78 / 90
いざ総力戦へ
78
しおりを挟む
「怯むなかかれ!!!!!!
攻撃の手を休めるな!!!!!!
活路を開け!!!!!!」
キースが聖剣を振りながら騎士に向かって怒鳴る。
騎士達は捨て身で一撃でも届かせようとアリオクへと飛びかかった。
空へと逃げようとしたアリオクに向かってさらにその上から飛び上がったシルフィーが斬り掛かる。
アリオクが指先を振るった瞬間盾を作るが全員を守る事は叶わず足元に事切れた騎士が転がった。
地面が仲間の血で真っ赤に染まる。
アリオクがもう一度振るおうとしたその腕をガウルが叩き切った。
その剣の速さに少しだけアリオクが目を開く。
騎士団の総当り戦で優勝した実力は伊達じゃなかったのだろう。
彼の動きは騎士団の誰よりも速かった。
その背後からレイモンドが炎で出来た剣で左肩を焼き切った。
その上からレイモンドが描いたその線をなぞる様にキースが聖剣を振り下ろすが、先に傷を修復され心臓を切る事は叶わない。
聖剣は魔族の身体を溶かす事は出来るが4眷属ではそれは出来ない。
そもそも斬るために作られた剣ではない為に斬れ味も悪い。
その為に誰かが先に心臓までの通路をこじ開けてから、そこに聖剣を捩じ込む必要があった。
だがそう簡単に上手くいくはずがない。
アリオクの身体の修復の速さが尋常ではないのだ。
コンマ数秒の差で同時に叩き切るしか方法がないが、アリオクが大人しく切られてくれるはずもない。
「……持久戦だな」
ガウルの言葉にシルフィーはチラリと視線を向ける。
ガウルは胸元から取り出した聖水を剣にかけながら口を動かす。
「あいつが元気なうちは絶対に修復されて上手くいく訳がねえ。
だがこれが3日後ならどうだ?
1週間後ならどうだ?
あいつが疲労で崩れるまで無理に狙わず攻撃し続けた方が勝機はある」
「……それ私達の方が先に終わりません?」
「だから持久戦だっつってんだろ。
耐えられなくなった方が負けだ。
死にたくなかったら戦い続けろ。
この前やったばっかだろうが」
「……うっす」
「ゴミみてぇな弱者でもずっと倒し続ければいつか疲れが見える。
それまでてめえは意地でも守備に回れ。
アリオクから騎士を守れ。
攻撃出来なくなるのが一番やべえからな。
弾を切らすな」
「騎士を弾扱いはどうかと…」
「俺達も全員弾だろうが。
国を守る為のな」
よし行くぞとガウルが立ち上がりアリオクに向かって行く。
シルフィーはアリオクの攻撃に備え掌に土の魔素を集めた。
シルフィーはあまり他人を守る事は得意では無かった。
守りたいと言う意思が弱いのかもしれないが。
だが。
そうしなければ倒せないと言うならば。
それが自分の役目だと言うならば。
守り続けて見せようじゃないか。
最後まで。
これ以上は誰も死なせずに。
飛びかかる騎士達に向かってアリオクの指先が動いた。
シルフィーは騎士達の目の前に飛び込み土の盾で真正面から魔術を受け止めた。
爆発の衝撃で腕がミシリと音を立てた。
盾が高い音を立てて砕け散る。
だがすぐにまたシルフィーは今度は水の魔素を掌に集めた。
何度でも受け止めてやる。
何度だって守ってやる。
だから。
だから戦い続けて。
だから共に歩んで。
騎士達にもその庇った背中から何かが通じたのか怯むことなくアリオクに飛びかかっていく。
それは長い地獄の幕開けであった。
攻撃の手を休めるな!!!!!!
