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食う寝るダンサーズは全員が専業という訳ではなく、普段は別の仕事をしている者も多い。
真姫さんの仕事は何と会社員、OLだ。
と言っても時間が自由に取れるテレワークみたいだけど、あの真姫さんが普通にOLをしているという絵は、俺からすれば少し違和感がある。
ちなみに会社名は『株式会社王牙コーポレーション』らしい。
どんな仕事をしてるのか気にはなるが、真姫さんは「ちょっと言えないわ」と詳細を教えてくれない。
まあ何にしろ専業ダンサーより会社員の真姫さんの方が一緒にいて何かと落ち着くのでありがたいことだ。
それはともかくとして……
「うーん……」
俺は今、非常に悩んでいた。
悩みの内容は言わずもがな、彼女からもらった例の精神安定剤。
「あら、おはよう。ここにいたのね」
「あ……真姫さん、今日はまた随分とお早いんですね」
キッチンにやってきた僕と彼女は対照的だ。
真姫さんは余裕に満ちた優雅さで挨拶をしてくる。
一方僕は落ち着きのない気遣わしげな素振りで、ちらちらと真姫さんを盗み見る。
「ああ。キッチンにはオーナーも他の料理人もいなかったから。
朝食ぐらいは作ろうかって、七時には起きたんだ」
「それって僕の為に?」
「ええ、キミの為に」
僕は例の精神安定剤について聞くべきかどうか迷っていると。
「まあ、別に隠してる訳じゃないから、知られてもいいとは思っているけど」
先に言葉をつなげたのは真姫さんだった。
「……キミはやっぱり嫌?」
「いえ、そんな事ないです。僕の方こそ、その……」
「何?」
「あ……いや……何でもないです」
「もうっ!何なのよ!」
真姫さんは少し怒ったように頬を膨らませるが、すぐに笑顔に戻る。
「まあいいわ。それで?キミはどうなのよ」
“どう”というのはつまり、真姫さんとの交際についてだろうか? 僕は一瞬迷ったが、素直に答える事にした。
「はい、僕も真姫さんとそういう関係になれるなら嬉しいです」
「そう……ありがとう」
そう言うと彼女は嬉しそうに微笑んだ。その笑顔はとても魅力的で、見ているだけでドキドキしてくる程だ。
そんな彼女の表情をもっと見ていたかったけれど、突然唇に柔らかい物が触れた事でそれも中断された。
キスされているのだと気付くまでに数秒かかったが、その間にも彼女の舌が僕の口内に侵入して来たのだった。
真姫さんの仕事は何と会社員、OLだ。
と言っても時間が自由に取れるテレワークみたいだけど、あの真姫さんが普通にOLをしているという絵は、俺からすれば少し違和感がある。
ちなみに会社名は『株式会社王牙コーポレーション』らしい。
どんな仕事をしてるのか気にはなるが、真姫さんは「ちょっと言えないわ」と詳細を教えてくれない。
まあ何にしろ専業ダンサーより会社員の真姫さんの方が一緒にいて何かと落ち着くのでありがたいことだ。
それはともかくとして……
「うーん……」
俺は今、非常に悩んでいた。
悩みの内容は言わずもがな、彼女からもらった例の精神安定剤。
「あら、おはよう。ここにいたのね」
「あ……真姫さん、今日はまた随分とお早いんですね」
キッチンにやってきた僕と彼女は対照的だ。
真姫さんは余裕に満ちた優雅さで挨拶をしてくる。
一方僕は落ち着きのない気遣わしげな素振りで、ちらちらと真姫さんを盗み見る。
「ああ。キッチンにはオーナーも他の料理人もいなかったから。
朝食ぐらいは作ろうかって、七時には起きたんだ」
「それって僕の為に?」
「ええ、キミの為に」
僕は例の精神安定剤について聞くべきかどうか迷っていると。
「まあ、別に隠してる訳じゃないから、知られてもいいとは思っているけど」
先に言葉をつなげたのは真姫さんだった。
「……キミはやっぱり嫌?」
「いえ、そんな事ないです。僕の方こそ、その……」
「何?」
「あ……いや……何でもないです」
「もうっ!何なのよ!」
真姫さんは少し怒ったように頬を膨らませるが、すぐに笑顔に戻る。
「まあいいわ。それで?キミはどうなのよ」
“どう”というのはつまり、真姫さんとの交際についてだろうか? 僕は一瞬迷ったが、素直に答える事にした。
「はい、僕も真姫さんとそういう関係になれるなら嬉しいです」
「そう……ありがとう」
そう言うと彼女は嬉しそうに微笑んだ。その笑顔はとても魅力的で、見ているだけでドキドキしてくる程だ。
そんな彼女の表情をもっと見ていたかったけれど、突然唇に柔らかい物が触れた事でそれも中断された。
キスされているのだと気付くまでに数秒かかったが、その間にも彼女の舌が僕の口内に侵入して来たのだった。
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