188 / 339
秘密とは分からないから秘密なのでありまして
188
しおりを挟む
靴の底をコツコツ鳴らしながら螺旋階段を下りる。
人が1人通れる位の狭い石段。
誰かと出会ってもすれ違う事は出来そうにない。
王族しか知らない通路の為誰かとすれ違う事はなさそうだが。
「…もし万が一入り込まれてもこの狭さなら1対1か囲まれたとしても2対1で済む。
だからわざと狭く作られているらしいよ。」
「はーなるほど。」
さすが王家にとって最期の砦だ。
かなり考えられているらしい。
石段を降り切ると長細く続く廊下に出た。
至る所に無数の曲がり道がありかなり複雑そうだ。
だがルシウスはその中を迷いなく進んでいく。
「ここって地図ないんですよね?
迷子になったりしないんですか?」
「もちろんなるよ。
だから王太子は幼い時から何度も国王とここへ来て道を頭に叩き込むんだ。」
「まあじゃないといざと言う時ヤバいですもんね。」
「はは、そうだね。
…ほらここを曲がるよ。
また階段になっているから気を付けて。」
「あっはい。」
曲がりくねった階段を上がり切りルシウスが石壁に手を翳すと扉が現れた。
「…王族って便利ですねえ。」
「王太子を便利道具扱いするのはキャロル位の物だよ。」
ルシウスが苦笑いしながら扉を押し開ける。
先に入ったルシウスに続いて中に入ると視界一面の本棚が目に飛び込んでくる。
手近にあった本を見ると数年前に悪用され過ぎて禁書となった『毒草・毒物完全収録辞典』があった。
読みたい。
今すぐ読みたい。
珍しくキャロルのテンションが急上昇している。
思わず本を手に取りほふ…っと溜息を付いた。
状態も素晴らしい。
キャロルも欲しかったが手に入れる前に禁書になってしまったのだ。
予約していたのだから禁書になろうが渡せと本屋で暴れたのは幼いキャロルの可愛らしい我儘だ。
まさかこんな所で出会えるとは思わなんだ。
キャロルはしゃがみ込み本を開く。
「こらこら。
今日はそれを見に来たんじゃないだろう?」
「…はっ!
私とした事がついうっかり。」
ルシウスに声をかけられ慌てて本を元に戻す。
危うく罠に引っ掛かる所であった。
「また連れて来てあげるから今は我慢してね。
私は奥から探すからキャロルはこちらからかけられた禁術について書かれてる書物を探して。」
「はい、分かりました。」
人が1人通れる位の狭い石段。
誰かと出会ってもすれ違う事は出来そうにない。
王族しか知らない通路の為誰かとすれ違う事はなさそうだが。
「…もし万が一入り込まれてもこの狭さなら1対1か囲まれたとしても2対1で済む。
だからわざと狭く作られているらしいよ。」
「はーなるほど。」
さすが王家にとって最期の砦だ。
かなり考えられているらしい。
石段を降り切ると長細く続く廊下に出た。
至る所に無数の曲がり道がありかなり複雑そうだ。
だがルシウスはその中を迷いなく進んでいく。
「ここって地図ないんですよね?
迷子になったりしないんですか?」
「もちろんなるよ。
だから王太子は幼い時から何度も国王とここへ来て道を頭に叩き込むんだ。」
「まあじゃないといざと言う時ヤバいですもんね。」
「はは、そうだね。
…ほらここを曲がるよ。
また階段になっているから気を付けて。」
「あっはい。」
曲がりくねった階段を上がり切りルシウスが石壁に手を翳すと扉が現れた。
「…王族って便利ですねえ。」
「王太子を便利道具扱いするのはキャロル位の物だよ。」
ルシウスが苦笑いしながら扉を押し開ける。
先に入ったルシウスに続いて中に入ると視界一面の本棚が目に飛び込んでくる。
手近にあった本を見ると数年前に悪用され過ぎて禁書となった『毒草・毒物完全収録辞典』があった。
読みたい。
今すぐ読みたい。
珍しくキャロルのテンションが急上昇している。
思わず本を手に取りほふ…っと溜息を付いた。
状態も素晴らしい。
キャロルも欲しかったが手に入れる前に禁書になってしまったのだ。
予約していたのだから禁書になろうが渡せと本屋で暴れたのは幼いキャロルの可愛らしい我儘だ。
まさかこんな所で出会えるとは思わなんだ。
キャロルはしゃがみ込み本を開く。
「こらこら。
今日はそれを見に来たんじゃないだろう?」
「…はっ!
私とした事がついうっかり。」
ルシウスに声をかけられ慌てて本を元に戻す。
危うく罠に引っ掛かる所であった。
「また連れて来てあげるから今は我慢してね。
私は奥から探すからキャロルはこちらからかけられた禁術について書かれてる書物を探して。」
「はい、分かりました。」
0
お気に入りに追加
976
あなたにおすすめの小説
間違った方法で幸せになろうとする人の犠牲になるのはお断りします。
ひづき
恋愛
濡れ衣を着せられて婚約破棄されるという未来を見た公爵令嬢ユーリエ。
───王子との婚約そのものを回避すれば婚約破棄など起こらない。
───冤罪も継母も嫌なので家出しよう。
婚約を回避したのに、何故か家出した先で王子に懐かれました。
今度は異母妹の様子がおかしい?
助けてというなら助けましょう!
※2021年5月15日 完結
※2021年5月16日
お気に入り100超えΣ(゚ロ゚;)
ありがとうございます!
※残酷な表現を含みます、ご注意ください
「あなたのことはもう忘れることにします。 探さないでください」〜 お飾りの妻だなんてまっぴらごめんです!
友坂 悠
恋愛
あなたのことはもう忘れることにします。
探さないでください。
そう置き手紙を残して妻セリーヌは姿を消した。
政略結婚で結ばれた公爵令嬢セリーヌと、公爵であるパトリック。
しかし婚姻の初夜で語られたのは「私は君を愛することができない」という夫パトリックの言葉。
それでも、いつかは穏やかな夫婦になれるとそう信じてきたのに。
よりにもよって妹マリアンネとの浮気現場を目撃してしまったセリーヌは。
泣き崩れ寝て転生前の記憶を夢に見た拍子に自分が生前日本人であったという意識が蘇り。
もう何もかも捨てて家出をする決意をするのです。
全てを捨てて家を出て、まったり自由に生きようと頑張るセリーヌ。
そんな彼女が新しい恋を見つけて幸せになるまでの物語。
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
番(つがい)はいりません
にいるず
恋愛
私の世界には、番(つがい)という厄介なものがあります。私は番というものが大嫌いです。なぜなら私フェロメナ・パーソンズは、番が理由で婚約解消されたからです。私の母も私が幼い頃、番に父をとられ私たちは捨てられました。でもものすごく番を嫌っている私には、特殊な番の体質があったようです。もうかんべんしてください。静かに生きていきたいのですから。そう思っていたのに外見はキラキラの王子様、でも中身は口を開けば毒舌を吐くどうしようもない正真正銘の王太子様が私の周りをうろつき始めました。
本編、王太子視点、元婚約者視点と続きます。約3万字程度です。よろしくお願いします。
【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます
修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。
その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。
彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。
ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。
一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。
必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。
なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ──
そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。
これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。
※小説家になろうが先行公開です
貴方の愛人を屋敷に連れて来られても困ります。それより大事なお話がありますわ。
もふっとしたクリームパン
恋愛
「早速だけど、カレンに子供が出来たんだ」
隣に居る座ったままの栗色の髪と青い眼の女性を示し、ジャンは笑顔で勝手に話しだす。
「離れには子供部屋がないから、こっちの屋敷に移りたいんだ。部屋はたくさん空いてるんだろ? どうせだから、僕もカレンもこれからこの屋敷で暮らすよ」
三年間通った学園を無事に卒業して、辺境に帰ってきたディアナ・モンド。モンド辺境伯の娘である彼女の元に辺境伯の敷地内にある離れに住んでいたジャン・ボクスがやって来る。
ドレスは淑女の鎧、扇子は盾、言葉を剣にして。正々堂々と迎え入れて差し上げましょう。
妊娠した愛人を連れて私に会いに来た、無法者をね。
本編九話+オマケで完結します。*2021/06/30一部内容変更あり。カクヨム様でも投稿しています。
随時、誤字修正と読みやすさを求めて試行錯誤してますので行間など変更する場合があります。
拙い作品ですが、どうぞよろしくお願いします。
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる