284 / 339
革命の刻
284
しおりを挟む
「そして時渡りの他に使用した禁術は二種類。
魔力劫掠術と心身玩弄術でございます。
そちらも文の中に記載がございますのでご確認下さいませ。
ワインスト家に対する禁術の使用は以上となります。」
キャロルはふっと顔を上げた。
王妃がこちらを憎悪の眼差しで睨み付けている。
だがキャロルだって憎悪なら負けていない。
どれだけ憎んでも憎み足りない程憎くて堪らないのだから。
キャロルはニヤリと挑発する様に笑みを浮かべる。
まだまだ終わらせるわけがないだろう。
「続きましてマリアヌ国王族に対する罪状について述べさせて頂きます。
まずイザベラ前王妃陛下に対する魔力劫掠術の使用及び殺害。
またルシウス王太子殿下に対する毒の混入、又は暗殺の命令。
ルシウス王太子殿下に関しましては証拠が残っていた物で429件ございます。
そちらの羊皮紙に纏めてありますので後程精査の程よろしくお願い致します。」
これらを集めてくれたのはアグネス嬢の父カルヴィン公爵だ。
エバンネ王妃派の貴族を探り見つかる限りの証拠を探し出してくれた。
レオンが助けを求めると数日で山積みの証拠品を渡してくれたと言う。
さすが公爵家だ。
その中で立件出来そうな物をフワリー嬢とアグネス嬢で纏めてくれたという。
「そして最後に聖女を偽装し異世界召喚術の使用について。」
キャロルはハリーの横に座る彩花嬢に視線をやる。
彩花嬢は真っ直ぐにキャロルを見詰め小さく頷いた。
「異世界召喚術については王妃陛下の命でアルバート公が行ったという文が残されております。
…また聖女様本人への確認で異世界召喚術によって召喚された者に見られる特徴と一致しました。
まず魔力量の少なさ。
こちらが聖女様の教会で調べた魔力に関する資料です。」
キャロルはペラリと羊皮紙を掲げた。
「聖女様の総魔力量はAランク。
これは王族と並ぶ程の魔力量を持つとされる聖女にしては低いと判断出来るかと。
…そしてもう1つ。
聖女様御本人がこちらに渡る際突然地面が光り吸い込まれたと証言なさっておられます。
これは亡くなった記憶を持つとされる聖女との違いに当てはまります。
ただ聖女様には光魔術が使用出来る。
この事から聖女様はアルバート公が召喚した人物であると断定出来ると思われます。」
ハリーが心配そうに彩花嬢の肩を抱き締める。
だが彩花嬢は真っ直ぐにキャロルを見詰めたままだ。
魔力劫掠術と心身玩弄術でございます。
そちらも文の中に記載がございますのでご確認下さいませ。
ワインスト家に対する禁術の使用は以上となります。」
キャロルはふっと顔を上げた。
王妃がこちらを憎悪の眼差しで睨み付けている。
だがキャロルだって憎悪なら負けていない。
どれだけ憎んでも憎み足りない程憎くて堪らないのだから。
キャロルはニヤリと挑発する様に笑みを浮かべる。
まだまだ終わらせるわけがないだろう。
「続きましてマリアヌ国王族に対する罪状について述べさせて頂きます。
まずイザベラ前王妃陛下に対する魔力劫掠術の使用及び殺害。
またルシウス王太子殿下に対する毒の混入、又は暗殺の命令。
ルシウス王太子殿下に関しましては証拠が残っていた物で429件ございます。
そちらの羊皮紙に纏めてありますので後程精査の程よろしくお願い致します。」
これらを集めてくれたのはアグネス嬢の父カルヴィン公爵だ。
エバンネ王妃派の貴族を探り見つかる限りの証拠を探し出してくれた。
レオンが助けを求めると数日で山積みの証拠品を渡してくれたと言う。
さすが公爵家だ。
その中で立件出来そうな物をフワリー嬢とアグネス嬢で纏めてくれたという。
「そして最後に聖女を偽装し異世界召喚術の使用について。」
キャロルはハリーの横に座る彩花嬢に視線をやる。
彩花嬢は真っ直ぐにキャロルを見詰め小さく頷いた。
「異世界召喚術については王妃陛下の命でアルバート公が行ったという文が残されております。
…また聖女様本人への確認で異世界召喚術によって召喚された者に見られる特徴と一致しました。
まず魔力量の少なさ。
こちらが聖女様の教会で調べた魔力に関する資料です。」
キャロルはペラリと羊皮紙を掲げた。
「聖女様の総魔力量はAランク。
これは王族と並ぶ程の魔力量を持つとされる聖女にしては低いと判断出来るかと。
…そしてもう1つ。
聖女様御本人がこちらに渡る際突然地面が光り吸い込まれたと証言なさっておられます。
これは亡くなった記憶を持つとされる聖女との違いに当てはまります。
ただ聖女様には光魔術が使用出来る。
この事から聖女様はアルバート公が召喚した人物であると断定出来ると思われます。」
ハリーが心配そうに彩花嬢の肩を抱き締める。
だが彩花嬢は真っ直ぐにキャロルを見詰めたままだ。
0
お気に入りに追加
976
あなたにおすすめの小説
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
間違った方法で幸せになろうとする人の犠牲になるのはお断りします。
ひづき
恋愛
濡れ衣を着せられて婚約破棄されるという未来を見た公爵令嬢ユーリエ。
───王子との婚約そのものを回避すれば婚約破棄など起こらない。
───冤罪も継母も嫌なので家出しよう。
婚約を回避したのに、何故か家出した先で王子に懐かれました。
今度は異母妹の様子がおかしい?
助けてというなら助けましょう!
※2021年5月15日 完結
※2021年5月16日
お気に入り100超えΣ(゚ロ゚;)
ありがとうございます!
※残酷な表現を含みます、ご注意ください
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
番(つがい)はいりません
にいるず
恋愛
私の世界には、番(つがい)という厄介なものがあります。私は番というものが大嫌いです。なぜなら私フェロメナ・パーソンズは、番が理由で婚約解消されたからです。私の母も私が幼い頃、番に父をとられ私たちは捨てられました。でもものすごく番を嫌っている私には、特殊な番の体質があったようです。もうかんべんしてください。静かに生きていきたいのですから。そう思っていたのに外見はキラキラの王子様、でも中身は口を開けば毒舌を吐くどうしようもない正真正銘の王太子様が私の周りをうろつき始めました。
本編、王太子視点、元婚約者視点と続きます。約3万字程度です。よろしくお願いします。
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます
修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。
その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。
彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。
ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。
一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。
必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。
なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ──
そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。
これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。
※小説家になろうが先行公開です
貴方の愛人を屋敷に連れて来られても困ります。それより大事なお話がありますわ。
もふっとしたクリームパン
恋愛
「早速だけど、カレンに子供が出来たんだ」
隣に居る座ったままの栗色の髪と青い眼の女性を示し、ジャンは笑顔で勝手に話しだす。
「離れには子供部屋がないから、こっちの屋敷に移りたいんだ。部屋はたくさん空いてるんだろ? どうせだから、僕もカレンもこれからこの屋敷で暮らすよ」
三年間通った学園を無事に卒業して、辺境に帰ってきたディアナ・モンド。モンド辺境伯の娘である彼女の元に辺境伯の敷地内にある離れに住んでいたジャン・ボクスがやって来る。
ドレスは淑女の鎧、扇子は盾、言葉を剣にして。正々堂々と迎え入れて差し上げましょう。
妊娠した愛人を連れて私に会いに来た、無法者をね。
本編九話+オマケで完結します。*2021/06/30一部内容変更あり。カクヨム様でも投稿しています。
随時、誤字修正と読みやすさを求めて試行錯誤してますので行間など変更する場合があります。
拙い作品ですが、どうぞよろしくお願いします。
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる