148 / 339
夏の過ごし方のススメ
148
しおりを挟む
「おっはよーキャロルー。」
「おはよーございます。」
今日も今日とてレオンが塔にやって来る。
朝ごはんの入った籠を抱え胸元をパタパタと扇ぎながら。
バヌツスから戻って1週間。
ルシウスとリアムはまだバヌツスの街にいる。
後は国の支援とバヌツスの住民でなんとかし、これ以上魔術に頼り切るのは良くないとレオンとキャロルは先に王宮に帰って来ていた。
2週間の休暇はまだあと少し残っている為2人で日がな一日ダラダラと過ごしているのである。
「キャロルー何か暇潰しないのか?」
いい加減何もない事にダレて来たのかレオンがクッションに寝転がりながらぶつくさと呟いている。
昨日も全く同じ事を言っていた。
キャロルは毛玉に干し草を与えながら答える。
「ありませんよ。
昨日も言いましたけどここには何もないです。
暇ならお父様の所へ行って仕事を貰って来てはいかがです?」
「それじゃ休暇の意味ねえだろ。
来年の夏季休暇は忙しいんだしのんびり出来る最後の夏なんだぞ!」
「来年何かあるんですか?」
「はあ?
来年の秋には俺達学園に入学するだろ。
その準備で夏季休暇は潰れるに決まってんじゃん。」
そう言えばそうだったか。
この国では14歳から貴族は学園に通う事が義務付けられている。
また平民であっても魔力がある者や学力に秀でた者、資産がある者は学園に通う事になるのだ。
「あぁ、そう言えばそうですね。
すっかり忘れてましたが。」
「だろうなとは思った。
まっお前なら特別講師とかやってる位だし余裕だろ。」
「魔術に関してはそうなんですけどね。
座学も一通りはいけるつもりですし。
ただ女子生徒は淑女のマナーとやらのテストもあるらしいのでそこが難点です。」
「あーなんだっけ。
レース編みとか刺繍とか提出するってやつか。
キャロルやった事あんのか?」
「いや全くないですね。
刺繍糸とか多分触った事もないです。」
「もう赤点覚悟するしかねえなそりゃ。」
レオンが籠のサンドイッチを咥えながらケラケラと笑う。
キャロルが刺繍をしている姿でも想像したのだろう。
失礼な話である。
「まっそれはいいんだよ!
とにかく、夏休みらしい事しようぜキャロル!」
「そもそも夏休みらしい事ってなんなんですか。」
キャロルの問いかけにレオンが腕を組んで唸る。
「おはよーございます。」
今日も今日とてレオンが塔にやって来る。
朝ごはんの入った籠を抱え胸元をパタパタと扇ぎながら。
バヌツスから戻って1週間。
ルシウスとリアムはまだバヌツスの街にいる。
後は国の支援とバヌツスの住民でなんとかし、これ以上魔術に頼り切るのは良くないとレオンとキャロルは先に王宮に帰って来ていた。
2週間の休暇はまだあと少し残っている為2人で日がな一日ダラダラと過ごしているのである。
「キャロルー何か暇潰しないのか?」
いい加減何もない事にダレて来たのかレオンがクッションに寝転がりながらぶつくさと呟いている。
昨日も全く同じ事を言っていた。
キャロルは毛玉に干し草を与えながら答える。
「ありませんよ。
昨日も言いましたけどここには何もないです。
暇ならお父様の所へ行って仕事を貰って来てはいかがです?」
「それじゃ休暇の意味ねえだろ。
来年の夏季休暇は忙しいんだしのんびり出来る最後の夏なんだぞ!」
「来年何かあるんですか?」
「はあ?
来年の秋には俺達学園に入学するだろ。
その準備で夏季休暇は潰れるに決まってんじゃん。」
そう言えばそうだったか。
この国では14歳から貴族は学園に通う事が義務付けられている。
また平民であっても魔力がある者や学力に秀でた者、資産がある者は学園に通う事になるのだ。
「あぁ、そう言えばそうですね。
すっかり忘れてましたが。」
「だろうなとは思った。
まっお前なら特別講師とかやってる位だし余裕だろ。」
「魔術に関してはそうなんですけどね。
座学も一通りはいけるつもりですし。
ただ女子生徒は淑女のマナーとやらのテストもあるらしいのでそこが難点です。」
「あーなんだっけ。
レース編みとか刺繍とか提出するってやつか。
キャロルやった事あんのか?」
「いや全くないですね。
刺繍糸とか多分触った事もないです。」
「もう赤点覚悟するしかねえなそりゃ。」
レオンが籠のサンドイッチを咥えながらケラケラと笑う。
キャロルが刺繍をしている姿でも想像したのだろう。
失礼な話である。
「まっそれはいいんだよ!
とにかく、夏休みらしい事しようぜキャロル!」
「そもそも夏休みらしい事ってなんなんですか。」
キャロルの問いかけにレオンが腕を組んで唸る。
0
お気に入りに追加
976
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
番(つがい)はいりません
にいるず
恋愛
私の世界には、番(つがい)という厄介なものがあります。私は番というものが大嫌いです。なぜなら私フェロメナ・パーソンズは、番が理由で婚約解消されたからです。私の母も私が幼い頃、番に父をとられ私たちは捨てられました。でもものすごく番を嫌っている私には、特殊な番の体質があったようです。もうかんべんしてください。静かに生きていきたいのですから。そう思っていたのに外見はキラキラの王子様、でも中身は口を開けば毒舌を吐くどうしようもない正真正銘の王太子様が私の周りをうろつき始めました。
本編、王太子視点、元婚約者視点と続きます。約3万字程度です。よろしくお願いします。
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
間違った方法で幸せになろうとする人の犠牲になるのはお断りします。
ひづき
恋愛
濡れ衣を着せられて婚約破棄されるという未来を見た公爵令嬢ユーリエ。
───王子との婚約そのものを回避すれば婚約破棄など起こらない。
───冤罪も継母も嫌なので家出しよう。
婚約を回避したのに、何故か家出した先で王子に懐かれました。
今度は異母妹の様子がおかしい?
助けてというなら助けましょう!
※2021年5月15日 完結
※2021年5月16日
お気に入り100超えΣ(゚ロ゚;)
ありがとうございます!
※残酷な表現を含みます、ご注意ください
【完結】もう辛い片想いは卒業して結婚相手を探そうと思います
ユユ
恋愛
大家族で大富豪の伯爵家に産まれた令嬢には
好きな人がいた。
彼からすれば誰にでも向ける微笑みだったが
令嬢はそれで恋に落ちてしまった。
だけど彼は私を利用するだけで
振り向いてはくれない。
ある日、薬の過剰摂取をして
彼から離れようとした令嬢の話。
* 完結保証付き
* 3万文字未満
* 暇つぶしにご利用下さい
小説主人公の悪役令嬢の姉に転生しました
みかん桜(蜜柑桜)
恋愛
第一王子と妹が並んでいる姿を見て前世を思い出したリリーナ。
ここは小説の世界だ。
乙女ゲームの悪役令嬢が主役で、悪役にならず幸せを掴む、そんな内容の話で私はその主人公の姉。しかもゲーム内で妹が悪役令嬢になってしまう原因の1つが姉である私だったはず。
とはいえ私は所謂モブ。
この世界のルールから逸脱しないように無難に生きていこうと決意するも、なぜか第一王子に執着されている。
そういえば、元々姉の婚約者を奪っていたとか設定されていたような…?
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます
修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。
その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。
彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。
ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。
一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。
必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。
なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ──
そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。
これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。
※小説家になろうが先行公開です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる