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日曜日のこと
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それは2020年6月28日
「あ!ねこ!!」
車が急停止する…後続車がいなくてよかった。
「ちょっと戻るから捕まえて!」
「って、ねこ?どこ?」
車は進行方向を変えないまま数メートルの距離をバックした。
「どこ?ねこなんて見えないよ?」
「ガードレールのとこにおった。あのままだと轢かれるかもしれん。」
「え~?」
助手席から降り。半信半疑ながら指示されたあたりに近づく。草が生い茂り、ねこらしい姿は見えない。
「もう奥に行っちゃったんじゃない?」
そう言いながら草むらに手をかける。
『ぴゃ~』
ねこの声…それも子ねこの声と思しきか細い声。草むらの奥に目をこらすとかすかに動く白い物体。
「いた!でもどんどん奥に行こうとしてる。」
「じゃあ、こっちからまわってみる!」
車からおりてガードレールをまたいで越え、草むらの中に入っていく。濡れた草に足を取られて半ば転びかける。
「あんまり深くまで行くと滑り落ちて危ないから用心してよ。」
そう言いながら時おりか細い声をあげながら動き回る白いかたまりをガードレールのこちらがわから見失わないように目で追い続ける。
警戒してか、道路側には近づいてこない。けれど奥は急な斜面が川へと続いているうえに草も深く雑木も多数生えているので足場が悪く、奥に逃げていこうともしない。
…どのくらいの時間そうしていただろう?10分とか20分くらいたったころ、その場所に私たちが『いる』ことに慣れたのか、好奇心のほうが勝ってきたのか。奥まったほうではなく、道路に近いあたりへと寄ってくるようになった。
草むらの中の物体がこっちを見ている。
じっと見つめ返し、ゆっくりと目を閉じてゆっくりと開く。そんな動作を繰り返してみる。
ガードレールの向こう側でも、驚かさないように、草を軽く揺らしながら興味を引く動作をしている。
3メートル
2メートル
1メートル
少しずつ間合いを詰めていく。
と、そのとき何に気を取られたのか白い物体が背を向けた。
(今だ!)
すくい上げるように捕まえて私に託し、ガードレールを越えて戻ってくる。
白くて暖かいちいさなかたまり。
やわらかくて、軽くて。
全体の色は白っぽいのに耳と鼻の周り、そしてお尻のあたりの毛が若干黒みを帯びている…シャム猫風の模様。そしてカギしっぽ。
…去年病死した愛猫の小さいころによく似た猫だった。
ちょっとでも強い力を加えたら折れてしまいそうなか細い身体。
抱きかかえたまま車に戻る。外出予定を一旦中止して帰宅の道を取る。家に着くまでの間、心細いのか、車の振動が気持ち悪いのか、ひざに抱かれたまま『ぴゃーぴゃー』と泣きつづける。鳴き声がだんだん大きくなる。そしてねこ用のキャリーに入れなおして日曜日も診察してくれる獣医さんのところに向かった。
「名前、決めなきゃね。」
「チャイ2号」
「却下」
「ニハチ」
「蕎麦かい!」
そういう会話を続けていくうちにふと出てきた名前。
”白っぽくてふわふわしているから”
『小麦』
彼が家族になって、二週間になる。
「あ!ねこ!!」
車が急停止する…後続車がいなくてよかった。
「ちょっと戻るから捕まえて!」
「って、ねこ?どこ?」
車は進行方向を変えないまま数メートルの距離をバックした。
「どこ?ねこなんて見えないよ?」
「ガードレールのとこにおった。あのままだと轢かれるかもしれん。」
「え~?」
助手席から降り。半信半疑ながら指示されたあたりに近づく。草が生い茂り、ねこらしい姿は見えない。
「もう奥に行っちゃったんじゃない?」
そう言いながら草むらに手をかける。
『ぴゃ~』
ねこの声…それも子ねこの声と思しきか細い声。草むらの奥に目をこらすとかすかに動く白い物体。
「いた!でもどんどん奥に行こうとしてる。」
「じゃあ、こっちからまわってみる!」
車からおりてガードレールをまたいで越え、草むらの中に入っていく。濡れた草に足を取られて半ば転びかける。
「あんまり深くまで行くと滑り落ちて危ないから用心してよ。」
そう言いながら時おりか細い声をあげながら動き回る白いかたまりをガードレールのこちらがわから見失わないように目で追い続ける。
警戒してか、道路側には近づいてこない。けれど奥は急な斜面が川へと続いているうえに草も深く雑木も多数生えているので足場が悪く、奥に逃げていこうともしない。
…どのくらいの時間そうしていただろう?10分とか20分くらいたったころ、その場所に私たちが『いる』ことに慣れたのか、好奇心のほうが勝ってきたのか。奥まったほうではなく、道路に近いあたりへと寄ってくるようになった。
草むらの中の物体がこっちを見ている。
じっと見つめ返し、ゆっくりと目を閉じてゆっくりと開く。そんな動作を繰り返してみる。
ガードレールの向こう側でも、驚かさないように、草を軽く揺らしながら興味を引く動作をしている。
3メートル
2メートル
1メートル
少しずつ間合いを詰めていく。
と、そのとき何に気を取られたのか白い物体が背を向けた。
(今だ!)
すくい上げるように捕まえて私に託し、ガードレールを越えて戻ってくる。
白くて暖かいちいさなかたまり。
やわらかくて、軽くて。
全体の色は白っぽいのに耳と鼻の周り、そしてお尻のあたりの毛が若干黒みを帯びている…シャム猫風の模様。そしてカギしっぽ。
…去年病死した愛猫の小さいころによく似た猫だった。
ちょっとでも強い力を加えたら折れてしまいそうなか細い身体。
抱きかかえたまま車に戻る。外出予定を一旦中止して帰宅の道を取る。家に着くまでの間、心細いのか、車の振動が気持ち悪いのか、ひざに抱かれたまま『ぴゃーぴゃー』と泣きつづける。鳴き声がだんだん大きくなる。そしてねこ用のキャリーに入れなおして日曜日も診察してくれる獣医さんのところに向かった。
「名前、決めなきゃね。」
「チャイ2号」
「却下」
「ニハチ」
「蕎麦かい!」
そういう会話を続けていくうちにふと出てきた名前。
”白っぽくてふわふわしているから”
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彼が家族になって、二週間になる。
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