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4-6 憧れだけでよかった*

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「最低の気分だろ? 『こんなこと、したくないのに』って」

 青い瞳を嗜虐的に輝かせ、ラザレスは意地悪く微笑んだ。突き付けられた二本の指は、気付けば根元まで埋められている。

「俺も同じだ。けど、それ以上に興奮している」

 そう言って、粘膜をえぐるように指を動かす。応じて、ブレアは「ひぎっ!?」と総身を揺らした。

「俺はおまえを――ブレア・・・を犯すんだ。体だけじゃなく、騎士の誇りも、凛々しさも、その強さも――全部ひっくるめて」

 青い瞳がゆったりと弧を描き、真っ赤な舌が蛇のようにくちびるを舐めずる。そうしながらも、二本の指は他とは異なるあわいを捕らえ、じりじりと押し上げた。
 火花のように飛び散る快感を前に、ブレアは「ああッ」と嬌声を上げる。

「ここだろ? 前回もここで果てたよな?」

 ラザレスは淫靡な水音を立てつつ、空いたほうの手でブレアの乳房をぎゅっとつねった。興奮のせいか、小さな突起は服越しでも分かるくらいに充血している。

「ナカ、締まった……」

 うねる蜜壺の感触を指先で確かめ、彼はつねったところを慰撫する。痛めつけられて敏感になっているのか、ブレアは「ンンッ」と体をよじった。

「へえ、痛いと感じるんだ?」

 こちらの顔を覗き込み、ラザレスは青い目をねっとりとすがめた。挑発されているような気がして、ブレアは口惜し気に目を逸らす。

「はは、生意気」

 そうした態度を反抗と捉えたのか、彼は嘲るように鼻を鳴らした。意趣返しとばかりに淫花の指を抜き差ししては、ブレアを絶頂の手前まで追い立てる。

「ほら、イケよ」

 ラザレスは充血した胸の頂を服越しにつねったり、爪でカリカリ引っ掻いたりしながら、甘い声でささやいた。
 既に限界まで追い詰められた粘膜の縁取りは、降参とばかりに泡を吹いている。ブレアは地面に敷いたシーツを掻きむしり、駄々をこねるかのように泣きじゃくった。

「やだ、やだやだっ! やめっ、アアッ!」

 込み上がる快感から逃れようと首を振って抵抗するも、指の抽送は止まらない。粘膜の内側に埋もれた快楽のスポットを追従するかのように、ラザレスはブレアのいところを探り当てていく。

「限界か?」

 服越しに乳房の突起を甘噛みしつつ、ラザレスは青い瞳を光らせた。普段の気さくで優しい態度とは異なる素振りに、ブレアは人知れず恐れを抱く。
 取り返しのつかないことをしたのだ――そのことを強く実感するも、それすらも抗いがたい快楽に転じてしまう。

「顔みせろ、ブレア」

 視線を遮るべく、腕で目元を覆うも、ラザレスに阻まれた。彼はブレアの手指に自身のそれを絡め、振りほどけないように握りしめる。

「やっ……みないで……!」

 しどけない表情を晒しつつ、ブレアはうわ言のようにつぶやいた。白んだ頭のなかでは星が散り、ぱちぱちと小気味良く爆ぜている。指が自身の急所を穿うがつたび、さらさらした飛沫がぴゅ、ぴゅ、と溢れる。

「も、ダメェ……! みないで、みないでえええ――っ!」

 総身をわななかせ、ブレアは特大のひきつけを起こした。身体が上下に跳ねるたび、股間から特大の飛沫が吹きあがる。

「あ、ああっ……!」

 絶頂の余波に襲われ、ブレアは細い四肢を投げ出した。全身が爆ぜるような、途方もない快楽。たくし上げられた女物のローブが、あちこちでヒクヒクと波打っている。
 ラザレスはやにっこい笑みを浮かべ、淫花から指を引き抜いた。
 ぐったりと寝そべるブレアをひっくり返し、うつぶせにしてからローブを腰の位置までめくり上げる。白くて小さい臀部の下で、鮭肉色の割れ目がつややかな光を発する。

 抵抗しようにも体が言うことを聞かず、ブレアはされるがままになっていた。
 その様を見るでもなく眺め、ラザレスは襟元をゆるめてクラヴァットを投げ捨てる。次いで腰のベルトを忙しなく鳴らし、下着から自身のそれを取りだした。

