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似非王子と欠陥令嬢
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キャロルは噴き出してしまった。
色気も何もない会話。
プロポーズにしたってもう少しあるだろう。
だがキャロルにはそれが心地好い。
「良いんですか?
私世界征服とか言い出すかもしれませんよ。」
「私は魔王らしいからね。
ちょうど良いんじゃない?」
飄々と返すルシウスにキャロルは降参とばかりに両手を上げた。
「分かりましたよ。
世界を征服してやりますよ。」
キャロルの言葉を聞いたルシウスが一瞬目を見開く。
「…本当に?」
「なんでびっくりしてんですか。
どうせ断っても王命なら従うしかないじゃないですか。
それに」
「それに?」
キャロルは視線を背けながらモジモジと言葉を絞り出す。
「…1人で暮らすより殿下達と暮らす方が楽しかったのは事実ですから。」
キャロルの答えにルシウスの顔が綻ぶ。
花が咲き誇るかの様な眩しいくらいに幸せそうな笑顔。
蕩けるような笑顔に一瞬で鳥肌が立つ。
「…10年経っても酷いねキャロルって。」
「すいません。
その笑顔やっぱり色々あれでして。」
「あれって何あれって。」
ルシウスがブツブツ言っていると背後の扉が勢いよく開く。
「よっしゃア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」
扉に張り付いていたのであろう人々が謁見の間になだれ込んで来た。
「兄上のあんなプロポーズでも何でもない言葉に頷いてくれるなんて!!」
「キャロル様グッジョブですわ!!」
「えっ今のイエスなんだよねキャロルさん!?」
「さすが変人ワインスト家。」
「祝いだ!
飲み明かすぞキャロル!!!」
様々な声が飛び交い訳が分からない。
だが祝ってくれているのは確かなのだろう。
ルシウスが溜息を着いた。
「…もう好きにしたら良いよ。」
ただその声には明らかに照れ隠しが混じっていてレオンに髪をグシャグシャと掻き回されている。
キャロルに聖女と妹が抱き着きわんわんと泣いている。
帰ってきたのだと思わされた。
皆の元に帰って来たのだと。
この感情を人は幸せと呼ぶのだろうと。
後世においてルシウス国王の時代は改革の時代と歴史書に記されている。
その時代の改革については記載されているが王妃についての見解は諸説ある。
生涯仲睦まじい夫婦であったとされる物や親友のようであったとされる物。
また調教師と猛獣のようだとの宰相の日記による記述もある。
真相は今となっては分からない。
ただ言えるのは生涯2人は共にあった事。
この物語はめでたしめでたしで終わるという事のみである。
《完》
色気も何もない会話。
プロポーズにしたってもう少しあるだろう。
だがキャロルにはそれが心地好い。
「良いんですか?
私世界征服とか言い出すかもしれませんよ。」
「私は魔王らしいからね。
ちょうど良いんじゃない?」
飄々と返すルシウスにキャロルは降参とばかりに両手を上げた。
「分かりましたよ。
世界を征服してやりますよ。」
キャロルの言葉を聞いたルシウスが一瞬目を見開く。
「…本当に?」
「なんでびっくりしてんですか。
どうせ断っても王命なら従うしかないじゃないですか。
それに」
「それに?」
キャロルは視線を背けながらモジモジと言葉を絞り出す。
「…1人で暮らすより殿下達と暮らす方が楽しかったのは事実ですから。」
キャロルの答えにルシウスの顔が綻ぶ。
花が咲き誇るかの様な眩しいくらいに幸せそうな笑顔。
蕩けるような笑顔に一瞬で鳥肌が立つ。
「…10年経っても酷いねキャロルって。」
「すいません。
その笑顔やっぱり色々あれでして。」
「あれって何あれって。」
ルシウスがブツブツ言っていると背後の扉が勢いよく開く。
「よっしゃア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」
扉に張り付いていたのであろう人々が謁見の間になだれ込んで来た。
「兄上のあんなプロポーズでも何でもない言葉に頷いてくれるなんて!!」
「キャロル様グッジョブですわ!!」
「えっ今のイエスなんだよねキャロルさん!?」
「さすが変人ワインスト家。」
「祝いだ!
飲み明かすぞキャロル!!!」
様々な声が飛び交い訳が分からない。
だが祝ってくれているのは確かなのだろう。
ルシウスが溜息を着いた。
「…もう好きにしたら良いよ。」
ただその声には明らかに照れ隠しが混じっていてレオンに髪をグシャグシャと掻き回されている。
キャロルに聖女と妹が抱き着きわんわんと泣いている。
帰ってきたのだと思わされた。
皆の元に帰って来たのだと。
この感情を人は幸せと呼ぶのだろうと。
後世においてルシウス国王の時代は改革の時代と歴史書に記されている。
その時代の改革については記載されているが王妃についての見解は諸説ある。
生涯仲睦まじい夫婦であったとされる物や親友のようであったとされる物。
また調教師と猛獣のようだとの宰相の日記による記述もある。
真相は今となっては分からない。
ただ言えるのは生涯2人は共にあった事。
この物語はめでたしめでたしで終わるという事のみである。
《完》
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