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6-3 騎士の功罪
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戦場に出る――そう言って無邪気に笑うラザレスに、ブレアは思わず目を見開いた。
「なに馬鹿なこと言ってるんだ!?」
「オルレイユによる襲撃だ。フォルルーゼに向かう船を見たと、斥候から報告があった」
「だとしても……!」
一連の経緯を聞かされ、ブレアは甲走った声で応酬した。ベッドに腰かけた体が、無意識のうちに前のめりになる。
「自分の立場を分かっているのか? 一介の兵士ではないんだぞ? もし、君の身になにかあったら……!」
意図せずとも声が荒くなる。ラザレスは反論するかのように、「馬鹿にするな」と言葉を被せた。
「ヴェリオを統治する者として、俺は強くあらねばならないんだ。城を狙われているというのに、おめおめと引き籠ってられるか」
「ラザレス……!」
「五年前よりずっと、俺は強くなった。それでもおまえに敵わないのは、実戦の経験がないからだ。この地を任されている以上、俺はもっと強くならねばならない」
眉間にしわの寄った青い瞳が、まっすぐにこちらを見つめる。その真剣な表情に、ブレアは二の句が継げなくなった。
先代の王であり祖父であるアントルに鼓舞され、ラザレスは今日に至るまで己の『強さ』を模索している。自身を『王者』として認めるために。
五年前の夕暮れでその決意を聞かされたことを思い出し、ブレアは口を引き結ぶ。
「心配するな。港で待ち構えて砲撃するだけだ。上手くいけば、剣を抜かずに終わる」
「でも……」
沈黙を破るがごとく、ブレアはためらいがちにつぶやいた。
つい先日、オルレイユの手先であるライオットに後宮の位置を突き止められたのだ。油断はできない。ひょっとしたら既に、敵の術中にはまっている可能性だってある。
そのことを伝えようと口を開くも、なかなか言葉が出てこなかった。自分の身内が敵側に関与していることもあり、逡巡してしまう。ライオットとはすでに縁が切れているため、タウンゼント家は無関係なのだが、それを誤解なく伝える自信がない。
へどもどしていると、ラザレスは痺れを切らしたように嘆息した。
「……おまえなら、背中を押してくれると思っていたのに」
ぽつん、とつぶやかれた一言に、ブレアは返す言葉が見つからなかった。なにを言っても伝わらないような気がして、出かけた言葉が引っ込んでしまう。ライオットのことを話したところで、取り合ってもらえないような気がして。
「考え直せ……敵の罠かもしれない」
ブレアは視線を落としたまま、苦い表情でつぶやいた。幾度となく戦場に繰り出した経験が、「行くべきではない」と警鐘を鳴らしている。
それを遮るように、ラザレスはブレアの頭をくしゃり、となでた。
「心配性だな。おまえだって、何度も危険な目に遭ってきたくせに」
まぜっかえすような口調で指摘され、ブレアは口を引き結んだ。
やはり伝えるべきだ――己を奮い立たせるべくポケットを探るも、例のメダルはどこにもない。先日、実兄・ライオットに取られたきりだ。
「なに、ただの迎撃戦さ。すぐに終わる」
そう言って、ラザレスは優しく微笑んだ。気さくながらも王者の貫禄をたたえたその表情に、ブレアは困惑を隠せない。
ここまで自信満々に言い切られると、逆に自分が間違っているんじゃないかとすら思ってしまう。考えあぐねるブレアを尻目に、ラザレスは颯爽と踵を返した。
「凱旋が済んだら、また剣の相手をしてくれるか? 次こそは勝つから」
ドアに手を掛け、ラザレスは歯をこぼす。そうこうしているうちに、彼は部屋を後にした。
「ラザレス……!」
呼び止めようと手を伸ばした瞬間、扉が閉まる。ゆったりとした足音が、徐々に遠くなっていく。
――やっぱり、きな臭い。
そう思うと居ても立ってもいられず、ブレアは部屋の隅に鎮座するチェストへ向かった。
先日、ライオットに襲撃された際、身を隠した場所だ。暗くて全貌を見るには至らなかったが、奥に小径が続いているような雰囲気だった。きっと、部屋を出るための脱出口なのだろう。
現れた入口に体を押し込め、ブレアは思考を巡らせた。
陸路でアーカスターを経由するより、海路でフォルルーゼを直接狙ったほうが合理的なのは間違いない。自分がオルレイユの兵なら、同じことを考える。
アーカスターは高山地帯ゆえに攻めるのが難しく、天候も厳しい。その点、船なら国境の突破は簡単だ。軍艦には多額の資金を要するものの、それに見合った利点はある。
壁伝いに暗い通路を進み、頭にヴェリオ周辺の地図を思い浮かべた。
ラザレスは船を砲撃すると言っていたから、フォルルーゼの港で待ち伏せしているのだろう。遮るものがない海上では、敵艦なんてでかいだけの的だ。
それで蹴散らせればいいのだが、敵だって馬鹿ではない。
この程度の展開なら、ライオットも既に予測しているはずだ。ということは、なにか裏がある――通路の先でちらつく光を目指し、ブレアは足を速めていく。
もし、自分が敵将なら――声に出さず独りごち、実兄のねらいを推し量る。
もし、自分が敵将なら、フォルルーゼを堕とすと見せかけ、ラザレスを仕留めるはずだ。伏兵を城内に忍ばせておけば、戦争の混乱に乗じて容易に殺せる。事実、ライオットは城を自由に徘徊しているのだ。仲間も潜伏しているとみていい。
――船による奇襲はあくまで陽動。
味方に成りすました伏兵が、戦うふりをして襲い掛かる作戦だとしたら。自軍は敵船の迎撃に気を取られているため、太刀打ちには時間を要する。
もともと資金力も兵力もない貴族どもがかき集めた兵だ。正攻法でヴェリオを取り戻す気なんてないだろう。
無事にラザレスを屠った後は、自分たちと内通した重臣をヴェリオの統治者に据え置けばいい。そうすれば、港の交易権は取り戻せる。
――だからこそ、後宮のΩを殺しに来たのだ。
そのことに気付き、ブレアは目を見開いた。
ラザレスを殺し、自分たちに都合の良い人物を新たな統治者にするのが目的である以上、ラザレスの子は邪魔なだけだ。後宮のΩが彼の子を孕んでいれば計画が台無しになるため、ライオットはブレアの暗殺を企てた。
敵のねらいを垣間見た気がして、ブレアは全速力で出口へ駆けた。転びそうになるのも厭わず、暗闇のなか走り続ける。
――こうしている間にも、敵の作戦は進んでいるかもしれない。
そう思うと、気が気じゃなかった。一刻も早くアーカスターに舞い戻り、父・スタンレーに協力を仰がねば。対抗するには、新たな兵力が必要だ。
「遅かったですね。待ちくたびれましたよ」
考えあぐねながら出口に辿り着いた瞬間、聞き覚えのある声が耳を突いた。次いで、ぬうっと現れた大柄なシルエットに、ブレアは短い悲鳴を上げる。
「クラリス、驚かすな!」
「そちらこそ、勝手に驚かないでください」
クラリスは大あくびをしながら、仏頂面で応酬した。次いで、手にした麻袋をこちらに差し出す。なかには男物の衣服と帯剣が入っていた。
「若い娘の格好でアーカスターに向かっても、賊に絡まれるのがオチですよ。そんな暇ないでしょう?」
痛いところを突かれ、ブレアは決まり悪そうに目を逸らした。その場で女物のローブを脱ぎ捨て、ズボンと外套を身につける。
「なぜ分かった?」
フードを深く被って顔を隠しながら、ブレアは老婆をねめつけた。クラリスは肩をすくめ、いけしゃあしゃあと言葉を継ぐ。
「メイドをするかたわら、敵襲のうわさを耳にしまして。どうせブレア様のことだから、首を突っ込むだろうと思ったんですよ」
図星を突かれ、ブレアは顔をしかめた。すべてお見通しと言わんばかりだ。腰に帯剣を差し、ため息をつく。
「いいのか、止めなくて。あとで父上に大目玉を喰らうぞ?」
「どうせ、言っても聞かないでしょう?」
「よく分かっているじゃないか」
フン、と鼻を鳴らし、ブレアは颯爽と歩みを進めた。背後からクラリスの声がする。
「厩舎は突き当りを右です」
「相変わらず、抜け目がないな」
礼を言う代わりに軽口を叩き、鼻で笑う。今さら感謝する気なんてないものの、自ずと口角が上がった。戦場に向かうたび、こうやって鼓舞してもらっていたことを思い出す。
見張りの目を盗んで葦毛の馬にまたがり、横っ腹を蹴り上げる。勢いよく駆けだす馬にしがみつきながらも、ブレアは目の前を睥睨した。
フォルルーゼからアーカスターまで二日かかるところを、一日半で着かねばならない。ラザレスは三日後に敵の船が到着すると言っていたから、事態は一刻を争う。
駿馬に鞭を討ちながら、ブレアは小さくため息をついた。悩みは時間だけにとどまらない。
父・スタンレーはこちらの言い分に賛同してくれるだろうか。十五年間行方知れずだった兄・ライオットの逆襲を知り、どんな感情を抱くだろうか。答えの出ない押し問答が、頭のなかで交差する。
「なに馬鹿なこと言ってるんだ!?」
「オルレイユによる襲撃だ。フォルルーゼに向かう船を見たと、斥候から報告があった」
「だとしても……!」
一連の経緯を聞かされ、ブレアは甲走った声で応酬した。ベッドに腰かけた体が、無意識のうちに前のめりになる。
「自分の立場を分かっているのか? 一介の兵士ではないんだぞ? もし、君の身になにかあったら……!」
意図せずとも声が荒くなる。ラザレスは反論するかのように、「馬鹿にするな」と言葉を被せた。
「ヴェリオを統治する者として、俺は強くあらねばならないんだ。城を狙われているというのに、おめおめと引き籠ってられるか」
「ラザレス……!」
「五年前よりずっと、俺は強くなった。それでもおまえに敵わないのは、実戦の経験がないからだ。この地を任されている以上、俺はもっと強くならねばならない」
眉間にしわの寄った青い瞳が、まっすぐにこちらを見つめる。その真剣な表情に、ブレアは二の句が継げなくなった。
先代の王であり祖父であるアントルに鼓舞され、ラザレスは今日に至るまで己の『強さ』を模索している。自身を『王者』として認めるために。
五年前の夕暮れでその決意を聞かされたことを思い出し、ブレアは口を引き結ぶ。
「心配するな。港で待ち構えて砲撃するだけだ。上手くいけば、剣を抜かずに終わる」
「でも……」
沈黙を破るがごとく、ブレアはためらいがちにつぶやいた。
つい先日、オルレイユの手先であるライオットに後宮の位置を突き止められたのだ。油断はできない。ひょっとしたら既に、敵の術中にはまっている可能性だってある。
そのことを伝えようと口を開くも、なかなか言葉が出てこなかった。自分の身内が敵側に関与していることもあり、逡巡してしまう。ライオットとはすでに縁が切れているため、タウンゼント家は無関係なのだが、それを誤解なく伝える自信がない。
へどもどしていると、ラザレスは痺れを切らしたように嘆息した。
「……おまえなら、背中を押してくれると思っていたのに」
ぽつん、とつぶやかれた一言に、ブレアは返す言葉が見つからなかった。なにを言っても伝わらないような気がして、出かけた言葉が引っ込んでしまう。ライオットのことを話したところで、取り合ってもらえないような気がして。
「考え直せ……敵の罠かもしれない」
ブレアは視線を落としたまま、苦い表情でつぶやいた。幾度となく戦場に繰り出した経験が、「行くべきではない」と警鐘を鳴らしている。
それを遮るように、ラザレスはブレアの頭をくしゃり、となでた。
「心配性だな。おまえだって、何度も危険な目に遭ってきたくせに」
まぜっかえすような口調で指摘され、ブレアは口を引き結んだ。
やはり伝えるべきだ――己を奮い立たせるべくポケットを探るも、例のメダルはどこにもない。先日、実兄・ライオットに取られたきりだ。
「なに、ただの迎撃戦さ。すぐに終わる」
そう言って、ラザレスは優しく微笑んだ。気さくながらも王者の貫禄をたたえたその表情に、ブレアは困惑を隠せない。
ここまで自信満々に言い切られると、逆に自分が間違っているんじゃないかとすら思ってしまう。考えあぐねるブレアを尻目に、ラザレスは颯爽と踵を返した。
「凱旋が済んだら、また剣の相手をしてくれるか? 次こそは勝つから」
ドアに手を掛け、ラザレスは歯をこぼす。そうこうしているうちに、彼は部屋を後にした。
「ラザレス……!」
呼び止めようと手を伸ばした瞬間、扉が閉まる。ゆったりとした足音が、徐々に遠くなっていく。
――やっぱり、きな臭い。
そう思うと居ても立ってもいられず、ブレアは部屋の隅に鎮座するチェストへ向かった。
先日、ライオットに襲撃された際、身を隠した場所だ。暗くて全貌を見るには至らなかったが、奥に小径が続いているような雰囲気だった。きっと、部屋を出るための脱出口なのだろう。
現れた入口に体を押し込め、ブレアは思考を巡らせた。
陸路でアーカスターを経由するより、海路でフォルルーゼを直接狙ったほうが合理的なのは間違いない。自分がオルレイユの兵なら、同じことを考える。
アーカスターは高山地帯ゆえに攻めるのが難しく、天候も厳しい。その点、船なら国境の突破は簡単だ。軍艦には多額の資金を要するものの、それに見合った利点はある。
壁伝いに暗い通路を進み、頭にヴェリオ周辺の地図を思い浮かべた。
ラザレスは船を砲撃すると言っていたから、フォルルーゼの港で待ち伏せしているのだろう。遮るものがない海上では、敵艦なんてでかいだけの的だ。
それで蹴散らせればいいのだが、敵だって馬鹿ではない。
この程度の展開なら、ライオットも既に予測しているはずだ。ということは、なにか裏がある――通路の先でちらつく光を目指し、ブレアは足を速めていく。
もし、自分が敵将なら――声に出さず独りごち、実兄のねらいを推し量る。
もし、自分が敵将なら、フォルルーゼを堕とすと見せかけ、ラザレスを仕留めるはずだ。伏兵を城内に忍ばせておけば、戦争の混乱に乗じて容易に殺せる。事実、ライオットは城を自由に徘徊しているのだ。仲間も潜伏しているとみていい。
――船による奇襲はあくまで陽動。
味方に成りすました伏兵が、戦うふりをして襲い掛かる作戦だとしたら。自軍は敵船の迎撃に気を取られているため、太刀打ちには時間を要する。
もともと資金力も兵力もない貴族どもがかき集めた兵だ。正攻法でヴェリオを取り戻す気なんてないだろう。
無事にラザレスを屠った後は、自分たちと内通した重臣をヴェリオの統治者に据え置けばいい。そうすれば、港の交易権は取り戻せる。
――だからこそ、後宮のΩを殺しに来たのだ。
そのことに気付き、ブレアは目を見開いた。
ラザレスを殺し、自分たちに都合の良い人物を新たな統治者にするのが目的である以上、ラザレスの子は邪魔なだけだ。後宮のΩが彼の子を孕んでいれば計画が台無しになるため、ライオットはブレアの暗殺を企てた。
敵のねらいを垣間見た気がして、ブレアは全速力で出口へ駆けた。転びそうになるのも厭わず、暗闇のなか走り続ける。
――こうしている間にも、敵の作戦は進んでいるかもしれない。
そう思うと、気が気じゃなかった。一刻も早くアーカスターに舞い戻り、父・スタンレーに協力を仰がねば。対抗するには、新たな兵力が必要だ。
「遅かったですね。待ちくたびれましたよ」
考えあぐねながら出口に辿り着いた瞬間、聞き覚えのある声が耳を突いた。次いで、ぬうっと現れた大柄なシルエットに、ブレアは短い悲鳴を上げる。
「クラリス、驚かすな!」
「そちらこそ、勝手に驚かないでください」
クラリスは大あくびをしながら、仏頂面で応酬した。次いで、手にした麻袋をこちらに差し出す。なかには男物の衣服と帯剣が入っていた。
「若い娘の格好でアーカスターに向かっても、賊に絡まれるのがオチですよ。そんな暇ないでしょう?」
痛いところを突かれ、ブレアは決まり悪そうに目を逸らした。その場で女物のローブを脱ぎ捨て、ズボンと外套を身につける。
「なぜ分かった?」
フードを深く被って顔を隠しながら、ブレアは老婆をねめつけた。クラリスは肩をすくめ、いけしゃあしゃあと言葉を継ぐ。
「メイドをするかたわら、敵襲のうわさを耳にしまして。どうせブレア様のことだから、首を突っ込むだろうと思ったんですよ」
図星を突かれ、ブレアは顔をしかめた。すべてお見通しと言わんばかりだ。腰に帯剣を差し、ため息をつく。
「いいのか、止めなくて。あとで父上に大目玉を喰らうぞ?」
「どうせ、言っても聞かないでしょう?」
「よく分かっているじゃないか」
フン、と鼻を鳴らし、ブレアは颯爽と歩みを進めた。背後からクラリスの声がする。
「厩舎は突き当りを右です」
「相変わらず、抜け目がないな」
礼を言う代わりに軽口を叩き、鼻で笑う。今さら感謝する気なんてないものの、自ずと口角が上がった。戦場に向かうたび、こうやって鼓舞してもらっていたことを思い出す。
見張りの目を盗んで葦毛の馬にまたがり、横っ腹を蹴り上げる。勢いよく駆けだす馬にしがみつきながらも、ブレアは目の前を睥睨した。
フォルルーゼからアーカスターまで二日かかるところを、一日半で着かねばならない。ラザレスは三日後に敵の船が到着すると言っていたから、事態は一刻を争う。
駿馬に鞭を討ちながら、ブレアは小さくため息をついた。悩みは時間だけにとどまらない。
父・スタンレーはこちらの言い分に賛同してくれるだろうか。十五年間行方知れずだった兄・ライオットの逆襲を知り、どんな感情を抱くだろうか。答えの出ない押し問答が、頭のなかで交差する。
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