「挿れるぞ」

 うるんだ淫花を割り広げ、ラザレスは硬く尖った陰茎をあてがった。敏感なところを押し当てられ、ブレアは「んんっ」と声を上擦らせる。

 仮初めの『ブレンダ』ではなく、『ブレア』として犯されようとしている――その事実に、ブレアは頬を引きつらせた。
 経歴を詐称し、自分ではない誰か・・を演じることで「騎士の誇り」を守っていたが、それももう叶わない。
 ずっと隠し続けてきた女という性別を暴かれる。それも、淫乱で卑しいΩとして。

「やっ、やだ……!」

 息を吹き返したようにもんどり打ち、抵抗するも、後背位の状態で組み敷かれた。自身よりもはるかに体の大きいラザレスに押さえつけられ、身をよじることすらままならない。

「アア゛ッ!」

 瞬間、ズンと体の内側を貫かれ、まなじりを決して短く叫んだ。自分より大きなラザレスに圧し掛かられ、自ずと声が低くなる。急な挿入に対応しきれなかったのか、蜜壺はヒリヒリとした疼痛にわなないていた。

「少しは優しくするつもりだったが、暴れるなら仕方ないな」

 自分本位な抽送を繰り返し、ラザレスはブレアの耳元でささやいた。淫花から発せられる痛みに耐え切れず、ブレアは色気のない声でよがり鳴く。

「いたいっ、やだ、やだ……! 抜いて、ぬいてえっ!」

 みっともなくべそをかきながら、半狂乱でかぶりを振った。女としていたぶられる恐怖と苦痛が、脳内でパニックを引き起こす。
 冷静に考えれば、戦場で負傷した時のほうがよっぽど痛くて怖いはずだ。頭では理解しているも、狼狽えずにはいられない。

「タウンゼント家の嫡男が、だらしないな」

 ラザレスはひと際大きく腰を打ち付け、嘲笑交じりにつぶやいた。
 まだ解れきっていない最奥をぐりぐりと押し込まれ、ブレアは甲走った声を発する。

「ちょっとは耐えてみたらどうだ? 百戦錬磨の騎士様なんだろ?」

 意地悪くささやかれ、ブレアは口を引き結んだ。騎士であることを引き合いに出され、汚辱感が湧き上がる。
 ブレアのそうした姿に愉悦の表情を浮かべながら、ラザレスは結合部に手を遣った。背後から腕を伸ばし、限界まで広がった粘膜をつう、となぞる。そのじれったさに、ブレアは口を堅く閉ざしたまま肩を細かく震わせた。

「ン、くう……」

 痛みとこそばゆさが混ざり合い、甘い痺れとなって下腹を覆う。ラザレスは腰の動きを止め、淫花の頂点の突起に触れる。

「はううっ……!」

 ブレアは総身を大仰に揺らし、甲走った声を発した。赤く充血した肉豆を指で扱かれるたび、痛みが快感に転位していく。
 焦らすように触られるたび、膣全体がキュンキュンとうねるのだ。そうした動きに応えるように、膣内の陰茎がドクドクと脈を打っている。

「あ、アア……。あん、ん……」

 ブレアはうっとりと目を潤ませ、口角をゆるませた。準備が整っていなかった蜜壺もぐずぐずに溶け崩れ、その先の行為を期待している。気付けば彼の指の動きに合わせ、股間がもぞもぞ揺れていた。
 そうなることを見越していたのか、ラザレスはパァン、と勢いよく腰を打ち付けた。瞬間、頭のなかに火花が散り、ブレアは「ひぎっ!?」と甘く鳴く。

「アアッ! あ、アンっ、う、んんっ!」

 荒々しいストロークに合わせ、媚を売るような嬌声が押し出される。
 先ほどの痛みを帳消しにするかのように、ブレアはへこへこと腰を揺らした。たくし上げたローブから覗く白い臀部が、興奮でうっすらと色付いている。
 性感帯を少しいじられただけなのに、淫花は悦びの涙で溢れていた。ブレアは「あ」とも「お」ともつかない声を発しながら、与えられた快楽を夢中で貪る。

「さっきは痛がってたくせに、もう良くなってきたのか」
「んあっ、ン、ひッ、アアっ!」
「返事をする余裕もないんだな」

 ラザレスは小馬鹿にするような口ぶりで鼻を鳴らし、上半身を屈めた。後背位でよがるブレアに圧し掛かる格好だ。次いで栗色の髪を掻き分け、白いうなじに目を落とす。

「……噛ませろ」

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