23 / 37
5-4 性別の垣根を超えて
しおりを挟む
昼寝から目覚めると、ベッドのそばに馬鹿でかい木箱が鎮座していた。ただでさえ狭い自室が、よりいっそう狭くなる。
――クラリスの仕業か?
馴染みの顔を思い浮かべ、ブレアは短絡的に結論付けた。この部屋を知っているのは、ラザレスを除けば彼女だけだ。
「まったく、こんなでかいの持ってきて……」
ブレアは自身の体長ほどもある巨大な箱と対峙し、恨めしげにつぶやいた。
よく見ると、観音開きの取っ手が付いている。輸送用の簡易クローゼットなのだろう。いずれにせよ、頼んだ覚えはない。
――邪魔だからさっさと片付けて欲しい。
そう願うも、件の老婆は昨晩顔を合わせたきりだ。待ちに待った王都からの視察を迎え入れ、その対応で忙しくしているのだろう。
国王は三日前に到着したらしく、城下は連日大賑わいだ。
そうした様子を実際目にすることはないものの、時折けたたましい歓声が聞こえてくるため、おおよその想像はつく。
クラリスの話によれば、今夜の社交界をもって、一連の視察はお開きになるらしい。国王も用が済み次第さっさと帰りたいようで、出港は明日の朝だと聞いている。
とはいえ、引きこもりのブレアには関係のない話だ。
はためくシーツを窓越しに見遣り、ため息をつく。こびりついた泥を落とすべく洗い直したが、完全に消すには至らなかった。ラザレスに決闘を申し込まれ、組み敷かれた際についた汚れだ。あれ以降、彼が姿をみせることはない。
嘆息交じりにベッドを降り、観音開きの取っ手に手をかけた。
心当たりはないものの、この部屋にあるということは、自分宛ての荷物なのだろう。そう考えながら取っ手を引っ張るも、腕の力が入らない。一旦手を止め、ブレアは視線を落とした。
正体を隠して後宮に入ったことにより、軽蔑されたのだ。だからこそ、あのような仕打ちを受けたのだと、ブレアは解釈している。
五年前に剣を交えただけの仲だが、彼にとってのブレアはヴェリオを守る勇士であると同時に、目標にすべき存在だったのだろう。
その崇高な存在が正体を偽り、卑しいΩとして転がり込んできたのだ。
裏切られた気分になるのも無理はない。互いを高め合う騎士としての憧憬に、穢らわしい性欲を持ち込まれたのだから。
――殿下に嫌われてしまった。
ブレアは簡素な造りのクローゼットの扉を開き、口に出さず独りごちた。日当たりの悪い小部屋は蒸し暑いにもかかわらず、体の芯は冷え切っている。
ラザレスはもう、この部屋に来ない。
怒りに任せて剣を振るう彼の表情を反芻し、ブレアは心のなかでつぶやいた。憶測の域を出ないにせよ、それほどの大罪を起こした自負はある。
きっと今頃は、着飾った令嬢たちに囲まれているのだろう。
国王の視察を締めくくる舞踏会では、皇太子妃の座を狙うαの令嬢がこぞって参加すると聞く。もちろん、ブレアの出る幕はない。
そんなことを考えながら、クローゼットの中を覗いた。
観音開きの戸から、鮮やかな赤色がまろびでる。星くずを思わせる金の刺しゅうと豊かなドレープが印象的な、夜会用のドレス一式だ。
「――気に入ったか?」
背後の声に気付き、振り返ると、決まり悪そうにはにかむラザレスの姿が視界に映った。
よほど急いで来たのだろう。戸板にもたれかかる肩口は、ぜえぜえと上下に揺れている。
「……殿下…………?」
思いもよらない展開に、ブレアは目をぱちくりさせた。
なんせ、今しがた「もう二度と来てくれないはず」と悲観したばかりなのだ。想像の真逆をいく出来事に、頭のなかが白くなる。
それを見かねたのか、ラザレスはためらいがちに切り出した。
「体の調子はどうだ?」
「へ?」
「その、乱暴……しただろう? 悪かった」
言葉の意味が飲み込めずきょとんとするブレアを見て、ラザレスは「思ったより元気そうだな」と愁眉を開いた。
ようやっと状況を理解し、ブレアはひれ伏す勢いでひざまずく。
「この度はとんだ無礼をはたらき、申し訳ございませんでした……!」
額を地面に擦り付け、甲走った声で非礼を詫びた。いくら謝っても謝り切れないほどだ。のっぴきならない事情があるとはいえ、殿上人を相手に経歴詐称は許されない。
ラザレスは弾かれたようにブレアのもとへ駆け寄り、床に張り付いた上体を無理やり起こした。両手で彼女の頬を押さえ込み、自身のほうへ向き直らせる。
「よせ。謝るのは俺のほうだ」
「ですが……」
異を唱えようとするも、青い瞳に制され、ブレアは渋々口をつぐんだ。
恐縮するブレアの顔を覗き込み、ラザレスは吐息だけで小さく微笑む。
「座ろうか」
そう言って、ラザレスは横抱きでブレアを持ち上げた。体がふわり、と宙に浮かび、ベッドのふちに降ろされる。
瞬間、汗と香水の匂いが鼻腔に触れた。健康的で爽やかな見た目に反し、色気のある匂いに、ブレアは頬を赤らめる。
「クラリスに礼を言わないとな」
隣に腰を下ろし、ラザレスは独り言のようにつぶやいた。ドレスが入った木箱をあごでしゃくり、言葉を続ける。
「無理言って運んでもらったんだ。こんなデカい箱、俺が持ってたら不自然だろ?」
そう言って、ラザレスは当時を思い返すかのように目を細めた。箱のドレスは彼が調達したらしい。
「『着飾ることに興味があるらしい』って、クラリスから聞いたんだ。時間がなかったから、既製品しか用意できなかったけど」
本来なら仕立て屋を呼んで、好みの一着を作らせるべきなのだろうが――そんなことを言いつつ、ラザレスは面映ゆそうに頭を掻いた。
偶然見かけたメイドがブレアの従者であることを知り、和解の協力を求めたのだという。ブレアがきらびやかな舞踏会や着飾った令嬢に密かな興味を抱いているというのも、件の老婆から聞いたらしい。
ラザレスの話を聞き、ブレアは自身の言動を振り返った。
確かに数日前、クラリスにそんなことを言った気がする。間接的な言い回しだったにもかかわらず、本心を見抜かれていたと思うと面映ゆい。ましてや、彼が助言通りにドレスを用意してくれただなんて。
「謝罪だけでは誠意が伝わらないかと思って、色々用意してみたが……これだと本当に『ご機嫌取り』をしているみたいだな。クラリスの言う通りだ」
クローゼットに詰め込まれたドレス一式に目を投じ、ラザレスは自嘲気味に口角を上げた。よく見ると、靴やジュエリーまで入っている。そのまま夜会に繰り出せそうなラインナップだ。
肩を落とすラザレスに、ブレアは「とんでもございません!」と声を張り上げた。そもそも今回の騒動は自身の経歴詐称が原因だ。彼に落ち度はない。少なくとも、ブレアはそう考えている。
「すべて、私が原因です。殿下が謝る必要など……!」
あまりの申し訳なさにへどもどしていると、ラザレスはこちらの心情を見透かすかのようにくつくつ笑った。子供をなだめるような素振りで、彼はブレアの頭を優しくなでる。
「相変わらず真面目だな、おまえは」
横目でこちらを見遣り、ラザレス口角を上げた。頭頂に遣った手指をするり、と降ろし、ブレアのポケットに手を入れる。そのなかに入っていたメダルを手に取ると、彼はいたずらっぽく言葉を継いだ。
「やっぱり持ってた」
そう言って、ラザレスは上目がちにブレアを見つめた。手にしたものを矯めつ眇めつしながら、言葉を続ける。
「俺は気付かないうちに、おまえに重荷を背負わせていたんだな」
首掛け用の白いリボンに目を投じ、独り言のようにつぶやく。青い瞳の視線の先には、かすれて読みづらくなった彼の血文字。
「おまえの強さに惹かれ、目標にしていたのは確かだ。騎士としての憧れもあったし、尊敬もしていた」
辛うじて読める己の署名を見つめ、ラザレスは苦笑する。
その期待に応えられなかったことを改めて実感し、ブレアは胸を痛ませた。彼はその様子を横目で盗み見ながら、「でも」と切り出す。
――クラリスの仕業か?
馴染みの顔を思い浮かべ、ブレアは短絡的に結論付けた。この部屋を知っているのは、ラザレスを除けば彼女だけだ。
「まったく、こんなでかいの持ってきて……」
ブレアは自身の体長ほどもある巨大な箱と対峙し、恨めしげにつぶやいた。
よく見ると、観音開きの取っ手が付いている。輸送用の簡易クローゼットなのだろう。いずれにせよ、頼んだ覚えはない。
――邪魔だからさっさと片付けて欲しい。
そう願うも、件の老婆は昨晩顔を合わせたきりだ。待ちに待った王都からの視察を迎え入れ、その対応で忙しくしているのだろう。
国王は三日前に到着したらしく、城下は連日大賑わいだ。
そうした様子を実際目にすることはないものの、時折けたたましい歓声が聞こえてくるため、おおよその想像はつく。
クラリスの話によれば、今夜の社交界をもって、一連の視察はお開きになるらしい。国王も用が済み次第さっさと帰りたいようで、出港は明日の朝だと聞いている。
とはいえ、引きこもりのブレアには関係のない話だ。
はためくシーツを窓越しに見遣り、ため息をつく。こびりついた泥を落とすべく洗い直したが、完全に消すには至らなかった。ラザレスに決闘を申し込まれ、組み敷かれた際についた汚れだ。あれ以降、彼が姿をみせることはない。
嘆息交じりにベッドを降り、観音開きの取っ手に手をかけた。
心当たりはないものの、この部屋にあるということは、自分宛ての荷物なのだろう。そう考えながら取っ手を引っ張るも、腕の力が入らない。一旦手を止め、ブレアは視線を落とした。
正体を隠して後宮に入ったことにより、軽蔑されたのだ。だからこそ、あのような仕打ちを受けたのだと、ブレアは解釈している。
五年前に剣を交えただけの仲だが、彼にとってのブレアはヴェリオを守る勇士であると同時に、目標にすべき存在だったのだろう。
その崇高な存在が正体を偽り、卑しいΩとして転がり込んできたのだ。
裏切られた気分になるのも無理はない。互いを高め合う騎士としての憧憬に、穢らわしい性欲を持ち込まれたのだから。
――殿下に嫌われてしまった。
ブレアは簡素な造りのクローゼットの扉を開き、口に出さず独りごちた。日当たりの悪い小部屋は蒸し暑いにもかかわらず、体の芯は冷え切っている。
ラザレスはもう、この部屋に来ない。
怒りに任せて剣を振るう彼の表情を反芻し、ブレアは心のなかでつぶやいた。憶測の域を出ないにせよ、それほどの大罪を起こした自負はある。
きっと今頃は、着飾った令嬢たちに囲まれているのだろう。
国王の視察を締めくくる舞踏会では、皇太子妃の座を狙うαの令嬢がこぞって参加すると聞く。もちろん、ブレアの出る幕はない。
そんなことを考えながら、クローゼットの中を覗いた。
観音開きの戸から、鮮やかな赤色がまろびでる。星くずを思わせる金の刺しゅうと豊かなドレープが印象的な、夜会用のドレス一式だ。
「――気に入ったか?」
背後の声に気付き、振り返ると、決まり悪そうにはにかむラザレスの姿が視界に映った。
よほど急いで来たのだろう。戸板にもたれかかる肩口は、ぜえぜえと上下に揺れている。
「……殿下…………?」
思いもよらない展開に、ブレアは目をぱちくりさせた。
なんせ、今しがた「もう二度と来てくれないはず」と悲観したばかりなのだ。想像の真逆をいく出来事に、頭のなかが白くなる。
それを見かねたのか、ラザレスはためらいがちに切り出した。
「体の調子はどうだ?」
「へ?」
「その、乱暴……しただろう? 悪かった」
言葉の意味が飲み込めずきょとんとするブレアを見て、ラザレスは「思ったより元気そうだな」と愁眉を開いた。
ようやっと状況を理解し、ブレアはひれ伏す勢いでひざまずく。
「この度はとんだ無礼をはたらき、申し訳ございませんでした……!」
額を地面に擦り付け、甲走った声で非礼を詫びた。いくら謝っても謝り切れないほどだ。のっぴきならない事情があるとはいえ、殿上人を相手に経歴詐称は許されない。
ラザレスは弾かれたようにブレアのもとへ駆け寄り、床に張り付いた上体を無理やり起こした。両手で彼女の頬を押さえ込み、自身のほうへ向き直らせる。
「よせ。謝るのは俺のほうだ」
「ですが……」
異を唱えようとするも、青い瞳に制され、ブレアは渋々口をつぐんだ。
恐縮するブレアの顔を覗き込み、ラザレスは吐息だけで小さく微笑む。
「座ろうか」
そう言って、ラザレスは横抱きでブレアを持ち上げた。体がふわり、と宙に浮かび、ベッドのふちに降ろされる。
瞬間、汗と香水の匂いが鼻腔に触れた。健康的で爽やかな見た目に反し、色気のある匂いに、ブレアは頬を赤らめる。
「クラリスに礼を言わないとな」
隣に腰を下ろし、ラザレスは独り言のようにつぶやいた。ドレスが入った木箱をあごでしゃくり、言葉を続ける。
「無理言って運んでもらったんだ。こんなデカい箱、俺が持ってたら不自然だろ?」
そう言って、ラザレスは当時を思い返すかのように目を細めた。箱のドレスは彼が調達したらしい。
「『着飾ることに興味があるらしい』って、クラリスから聞いたんだ。時間がなかったから、既製品しか用意できなかったけど」
本来なら仕立て屋を呼んで、好みの一着を作らせるべきなのだろうが――そんなことを言いつつ、ラザレスは面映ゆそうに頭を掻いた。
偶然見かけたメイドがブレアの従者であることを知り、和解の協力を求めたのだという。ブレアがきらびやかな舞踏会や着飾った令嬢に密かな興味を抱いているというのも、件の老婆から聞いたらしい。
ラザレスの話を聞き、ブレアは自身の言動を振り返った。
確かに数日前、クラリスにそんなことを言った気がする。間接的な言い回しだったにもかかわらず、本心を見抜かれていたと思うと面映ゆい。ましてや、彼が助言通りにドレスを用意してくれただなんて。
「謝罪だけでは誠意が伝わらないかと思って、色々用意してみたが……これだと本当に『ご機嫌取り』をしているみたいだな。クラリスの言う通りだ」
クローゼットに詰め込まれたドレス一式に目を投じ、ラザレスは自嘲気味に口角を上げた。よく見ると、靴やジュエリーまで入っている。そのまま夜会に繰り出せそうなラインナップだ。
肩を落とすラザレスに、ブレアは「とんでもございません!」と声を張り上げた。そもそも今回の騒動は自身の経歴詐称が原因だ。彼に落ち度はない。少なくとも、ブレアはそう考えている。
「すべて、私が原因です。殿下が謝る必要など……!」
あまりの申し訳なさにへどもどしていると、ラザレスはこちらの心情を見透かすかのようにくつくつ笑った。子供をなだめるような素振りで、彼はブレアの頭を優しくなでる。
「相変わらず真面目だな、おまえは」
横目でこちらを見遣り、ラザレス口角を上げた。頭頂に遣った手指をするり、と降ろし、ブレアのポケットに手を入れる。そのなかに入っていたメダルを手に取ると、彼はいたずらっぽく言葉を継いだ。
「やっぱり持ってた」
そう言って、ラザレスは上目がちにブレアを見つめた。手にしたものを矯めつ眇めつしながら、言葉を続ける。
「俺は気付かないうちに、おまえに重荷を背負わせていたんだな」
首掛け用の白いリボンに目を投じ、独り言のようにつぶやく。青い瞳の視線の先には、かすれて読みづらくなった彼の血文字。
「おまえの強さに惹かれ、目標にしていたのは確かだ。騎士としての憧れもあったし、尊敬もしていた」
辛うじて読める己の署名を見つめ、ラザレスは苦笑する。
その期待に応えられなかったことを改めて実感し、ブレアは胸を痛ませた。彼はその様子を横目で盗み見ながら、「でも」と切り出す。
7
お気に入りに追加
75
あなたにおすすめの小説

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
責任を取らなくていいので溺愛しないでください
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
漆黒騎士団の女騎士であるシャンテルは任務の途中で一人の男にまんまと美味しくいただかれてしまった。どうやらその男は以前から彼女を狙っていたらしい。
だが任務のため、そんなことにはお構いなしのシャンテル。むしろ邪魔。その男から逃げながら任務をこなす日々。だが、その男の正体に気づいたとき――。
※2023.6.14:アルファポリスノーチェブックスより書籍化されました。
※ノーチェ作品の何かをレンタルしますと特別番外編(鍵付き)がお読みいただけます。

一途なエリート騎士の指先はご多忙。もはや暴走は時間の問題か?
はなまる
恋愛
シエルは20歳。父ルドルフはセルベーラ国の国王の弟だ。17歳の時に婚約するが誤解を受けて婚約破棄された。以来結婚になど目もくれず父の仕事を手伝って来た。
ところが2か月前国王が急死してしまう。国王の息子はまだ12歳でシエルの父が急きょ国王の代理をすることになる。ここ数年天候不順が続いてセルベーラ国の食糧事情は危うかった。
そこで隣国のオーランド国から作物を輸入する取り決めをする。だが、オーランド国の皇帝は無類の女好きで王族の女性を一人側妃に迎えたいと申し出た。
国王にも王女は3人ほどいたのだが、こちらもまだ一番上が14歳。とても側妃になど行かせられないとシエルに白羽の矢が立った。シエルは国のためならと思い腰を上げる。
そこに護衛兵として同行を申し出た騎士団に所属するボルク。彼は小さいころからの知り合いで仲のいい友達でもあった。互いに気心が知れた中でシエルは彼の事を好いていた。
彼には面白い癖があってイライラしたり怒ると親指と人差し指を擦り合わせる。うれしいと親指と中指を擦り合わせ、照れたり、言いにくい事があるときは親指と薬指を擦り合わせるのだ。だからボルクが怒っているとすぐにわかる。
そんな彼がシエルに同行したいと申し出た時彼は怒っていた。それはこんな話に怒っていたのだった。そして同行できる事になると喜んだ。シエルの心は一瞬にしてざわめく。
隣国の例え側妃といえども皇帝の妻となる身の自分がこんな気持ちになってはいけないと自分を叱咤するが道中色々なことが起こるうちにふたりは仲は急接近していく…
この話は全てフィクションです。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
腹黒宰相との白い結婚
黎
恋愛
大嫌いな腹黒宰相ロイドと結婚する羽目になったランメリアは、条件をつきつけた――これは白い結婚であること。代わりに側妻を娶るも愛人を作るも好きにすればいい。そう決めたはずだったのだが、なぜか、周囲が全力で溝を埋めてくる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる