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6-8 騎士の功罪
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ランタンのなかで燃えるろうそくの明かりを頼りに、ラザレスは傷口を手当てした。
真新しい木綿で患部を押さえ、血が止まったら首が締まらない程度に包帯を巻く。傷はそれほど深くなく、数日もすれば治りそうだ。
ブレアはベッドのふちに腰かけ、されるがままに治療を受けた。いつまでも裸であることに羞恥を覚え、古びた毛布で前半身を隠す。
うなじに向き合っていたラザレスはひと仕事終えたとばかりに息をつき、後ろからブレアを抱きしめた。ガウンの代わりに羽織ったジャケットの金具が、むき出しの背中にひんやりと触れる。
「ちょ、なに……!?」
出し抜けに左手をつかまれ、ブレアはびくん、と肩を揺らした。ろうそくの炎がじりじりと音を立て、風に吹かれたかのように揺れている。
いぶかしむブレアのことなどお構いなしに、ラザレスは彼女の手に視線を落とした。そのなかから薬指を選んでは、包帯の切れ端を巻き付けていく。
「結婚しよう」
不格好な結び目を指でつつき、ラザレスはブレアを抱きしめた。その言葉に反応し、手当されたばかりの傷口がどくん、と脈を打つ。
「なに、言って……」
冗談とは思えないラザレスの口ぶりに、ブレアは困惑の表情をにじませた。
高貴な身分であるαは、同じαの女性としか結婚しないしきたりだ。とはいえ、α同士では子どもが作れないため、やむを得ず後宮のΩと契りを交わしている。
「死ぬまでこんな部屋にいるつもりか? 一緒に出よう」
ラザレスはブレアの肩口に目元を押し付け、懇願するかのように声帯を絞った。
いくら皇太子であろうと、当人の意思で決めていい問題ではない。Ωの社会的地位の低さは、それほど根深いものなのだ。
「誰がなにを言おうと、おまえは俺の『妃』だ。しきたりなんて関係ない」
ラザレスはブレアを自身のほうへ向き直らせ、照れくさそうに破顔した。面映ゆさが伝搬し、ブレアは咄嗟に視線を逸らす。
「宮中のαは君だけじゃないんだ。ヘイスティングのような輩が私を手籠めにでもしたら、王族の血統が穢れてしまう」
目を伏せたまま、ブレアは苦々しくつぶやいた。誰も知らない場所に幽閉されているからこそ、後宮のΩは王者の子だけを孕めるのだ。
そのΩが公の場に姿を見せることはすなわち、他のαに犯されるリスクを意味する。産まれた後継者が誰の子か分からない事態になれば、ラザレスの威信にも影響を及ぼすに違いない。
自分のせいでラザレスが不幸に見舞われる――それだけは避けたかった。だからこそ、ブレアはうなじを差し出したのだ。騎士の誇りを捨て、後宮で生涯を過ごすことになったとしても、彼と共にこの地を守れるならそれでいいと思って。
そんなことを考えていると、押し殺すような笑い声が耳朶を打った。意識が引き戻され、ブレアは顔を上げる。こちらの困惑などお構いなしに、ラザレスはいたずらっぽい口調でまぜっかえした。
「おまえほどの実力があれば、暴漢なんていくらでも退治できるだろ?」
「多勢に無勢だったら、私だって対処しきれない」
「本当か? 想像がつかないな」
「茶化さないでくれ、ラザレス」
こっちは真剣な話をしているのに。そう言わんばかりに、ブレアは目を吊り上げる。
一方、ラザレスはどこ吹く風でにやりと笑った。ブレアの手を握りしめ、薬指の包帯を一瞥してから向き直る。
「悪しき風習なんて、いくらでも変えればいいんだ。おまえと一緒なら、造作もないさ」
情熱的な青い瞳。呼応するように、ろうそくの光が大仰に揺れる。
真っ赤な炎に染まる金色の髪が、太陽のように燃えている。はち切れんばかりに輝く姿は、五年前のそれと変わらない。
「か、簡単に言うな……」
高鳴る胸の鼓動にどぎまぎしつつ、ブレアは言葉を濁した。
長きにわたり、Ωの差別は続いてきたのだ。王族の後継者としてαの子を産むために、生涯飼い殺される存在――そうした風習は、一朝一夕では変えられない。
「αとΩは対等だということを、まずは俺たちが示すんだ。そうすれば、世間も少しずつ変わっていく」
揺らめくろうそくの明かりに照らされ、ラザレスは曇りのない表情で笑った。ガラス玉のようにきらきらと輝く青い瞳に、なぜか目が離せない。
「――ということで、おまえをΩの人権を向上させる政策大臣に任命しよう。もちろん、第二皇太子妃と兼任だ」
「は?」
得意満面で言葉を継ぐラザレスを見つめ、ブレアは頬を引きつらせた。彼は臆することなく、いけしゃあしゃあと続ける。
「せっかくだから、剣の腕を活かせる場も欲しいよな。近衛兵の隊長なんてどうだ? なんならアーカスターの領主を継いだっていいぞ? いやあ、肩書きが多くて羨ましいよ!」
「いやいやいや……」
「でも、これだとお互い忙しくなりそうだな。こうやって顔を合わせる時間がなくなるのは、少し寂しい気もするが……」
「問題はそこじゃないぞ、ラザレス」
ブレアはうろんげなまなざしを向け、ラザレスにツッコミを入れた。
あまりの調子の良さに文句のひとつでも言ってやろうかと気色ばむも、苦笑する彼の横顔を見て思いとどまる。
「本当は怖い」
すがるようにブレアの痩躯を掻き抱き、ラザレスは声を震わせた。
「おまえを危険に晒すくらいなら、このまま後宮に閉じ込めておきたい」
そう言って、彼は小さく鼻をすすった。これまで差別対象だったΩが表舞台に立てば、当然引きずり降ろそうとする動きもあるだろう。そうした諍いは暗殺や戦争といった、血生臭い事態を引き起こしかねない。
うな垂れるラザレスに痛々しさを感じ、ブレアは視線を泳がせた。それを察し、彼は居住まいを正して向き直る。
「でも、それじゃ俺の求める『強さ』には、辿り着けないと思うから」
そう言って、ラザレスは笑顔をみせた。うっすらと涙がにじんだ眼光の強さに、ブレアは一瞬呼吸を忘れる。
「女だろうと、Ωだろうと関係ない。おまえは自由であるべきだ。性別を偽る必要もなければ、騎士の道を諦める必要もない――祖父上が言っていた『強さ』って、多分こういうことだと思うんだ」
「ラザレス……」
青い瞳に映るろうそくの光に、ブレアは胸が締め付けられる。こんなにもちっぽけな火なのに、赤くて、熱くて、力強くて――。
「――レンジイトンの勇士として、共にヴェリオを守ろう」
夕日のような赤い光を一身に受け、ラザレスはブレアの手を両手で握った。五年前と一語一句変わらないその約束に、熱いものが込み上げる。
「『お心のままに、殿下』」
そう言って、ブレアはうやうやしく目礼した。あの時を再現するかのようなやり取りだ。
そのことに気付いていないのか、ラザレスは不服そうに口を尖らせた。敬語で話すなと釘を刺したにもかかわらず、かしこまった態度を取られたのが面白くないのだろう。
「『殿下』って呼ぶな」
「いいじゃないか、別に。――って、うわっ!」
問答無用で押し倒され、ブレアは裸体を毛布で隠したままベッドに倒れ込んだ。抵抗する間もなくラザレスに圧し掛かられ、身動きが取れない。
「『今度敬語を使ったら、無理やり噛む』って、前に言ったろ?」
ガウン代わりに羽織っていたジャケットを脱ぎ捨て、ラザレスは嗜虐的に口角を上げた。ブレアはうろんな表情で、「たった今噛んだろ」とまぜっかえす。
「だったら、他のところを噛んでやる」
「よせって」
照れ隠しゆえに嫌がる素振りをみせるも、下腹の最奥が甘く疼く。
「そんなことより、最後までしてくれないか……?」
うなじを手当てするために中断していたことを思い出し、ブレアは消え入りそうな声でつぶやいた。その言葉に、ラザレスは目を丸くする
「可愛いこと言ってくれるじゃないか」
毛布を剥ぎ取りながら、ラザレスはいたずらっぽい口調で応酬した。ブレアは口に溜まった唾液を飲み込み、視線を泳がせる。
衣擦れの音がして、ろうそくの芯がじりじり燃える。夕暮れのような赤い光に、ふたりの影が長く伸びた。
真新しい木綿で患部を押さえ、血が止まったら首が締まらない程度に包帯を巻く。傷はそれほど深くなく、数日もすれば治りそうだ。
ブレアはベッドのふちに腰かけ、されるがままに治療を受けた。いつまでも裸であることに羞恥を覚え、古びた毛布で前半身を隠す。
うなじに向き合っていたラザレスはひと仕事終えたとばかりに息をつき、後ろからブレアを抱きしめた。ガウンの代わりに羽織ったジャケットの金具が、むき出しの背中にひんやりと触れる。
「ちょ、なに……!?」
出し抜けに左手をつかまれ、ブレアはびくん、と肩を揺らした。ろうそくの炎がじりじりと音を立て、風に吹かれたかのように揺れている。
いぶかしむブレアのことなどお構いなしに、ラザレスは彼女の手に視線を落とした。そのなかから薬指を選んでは、包帯の切れ端を巻き付けていく。
「結婚しよう」
不格好な結び目を指でつつき、ラザレスはブレアを抱きしめた。その言葉に反応し、手当されたばかりの傷口がどくん、と脈を打つ。
「なに、言って……」
冗談とは思えないラザレスの口ぶりに、ブレアは困惑の表情をにじませた。
高貴な身分であるαは、同じαの女性としか結婚しないしきたりだ。とはいえ、α同士では子どもが作れないため、やむを得ず後宮のΩと契りを交わしている。
「死ぬまでこんな部屋にいるつもりか? 一緒に出よう」
ラザレスはブレアの肩口に目元を押し付け、懇願するかのように声帯を絞った。
いくら皇太子であろうと、当人の意思で決めていい問題ではない。Ωの社会的地位の低さは、それほど根深いものなのだ。
「誰がなにを言おうと、おまえは俺の『妃』だ。しきたりなんて関係ない」
ラザレスはブレアを自身のほうへ向き直らせ、照れくさそうに破顔した。面映ゆさが伝搬し、ブレアは咄嗟に視線を逸らす。
「宮中のαは君だけじゃないんだ。ヘイスティングのような輩が私を手籠めにでもしたら、王族の血統が穢れてしまう」
目を伏せたまま、ブレアは苦々しくつぶやいた。誰も知らない場所に幽閉されているからこそ、後宮のΩは王者の子だけを孕めるのだ。
そのΩが公の場に姿を見せることはすなわち、他のαに犯されるリスクを意味する。産まれた後継者が誰の子か分からない事態になれば、ラザレスの威信にも影響を及ぼすに違いない。
自分のせいでラザレスが不幸に見舞われる――それだけは避けたかった。だからこそ、ブレアはうなじを差し出したのだ。騎士の誇りを捨て、後宮で生涯を過ごすことになったとしても、彼と共にこの地を守れるならそれでいいと思って。
そんなことを考えていると、押し殺すような笑い声が耳朶を打った。意識が引き戻され、ブレアは顔を上げる。こちらの困惑などお構いなしに、ラザレスはいたずらっぽい口調でまぜっかえした。
「おまえほどの実力があれば、暴漢なんていくらでも退治できるだろ?」
「多勢に無勢だったら、私だって対処しきれない」
「本当か? 想像がつかないな」
「茶化さないでくれ、ラザレス」
こっちは真剣な話をしているのに。そう言わんばかりに、ブレアは目を吊り上げる。
一方、ラザレスはどこ吹く風でにやりと笑った。ブレアの手を握りしめ、薬指の包帯を一瞥してから向き直る。
「悪しき風習なんて、いくらでも変えればいいんだ。おまえと一緒なら、造作もないさ」
情熱的な青い瞳。呼応するように、ろうそくの光が大仰に揺れる。
真っ赤な炎に染まる金色の髪が、太陽のように燃えている。はち切れんばかりに輝く姿は、五年前のそれと変わらない。
「か、簡単に言うな……」
高鳴る胸の鼓動にどぎまぎしつつ、ブレアは言葉を濁した。
長きにわたり、Ωの差別は続いてきたのだ。王族の後継者としてαの子を産むために、生涯飼い殺される存在――そうした風習は、一朝一夕では変えられない。
「αとΩは対等だということを、まずは俺たちが示すんだ。そうすれば、世間も少しずつ変わっていく」
揺らめくろうそくの明かりに照らされ、ラザレスは曇りのない表情で笑った。ガラス玉のようにきらきらと輝く青い瞳に、なぜか目が離せない。
「――ということで、おまえをΩの人権を向上させる政策大臣に任命しよう。もちろん、第二皇太子妃と兼任だ」
「は?」
得意満面で言葉を継ぐラザレスを見つめ、ブレアは頬を引きつらせた。彼は臆することなく、いけしゃあしゃあと続ける。
「せっかくだから、剣の腕を活かせる場も欲しいよな。近衛兵の隊長なんてどうだ? なんならアーカスターの領主を継いだっていいぞ? いやあ、肩書きが多くて羨ましいよ!」
「いやいやいや……」
「でも、これだとお互い忙しくなりそうだな。こうやって顔を合わせる時間がなくなるのは、少し寂しい気もするが……」
「問題はそこじゃないぞ、ラザレス」
ブレアはうろんげなまなざしを向け、ラザレスにツッコミを入れた。
あまりの調子の良さに文句のひとつでも言ってやろうかと気色ばむも、苦笑する彼の横顔を見て思いとどまる。
「本当は怖い」
すがるようにブレアの痩躯を掻き抱き、ラザレスは声を震わせた。
「おまえを危険に晒すくらいなら、このまま後宮に閉じ込めておきたい」
そう言って、彼は小さく鼻をすすった。これまで差別対象だったΩが表舞台に立てば、当然引きずり降ろそうとする動きもあるだろう。そうした諍いは暗殺や戦争といった、血生臭い事態を引き起こしかねない。
うな垂れるラザレスに痛々しさを感じ、ブレアは視線を泳がせた。それを察し、彼は居住まいを正して向き直る。
「でも、それじゃ俺の求める『強さ』には、辿り着けないと思うから」
そう言って、ラザレスは笑顔をみせた。うっすらと涙がにじんだ眼光の強さに、ブレアは一瞬呼吸を忘れる。
「女だろうと、Ωだろうと関係ない。おまえは自由であるべきだ。性別を偽る必要もなければ、騎士の道を諦める必要もない――祖父上が言っていた『強さ』って、多分こういうことだと思うんだ」
「ラザレス……」
青い瞳に映るろうそくの光に、ブレアは胸が締め付けられる。こんなにもちっぽけな火なのに、赤くて、熱くて、力強くて――。
「――レンジイトンの勇士として、共にヴェリオを守ろう」
夕日のような赤い光を一身に受け、ラザレスはブレアの手を両手で握った。五年前と一語一句変わらないその約束に、熱いものが込み上げる。
「『お心のままに、殿下』」
そう言って、ブレアはうやうやしく目礼した。あの時を再現するかのようなやり取りだ。
そのことに気付いていないのか、ラザレスは不服そうに口を尖らせた。敬語で話すなと釘を刺したにもかかわらず、かしこまった態度を取られたのが面白くないのだろう。
「『殿下』って呼ぶな」
「いいじゃないか、別に。――って、うわっ!」
問答無用で押し倒され、ブレアは裸体を毛布で隠したままベッドに倒れ込んだ。抵抗する間もなくラザレスに圧し掛かられ、身動きが取れない。
「『今度敬語を使ったら、無理やり噛む』って、前に言ったろ?」
ガウン代わりに羽織っていたジャケットを脱ぎ捨て、ラザレスは嗜虐的に口角を上げた。ブレアはうろんな表情で、「たった今噛んだろ」とまぜっかえす。
「だったら、他のところを噛んでやる」
「よせって」
照れ隠しゆえに嫌がる素振りをみせるも、下腹の最奥が甘く疼く。
「そんなことより、最後までしてくれないか……?」
うなじを手当てするために中断していたことを思い出し、ブレアは消え入りそうな声でつぶやいた。その言葉に、ラザレスは目を丸くする
「可愛いこと言ってくれるじゃないか」
毛布を剥ぎ取りながら、ラザレスはいたずらっぽい口調で応酬した。ブレアは口に溜まった唾液を飲み込み、視線を泳がせる。
衣擦れの音がして、ろうそくの芯がじりじり燃える。夕暮れのような赤い光に、ふたりの影が長く伸びた。
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