンは信用出来る人だから」
「エイコさんがそう言うなら……」
と佐々木さんは、その複雑な事情を話し始める。
確かに未来テラスはかなり稼いでいるが事務所の制約も多く、何より平面モデルで表情や動きも少ないため、将来的にはぬるぬる動く3Dモデルにして事務所からの独立も考えているが、その為に大金が必要で今は貯金しているとの事。
加えてスーパーが人手不足で、彼女は従業員としても優秀で引き留められて辞めるに辞めにくいとの事なのだ。
「つまり潤沢な資金と代わりの人員が入ったら辞められると」
と僕は聞き返す。
「確かにそうなのですが、そう簡単には」
「……レン、何とかなりそうなのね?」
「えっ?」
佐々木さんは驚いた表情を見せるが、
一方で流石僕の恋人、表情で察したか。
まあ上手くいくかは五分五分だけど。
とエイコが僕に言い、
「そしてレン、この人が未来テラスの中の人、佐々木テレーゼさん」
と喫茶店でエイコに紹介を受けた時には、飲んでるコーヒーを思わず吹き出しそうになった。
えっ既に知り合いだったの!?
しかも本名の方が芸名っぽいってどう言う事!?
「祖母がドイツ人のクウォーターなんです。母も私もそちらからの命名で」
ちなみに祖母はディートリンデ、母はアンネリーゼと言うらしい。
「そして私のファンクラブ、会員番号48番でもあるわ」
ああ、そっちの関係者ね。
そりゃエイコも彼女の事知ってるし、全力で守るわな。
「で、お聞きしたいのですが佐々木さん。僕の知り合いが近所のスーパーで見かけたとの事ですが」
「……ああ、またですか」
また?よく分からないが否定はしていないようだ。
バーチャルライバーの場合本人に似せて作るか全くの別人かどちらかになるのが多いんだけど、未来テラスは彼女、佐々木テレーゼによく似ている。
キモオタ遠藤でなくても同一人物かと疑うレベルで。
「私の務めるスーパーでも精肉の佐藤さんや百均の田中さん、サービスカウンターの中村さんに加えてエリアマネージャーの佐藤さんにまで疑われてて」
その美人な容姿も相まって、店内の男たちが互いの足を引っ張り合う暗闘の日々を繰り広げているらしい。
「いっそもう辞めてしまう訳にはいかないんです?
何かバレた時点で大騒ぎになりそうですが」
と僕が尋ねると。
「それは……」
と佐々木さんは歯切れが悪い。
「彼女の代わりに代弁するとね、そうもいかない事情があるの」
とエイコ。
「話してもいいんじゃないかな、テレーゼ?レンは信用出来る人だから」
「エイコさんがそう言うなら……」
と佐々木さんは、その複雑な事情を話し始める。
確かに未来テラスはかなり稼いでいるが事務所の制約も多く、何より平面モデルで表情や動きも少ないため、将来的にはぬるぬる動く3Dモデルにして事務所からの独立も考えているが、その為に大金が必要で今は貯金しているとの事。
加えてスーパーが人手不足で、彼女は従業員としても優秀で引き留められて辞めるに辞めにくいとの事なのだ。
「つまり潤沢な資金と代わりの人員が入ったら辞められると」
と僕は聞き返す。
「確かにそうなのですが、そう簡単には」
「……レン、何とかなりそうなのね?」
「えっ?」
佐々木さんは驚いた表情を見せるが、
一方で流石僕の恋人、表情で察したか。
まあ上手くいくかは五分五分だけど。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
25
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる