2 / 14
第一章
始まりは異世界転生から
しおりを挟む
迫間来人、25歳。世間でこの歳くらいだと、そろそろ会社で新人期間が終わり、1人前になる頃だろうか。
明かりが消え、遮光カーテンが完全に閉まっているLKの部屋。ここが俺の居住空間、いや居住世界といった方が適切か。
そんなことを考えながら、今日も1人俺はベットに眠る。
(今日も何にもしなかった……)
_____7年前のあの日。
俺は、大学入試に落ちた。
別段、何が悪いとか言うわけではなかったと思う。日々の勉強だって怠らなかったし、当日だって過度に緊張していた訳でもなかった。
だが、何より辛かったのは、その後の学校生活だった。周りの人達は皆、名だたる大学に受かっていた。
何時も、浮ついた気分で過ごしている奴らは、見ていて気持ちの良いものではなかった。そういう奴らに限って、俺に気付くと、申し訳なさそうな顔をする。
「なんか悪いな……お前、確か単願だったんだっけ。まぁ、元気出せよ」
そう、無責任な言葉をかけられたりもした。『落ちたヤツ』の気持ちは『落ちたヤツ』にしか分からない。
結局俺は、その空間に居るのが耐えられなくなり、ヒキニートになった。
幸い、現代社会には、FXと宅配便という素晴らしいシステムがある為、生活には困らなかった。ある程度稼いだ後、実家からアパートに移り住み、親にも迷惑をかけることも無くなった。
その引っ越し以来、俺は外界に出ていない。
ダラダラと生産性のない日々を送るのは想像以上に厳しかった。外へ出て働かないととは思っているものの、行動に移せない。
「はぁ、いっその事死ねたらな~」
軽い気持ちで言った。ただそれだけのつもり、独り言で終わるはずだった一言。
だが、運命というものは時として人知を超えることを引き起こす。
「うぐっ……!?」
急に胸が苦しくなった。本当に突然に。走馬灯が出る。噂によると、走馬灯は、脳が生き残るための方法を記憶の中から探しているらしい。
でも、俺の人生はろくなことが思い出されない。いつしか胸の苦しみなど忘れていた。それ程辛い思い出しかなかった。
段々と、意識が遠のいていく。これは、もう『ダメ』だなと悟った。助けてくれる人もいない。下手をしたら、気付かれすらしないかも知れない。
瞼が重い。何故だろうか、とても心地が良い。不覚にも、死ぬのも悪くないと思ってしまった。
意、しきが………と、おの………い、く…………
こうして俺は短い生涯の幕を閉じた。
明かりが消え、遮光カーテンが完全に閉まっているLKの部屋。ここが俺の居住空間、いや居住世界といった方が適切か。
そんなことを考えながら、今日も1人俺はベットに眠る。
(今日も何にもしなかった……)
_____7年前のあの日。
俺は、大学入試に落ちた。
別段、何が悪いとか言うわけではなかったと思う。日々の勉強だって怠らなかったし、当日だって過度に緊張していた訳でもなかった。
だが、何より辛かったのは、その後の学校生活だった。周りの人達は皆、名だたる大学に受かっていた。
何時も、浮ついた気分で過ごしている奴らは、見ていて気持ちの良いものではなかった。そういう奴らに限って、俺に気付くと、申し訳なさそうな顔をする。
「なんか悪いな……お前、確か単願だったんだっけ。まぁ、元気出せよ」
そう、無責任な言葉をかけられたりもした。『落ちたヤツ』の気持ちは『落ちたヤツ』にしか分からない。
結局俺は、その空間に居るのが耐えられなくなり、ヒキニートになった。
幸い、現代社会には、FXと宅配便という素晴らしいシステムがある為、生活には困らなかった。ある程度稼いだ後、実家からアパートに移り住み、親にも迷惑をかけることも無くなった。
その引っ越し以来、俺は外界に出ていない。
ダラダラと生産性のない日々を送るのは想像以上に厳しかった。外へ出て働かないととは思っているものの、行動に移せない。
「はぁ、いっその事死ねたらな~」
軽い気持ちで言った。ただそれだけのつもり、独り言で終わるはずだった一言。
だが、運命というものは時として人知を超えることを引き起こす。
「うぐっ……!?」
急に胸が苦しくなった。本当に突然に。走馬灯が出る。噂によると、走馬灯は、脳が生き残るための方法を記憶の中から探しているらしい。
でも、俺の人生はろくなことが思い出されない。いつしか胸の苦しみなど忘れていた。それ程辛い思い出しかなかった。
段々と、意識が遠のいていく。これは、もう『ダメ』だなと悟った。助けてくれる人もいない。下手をしたら、気付かれすらしないかも知れない。
瞼が重い。何故だろうか、とても心地が良い。不覚にも、死ぬのも悪くないと思ってしまった。
意、しきが………と、おの………い、く…………
こうして俺は短い生涯の幕を閉じた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる