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第一章

始まりは異世界転生から

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 迫間来人、25歳。世間でこの歳くらいだと、そろそろ会社で新人期間が終わり、1人前になる頃だろうか。

 明かりが消え、遮光カーテンが完全に閉まっているLKの部屋。ここが俺の居住空間、いや居住世界といった方が適切か。

 そんなことを考えながら、今日も1人俺はベットに眠る。

 (今日も何にもしなかった……)


 _____7年前のあの日。

 俺は、大学入試に落ちた。
 別段、何が悪いとか言うわけではなかったと思う。日々の勉強だって怠らなかったし、当日だって過度に緊張していた訳でもなかった。

 
だが、何より辛かったのは、その後の学校生活だった。周りの人達は皆、名だたる大学に受かっていた。
 
 何時も、浮ついた気分で過ごしている奴らは、見ていて気持ちの良いものではなかった。そういう奴らに限って、俺に気付くと、申し訳なさそうな顔をする。

 

「なんか悪いな……お前、確か単願だったんだっけ。まぁ、元気出せよ」

 そう、無責任な言葉をかけられたりもした。『落ちたヤツ』の気持ちは『落ちたヤツ』にしか分からない。

 
結局俺は、その空間に居るのが耐えられなくなり、ヒキニートになった。
 幸い、現代社会には、FXと宅配便という素晴らしいシステムがある為、生活には困らなかった。ある程度稼いだ後、実家からアパートに移り住み、親にも迷惑をかけることも無くなった。

 その引っ越し以来、俺は外界に出ていない。

 ダラダラと生産性のない日々を送るのは想像以上に厳しかった。外へ出て働かないととは思っているものの、行動に移せない。

 「はぁ、いっその事死ねたらな~」

 軽い気持ちで言った。ただそれだけのつもり、独り言で終わるはずだった一言。

 だが、運命というものは時として人知を超えることを引き起こす。

 「うぐっ……!?」

 急に胸が苦しくなった。本当に突然に。走馬灯が出る。噂によると、走馬灯は、脳が生き残るための方法を記憶の中から探しているらしい。

 でも、俺の人生はろくなことが思い出されない。いつしか胸の苦しみなど忘れていた。それ程辛い思い出しかなかった。
 
 段々と、意識が遠のいていく。これは、もう『ダメ』だなと悟った。助けてくれる人もいない。下手をしたら、気付かれすらしないかも知れない。

  まぶたが重い。何故だろうか、とても心地が良い。不覚にも、死ぬのも悪くないと思ってしまった。

 


 意、しきが………と、おの………い、く…………



 

こうして俺は短い生涯の幕を閉じた。
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