活路を開け!!!!!!」
キースが聖剣を振りながら騎士に向かって怒鳴る。
騎士達は捨て身で一撃でも届かせようとアリオクへと飛びかかった。
空へと逃げようとしたアリオクに向かってさらにその上から飛び上がったシルフィーが斬り掛かる。
アリオクが指先を振るった瞬間盾を作るが全員を守る事は叶わず足元に事切れた騎士が転がった。
地面が仲間の血で真っ赤に染まる。
アリオクがもう一度振るおうとしたその腕をガウルが叩き切った。
その剣の速さに少しだけアリオクが目を開く。
騎士団の総当り戦で優勝した実力は伊達じゃなかったのだろう。
彼の動きは騎士団の誰よりも速かった。
その背後からレイモンドが炎で出来た剣で左肩を焼き切った。
その上からレイモンドが描いたその線をなぞる様にキースが聖剣を振り下ろすが、先に傷を修復され心臓を切る事は叶わない。
聖剣は魔族の身体を溶かす事は出来るが4眷属ではそれは出来ない。
そもそも斬るために作られた剣ではない為に斬れ味も悪い。
その為に誰かが先に心臓までの通路をこじ開けてから、そこに聖剣を捩じ込む必要があった。
だがそう簡単に上手くいくはずがない。
アリオクの身体の修復の速さが尋常ではないのだ。
コンマ数秒の差で同時に叩き切るしか方法がないが、アリオクが大人しく切られてくれるはずもない。
「……持久戦だな」
ガウルの言葉にシルフィーはチラリと視線を向ける。
ガウルは胸元から取り出した聖水を剣にかけながら口を動かす。
「あいつが元気なうちは絶対に修復されて上手くいく訳がねえ。
だがこれが3日後ならどうだ?
1週間後ならどうだ?
あいつが疲労で崩れるまで無理に狙わず攻撃し続けた方が勝機はある」
「……それ私達の方が先に終わりません?」
「だから持久戦だっつってんだろ。
耐えられなくなった方が負けだ。
死にたくなかったら戦い続けろ。
この前やったばっかだろうが」
「……うっす」
「ゴミみてぇな弱者でもずっと倒し続ければいつか疲れが見える。
それまでてめえは意地でも守備に回れ。
アリオクから騎士を守れ。
攻撃出来なくなるのが一番やべえからな。
弾を切らすな」
「騎士を弾扱いはどうかと…」
「俺達も全員弾だろうが。
国を守る為のな」
よし行くぞとガウルが立ち上がりアリオクに向かって行く。
シルフィーはアリオクの攻撃に備え掌に土の魔素を集めた。
シルフィーはあまり他人を守る事は得意では無かった。
守りたいと言う意思が弱いのかもしれないが。
だが。
そうしなければ倒せないと言うならば。
それが自分の役目だと言うならば。
守り続けて見せようじゃないか。
最後まで。
これ以上は誰も死なせずに。
飛びかかる騎士達に向かってアリオクの指先が動いた。
シルフィーは騎士達の目の前に飛び込み土の盾で真正面から魔術を受け止めた。
爆発の衝撃で腕がミシリと音を立てた。
盾が高い音を立てて砕け散る。
だがすぐにまたシルフィーは今度は水の魔素を掌に集めた。
何度でも受け止めてやる。
何度だって守ってやる。
だから。
だから戦い続けて。
だから共に歩んで。
騎士達にもその庇った背中から何かが通じたのか怯むことなくアリオクに飛びかかっていく。
それは長い地獄の幕開けであった。
0
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
「白い結婚最高!」と喜んでいたのに、花の香りを纏った美形旦那様がなぜか私を溺愛してくる【完結】
清澄 セイ
恋愛
フィリア・マグシフォンは子爵令嬢らしからぬのんびりやの自由人。自然の中でぐうたらすることと、美味しいものを食べることが大好きな恋を知らないお子様。
そんな彼女も18歳となり、強烈な母親に婚約相手を選べと毎日のようにせっつかれるが、選び方など分からない。
「どちらにしようかな、天の神様の言う通り。はい、決めた!」
こんな具合に決めた相手が、なんと偶然にもフィリアより先に結婚の申し込みをしてきたのだ。相手は王都から遠く離れた場所に膨大な領地を有する辺境伯の一人息子で、顔を合わせる前からフィリアに「これは白い結婚だ」と失礼な手紙を送りつけてくる癖者。
けれど、彼女にとってはこの上ない条件の相手だった。
「白い結婚?王都から離れた田舎?全部全部、最高だわ!」
夫となるオズベルトにはある秘密があり、それゆえ女性不信で態度も酷い。しかも彼は「結婚相手はサイコロで適当に決めただけ」と、面と向かってフィリアに言い放つが。
「まぁ、偶然!私も、そんな感じで選びました!」
彼女には、まったく通用しなかった。
「なぁ、フィリア。僕は君をもっと知りたいと……」
「好きなお肉の種類ですか?やっぱり牛でしょうか!」
「い、いや。そうではなく……」
呆気なくフィリアに初恋(?)をしてしまった拗らせ男は、鈍感な妻に不器用ながらも愛を伝えるが、彼女はそんなことは夢にも思わず。
──旦那様が真実の愛を見つけたらさくっと離婚すればいい。それまでは田舎ライフをエンジョイするのよ!
と、呑気に蟻の巣をつついて暮らしているのだった。
※他サイトにも掲載中。
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
私は幼い頃に死んだと思われていた侯爵令嬢でした
さこの
恋愛
幼い頃に誘拐されたマリアベル。保護してくれた男の人をお母さんと呼び、父でもあり兄でもあり家族として暮らしていた。
誘拐される以前の記憶は全くないが、ネックレスにマリアベルと名前が記されていた。
数年後にマリアベルの元に侯爵家の遣いがやってきて、自分は貴族の娘だと知る事になる。
お母さんと呼ぶ男の人と離れるのは嫌だが家に戻り家族と会う事になった。
片田舎で暮らしていたマリアベルは貴族の子女として学ぶ事になるが、不思議と読み書きは出来るし食事のマナーも悪くない。
お母さんと呼ばれていた男は何者だったのだろうか……? マリアベルは貴族社会に馴染めるのか……
っと言った感じのストーリーです。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
そして誰も要らなくなった...
真理亜
恋愛
公爵令嬢のリアナは学園の卒業パーティーで婚約者である第2王子のセシルから婚約破棄を告げられる。その理不尽なやり方にリアナの怒りが爆発する。そして誰も...
婚約者に見殺しにされた愚かな傀儡令嬢、時を逆行する
蓮恭
恋愛
父親が自分を呼ぶ声が聞こえたその刹那、熱いものが全身を巡ったような、そんな感覚に陥った令嬢レティシアは、短く唸って冷たい石造りの床へと平伏した。
視界は徐々に赤く染まり、せっかく身を挺して庇った侯爵も、次の瞬間にはリュシアンによって屠られるのを見た。
「リュシ……アン……さ、ま」
せめて愛するリュシアンへと手を伸ばそうとするが、無情にも嘲笑を浮かべた女騎士イリナによって叩き落とされる。
「安心して死になさい。愚かな傀儡令嬢レティシア。これから殿下の事は私がお支えするから心配いらなくてよ」
お願い、最後に一目だけ、リュシアンの表情が見たいとレティシアは願った。
けれどそれは自分を見下ろすイリナによって阻まれる。しかし自分がこうなってもリュシアンが駆け寄ってくる気配すらない事から、本当に嫌われていたのだと実感し、痛みと悲しみで次々に涙を零した。
両親から「愚かであれ、傀儡として役立て」と育てられた侯爵令嬢レティシアは、徐々に最愛の婚約者、皇太子リュシアンの愛を失っていく。
民の信頼を失いつつある帝国の改革のため立ち上がった皇太子は、女騎士イリナと共に謀反を起こした。
その時レティシアはイリナによって刺殺される。
悲しみに包まれたレティシアは何らかの力によって時を越え、まだリュシアンと仲が良かった幼い頃に逆行し、やり直しの機会を与えられる。
二度目の人生では傀儡令嬢であったレティシアがどのように生きていくのか?
婚約者リュシアンとの仲は?
二度目の人生で出会う人物達との交流でレティシアが得たものとは……?
※逆行、回帰、婚約破棄、悪役令嬢、やり直し、愛人、暴力的な描写、死産、シリアス、の要素があります。
ヒーローについて……読者様からの感想を見ていただくと分かる通り、完璧なヒーローをお求めの方にはかなりヤキモキさせてしまうと思います。
どこか人間味があって、空回りしたり、過ちも犯す、そんなヒーローを支えていく不憫で健気なヒロインを応援していただければ、作者としては嬉しい限りです。
必ずヒロインにとってハッピーエンドになるよう書き切る予定ですので、宜しければどうか最後までお付き合いくださいませ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる