似非王子と欠陥令嬢

ちゃろっこ

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まずは挨拶を頑張りましょう

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「いっ?!!」

首に噛み付かれた。

何故だ?

まさか噛み殺されるのか?

普通に殺されるより酷くないだろうか。

せめて殺るなら一撃にしてほしい。

「ちょっ、なっ、えっ殿下?!
てか痛っ!!」

暴れると余計に首に痛みが走る。

一体自分が何をしたと言うのか。

死ぬ前に罪状位教えてくれたっていいだろう。

問答無用にも限度というのは存在するはずだ。

「…君は俺の婚約者だ。」

漸く首を解放し顔を上げたルシウスの凍り付いた瞳を見る。

その顔がどんどん近付いて来て慌ててルシウスの顔を抑えた。

不敬罪という言葉が脳を過ぎるが仕方あるまい。

「ちょっ、まじで殿下落ち着いて下さい。」

「…レオンには許したのに?」

「はっ?
許す?」

「今さら聞けた話じゃないな。」

顔を抑えていた手を捕まれる。

あっこれは真面目にヤバいかもしれない。

戦っても勝てないなら諦めて神に祈るのもありだと言う目の前の男が言った事を思い返した。

急いで脳内からその考えを振り払う。

まだ死にたくない。

「君がレオンを望んだとしても俺は絶対に認めない。」

「はっ?
レオンを望む?」

言われている言葉が全く理解出来ない。

ルシウスがキャロルの手を掴んだまま空いている手でポケットから紙を取り出す。

「親に言えば婚約者から外れられるとでも思ったか?」

それはキャロルとレオンの休暇申請書だった。

「開発部の方に2枚共提出すれば俺にバレないとでも?
舐めた真似をしてくれるよな。」

「は?へっ?」

「2人で俺に黙って挨拶に行くつもりだったんだろ?」

何か重大な勘違いが起こっている事が分かる。

漸く怒りの理由に思い至った。

「ちょっあの殿下。
聞いて下さい。
多分壮絶な勘違いをしております。」

「はっ、勘違いだ?」

吐き捨てる様に言われるが負ける訳にはいかない。

死なない為には暴れるしかないのだ。

「実家には行きませんし、そもそもレオンと2人で静流の遺跡に行くつもりもありません。」

「…は?
遺跡?」

キャロルは思いっきり頷く。

「私とレオンだけで遺跡を攻略出来るとも思えませんし、もちろんリアム様と殿下にも後でお話する予定でした。」

予定はなかったが仕方ない。

嘘も方便だ。

こいつは自分が仲間外れにされて拗ねに拗ねまくっているのだから。

その証拠にキャロルの手首を掴んでいた手が少し緩む。 
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