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3-3 再会と邂逅
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木箱に押し込められたまま投げ出され、ブレアは「ギャッ!」と悲鳴を上げた。
「殺す気か!?」
内側からふたを開けて上体を起こし、目の前の老婆をねめつける。
見えた景色はアーカスターの自室と大差ない質素な小部屋。ブレアは周囲を見渡し、そのみすぼらしさにため息をついた。
二日もかけて移動したのだから、もう少し見栄えの良い部屋に通されると思い込んでいたのだが。
豪華絢爛な東洋の後宮とは似ても似つかないどころか、これではただの独房だ。これが城のなかの一室だなんて、にわかには信じ難い。
ブレアは部屋の様子を一通り眺めると、クラリスに睨みを利かせた。体中の関節をばきばきと鳴らし、聞こえよがしに悪態をつく。
「まったく。主人を積み荷扱いするとは、どういう神経してるんだ」
後宮入りするΩだとばれないよう、旅の途中で無理やり木箱に押し込められたのだ。後宮の存在は極秘である以上やむを得ないとはいえ、もう少しマシな方法はあっただろうに。
「大げさです。アーカスターの山脈を徹夜で行軍したことを思えば、こんなの屁でもないでしょう?」
クラリスはトランクを開け、いけしゃあしゃあと言葉を返した。首の違和感が取れないことに苛立ちを覚えつつ、ブレアは肩をそびやかす。
「やかましい。こんな酷い扱い、戦場でも受けたことないぞ」
ぼすん、とベッドに座り込み、恨み節で切り返した。Ωの人権は軽視されがちとはいえ、ここまでの仕打ちをする人間はそうそういない。
やはり、この老婆は頭がおかしい――そんなことを考えつつ、ブレアはクラリスに目を遣った。
「それで、受け入れの手続きは済んだのか?」
ベッドの上で体の凝りをほぐし、荷解きをする老婆に投げかける。クラリスはこちらを見向きもせず、恬淡と応じた。
「もちろんです。例の張り型も検分していただきましたよ」
その言葉にアーカスターを発つ前夜を思い出し、ブレアは苦々しく目を細めた。
純潔を証明すべく、イチモツを模した玩具を突っ込まれたのだ。処女の鮮血が付着していれば、王族に捧ぐΩとして認めてもらえる。
「悪趣味すぎて反吐が出る」
唾棄するように言い捨て、ブレアは憎々しげに顔をしかめた。クラリスはトランクに詰めた衣服をチェストに入れ替え、鼻を鳴らす。
「あら、お言葉には気をつけなさいませ、ブレンダお嬢様?」
取ってつけたような、わざとらしい口ぶりだ。まぜっかえすような振る舞いに、ブレアは前のめりになって気色ばむ。
とはいえ、これからは『令嬢』として過ごさねばならないのもまた事実。普段なら絶対身につけない女物の衣服をまとう自分の姿に目を落とし、肩を落とす。
上下がつながったシュミーズに、丈の長いローブ上の上着。自身の瞳と同じオリーブ色のそれには、控えめながらも装飾が施されている。
社交の場に着ていくにはラフだが、部屋着としては妥当だろう。過剰に着飾ったところで、どうせ後宮の外には出られない。
若草色の刺しゅうを指でいじりつつ、ブレアは不服そうに目を細めた。
いよいよ後宮のΩとして振舞う時が来てしまった。少なくともラザレスの前では、相応の態度を心掛けねばならない。騎士である『ブレア』はもう、死んだのだ。
「できるだろうか……」
この世の終わりとばかりに頭を抱え、ブレアは嘆息した。
物心ついた時から剣を握り、アーカスターの高原を駆け回って暮らしてきたのだ。今さら温室育ちの『ご令嬢』として振舞うだなんて、猛獣に貴族の真似事をさせるようなものではないか。
「お父様のご提案とはいえ、受け入れたのはブレア様でしょう? しっかりしてください」
クラリスはうろんにこちらを見遣り、両手に抱えた雑貨を選り分けた。ブレアのものはチェストに放り、自身のはトランクに戻している。彼女もまた、ブレアの世話係として城に移住することになっていた。
宮中の下っ端メイドに扮して働きつつ、幽閉された主人に食事や物資をこっそり運ぶ。ブレアが後宮で生き延びるために欠かせない役割だ。
「私の名前はブレンダだ。そっちこそ、さっそく間違えているではないか」
畳みもせずチェストに突っ込まれていく自身の衣服を眺め、ブレアはまぜっかえすかのように鼻を鳴らした。日当たりの悪い室内に、だんだん気が滅入ってくる。
木箱に詰め込まれた状態で運ばれたため、ここが城のどこに位置するのか、ブレアは把握していない。窓の景色から察するに、一階の西側であることは確からしいが。
取ってつけたような造りであることから、後から増築した部屋なのだろう。後宮の建屋が人目につくのを避けるためか、建屋は鬱蒼とした雑木林で覆われている。
「一応、外に出られるらしいな」
背後に勝手口があることに気付き、ブレアは独り言のようにつぶやいた。「ちょっと見てくる」と声を掛け、さび付いたドアノブに手を掛ける。
「あまりうろつかないでくださいよ?」
荷物の仕分けをしながら、クラリスが声を張る。
ブレアは聞こえないふりをして、立て付けの悪い扉に自重を乗せた。現れた雑草の大群に、思わず頬を引きつらせる。
「うわぁ……」
爽やかな風が頬をなで、草の匂いが立ち込める。
小屋から林までの数メートル。手入れをすれば洗濯物が干せそうなスペースだが、肝心の「手入れ」はされていない。
ブレアは意を決し、草むらのなかに身を投じた。慣れないスカートに煩わしさを感じつつ、林のなかへ足を進める。
鬱蒼とした雑木林を歩いていると、石造りの壁が行く手を阻んだ。後宮の建屋を取り囲むように、端から端まで続いている。
脱走防止のために取り付けられたものだろう。屈強な兵士でもなければ、登るのは難しそうだ。
「この程度なら、ロープなしでも超えられる……」
生憎、ブレアは屈強な兵士であるため、あごに手を当て独りごちた。
この手の障害物を見ると、突破法を考えずにはいられないのだ。長年騎士をしてきた職業病とでもいうべきか。
実際に脱走すれば家名に傷がつくため、逃げるつもりはない。ないのだが、思いついたら試さずにはいられない。
ブレアはスカートをたくし上げ、塀の出っ張りに手を掛けた。
瞬間、頭上で「ギャッ」と声がした。何事かと考える暇もなく、褐色の物体が足元に落ちる。
「やりましたよ、お嬢様!」
背後の声に振り替えると、片づけを終えたであろうクラリスが、大股歩きで近寄ってきた。荷物に忍ばせていたであろうパチンコを手に、得意満面でブレアに向き直る。
「カモです。焼いて昼食にしましょう」
まるまる肥えた亡骸をむんずとつかみ、クラリスは颯爽と踵を返した。
先ほどの草むらで羽をむしって血を抜き、丸焼きにするつもりなのだろう。後宮の敷地内で獲物を狩れば、ブレアに食事を運ぶ手間が省ける。
「おまえはどこに行っても頼もしいな、クラリスよ……」
納屋から鉈を取りだし、慣れた手つきで野鳥の首を刎ねる老婆を眺め、ブレアは誰に聞かせるでもなくつぶやいた。ちょうど昼食の時間とあってか、ぐう、と腹の虫が鳴る。
この老婆がいればきっと、無人島に放り出されてもそれなりに暮らしていけるだろう――焚火で炙られる鶏肉を見るでもなく眺め、ブレアは生唾を飲み込んだ。
その後、ブレアは雑に刈り取られた草の上に腰かけると、こんがり焼けた肉にかぶりついた。
草が茂ったままでは作業し辛いからと言って、クラリスが適当に処理してくれたのだ。広場全体を整える時間はないため、ひとまずは必要なスペースだけ確保してくれた。
――先ほどまで大空を飛び回っていたであろう野鳥が、まさか小一時間で食肉に生まれ変わるとは。
肉汁したたる肉の塊に目を投じつつ、ブレアは頭のなかでつぶやいた。
毎度のことながら、クラリスの野生術には舌を巻く。本人曰く、戦場で培った『処世術』らしいが。
おろしたての服に肉汁がつかないよう気を配りながら、ブレアは鶏肉の骨を草むらに放った。片脚を食べ終え、残りの脚に取り掛かる。
皿やカトラリーの類は部屋に用意されていないため、当然ながら手づかみだ。長年兵士として暮らしてきた経緯もあり、こういった食事風景には慣れている。とはいえ、その姿は貴族令嬢とはかけ離れていた。
――こんなところを皇太子殿下に見られたら終わりだな。
そんなことを考えつつ、ブレアは野鳥の肉を貪り続ける。
クラリスはカモを焼き終えるや否や、「メイドの仕事がある」と言って慌ただしく後宮を去った。
次に来るのは夕食の時間だろうか。「新入りの雑用係」という位置付けのため、ブレアの世話をしていることを知る者はいない。そのくらい、後宮は極秘の存在なのだ。
当事者であるラザレスを除けば、場所まで把握しているのはクラリスくらいか。もし、彼女の身になにかあれば、ブレアは飢え死確定だ。
後宮のなかで干乾びた自分を想像し、顔を青くしていると、背後でガラッと音が聞こえた。考えるより先に、視線が頭上の窓に向く。
開け放たれたガラス戸から覗くのは、五年前に見た金髪と碧眼――。
「――肉、喰ってる…………」
ラザレスは目をぱちくりさせ、聞こえるかどうかの声でつぶやいた。ブレアは盛大に顔を引きつらせ、口の中のものを飲み下す。
「殺す気か!?」
内側からふたを開けて上体を起こし、目の前の老婆をねめつける。
見えた景色はアーカスターの自室と大差ない質素な小部屋。ブレアは周囲を見渡し、そのみすぼらしさにため息をついた。
二日もかけて移動したのだから、もう少し見栄えの良い部屋に通されると思い込んでいたのだが。
豪華絢爛な東洋の後宮とは似ても似つかないどころか、これではただの独房だ。これが城のなかの一室だなんて、にわかには信じ難い。
ブレアは部屋の様子を一通り眺めると、クラリスに睨みを利かせた。体中の関節をばきばきと鳴らし、聞こえよがしに悪態をつく。
「まったく。主人を積み荷扱いするとは、どういう神経してるんだ」
後宮入りするΩだとばれないよう、旅の途中で無理やり木箱に押し込められたのだ。後宮の存在は極秘である以上やむを得ないとはいえ、もう少しマシな方法はあっただろうに。
「大げさです。アーカスターの山脈を徹夜で行軍したことを思えば、こんなの屁でもないでしょう?」
クラリスはトランクを開け、いけしゃあしゃあと言葉を返した。首の違和感が取れないことに苛立ちを覚えつつ、ブレアは肩をそびやかす。
「やかましい。こんな酷い扱い、戦場でも受けたことないぞ」
ぼすん、とベッドに座り込み、恨み節で切り返した。Ωの人権は軽視されがちとはいえ、ここまでの仕打ちをする人間はそうそういない。
やはり、この老婆は頭がおかしい――そんなことを考えつつ、ブレアはクラリスに目を遣った。
「それで、受け入れの手続きは済んだのか?」
ベッドの上で体の凝りをほぐし、荷解きをする老婆に投げかける。クラリスはこちらを見向きもせず、恬淡と応じた。
「もちろんです。例の張り型も検分していただきましたよ」
その言葉にアーカスターを発つ前夜を思い出し、ブレアは苦々しく目を細めた。
純潔を証明すべく、イチモツを模した玩具を突っ込まれたのだ。処女の鮮血が付着していれば、王族に捧ぐΩとして認めてもらえる。
「悪趣味すぎて反吐が出る」
唾棄するように言い捨て、ブレアは憎々しげに顔をしかめた。クラリスはトランクに詰めた衣服をチェストに入れ替え、鼻を鳴らす。
「あら、お言葉には気をつけなさいませ、ブレンダお嬢様?」
取ってつけたような、わざとらしい口ぶりだ。まぜっかえすような振る舞いに、ブレアは前のめりになって気色ばむ。
とはいえ、これからは『令嬢』として過ごさねばならないのもまた事実。普段なら絶対身につけない女物の衣服をまとう自分の姿に目を落とし、肩を落とす。
上下がつながったシュミーズに、丈の長いローブ上の上着。自身の瞳と同じオリーブ色のそれには、控えめながらも装飾が施されている。
社交の場に着ていくにはラフだが、部屋着としては妥当だろう。過剰に着飾ったところで、どうせ後宮の外には出られない。
若草色の刺しゅうを指でいじりつつ、ブレアは不服そうに目を細めた。
いよいよ後宮のΩとして振舞う時が来てしまった。少なくともラザレスの前では、相応の態度を心掛けねばならない。騎士である『ブレア』はもう、死んだのだ。
「できるだろうか……」
この世の終わりとばかりに頭を抱え、ブレアは嘆息した。
物心ついた時から剣を握り、アーカスターの高原を駆け回って暮らしてきたのだ。今さら温室育ちの『ご令嬢』として振舞うだなんて、猛獣に貴族の真似事をさせるようなものではないか。
「お父様のご提案とはいえ、受け入れたのはブレア様でしょう? しっかりしてください」
クラリスはうろんにこちらを見遣り、両手に抱えた雑貨を選り分けた。ブレアのものはチェストに放り、自身のはトランクに戻している。彼女もまた、ブレアの世話係として城に移住することになっていた。
宮中の下っ端メイドに扮して働きつつ、幽閉された主人に食事や物資をこっそり運ぶ。ブレアが後宮で生き延びるために欠かせない役割だ。
「私の名前はブレンダだ。そっちこそ、さっそく間違えているではないか」
畳みもせずチェストに突っ込まれていく自身の衣服を眺め、ブレアはまぜっかえすかのように鼻を鳴らした。日当たりの悪い室内に、だんだん気が滅入ってくる。
木箱に詰め込まれた状態で運ばれたため、ここが城のどこに位置するのか、ブレアは把握していない。窓の景色から察するに、一階の西側であることは確からしいが。
取ってつけたような造りであることから、後から増築した部屋なのだろう。後宮の建屋が人目につくのを避けるためか、建屋は鬱蒼とした雑木林で覆われている。
「一応、外に出られるらしいな」
背後に勝手口があることに気付き、ブレアは独り言のようにつぶやいた。「ちょっと見てくる」と声を掛け、さび付いたドアノブに手を掛ける。
「あまりうろつかないでくださいよ?」
荷物の仕分けをしながら、クラリスが声を張る。
ブレアは聞こえないふりをして、立て付けの悪い扉に自重を乗せた。現れた雑草の大群に、思わず頬を引きつらせる。
「うわぁ……」
爽やかな風が頬をなで、草の匂いが立ち込める。
小屋から林までの数メートル。手入れをすれば洗濯物が干せそうなスペースだが、肝心の「手入れ」はされていない。
ブレアは意を決し、草むらのなかに身を投じた。慣れないスカートに煩わしさを感じつつ、林のなかへ足を進める。
鬱蒼とした雑木林を歩いていると、石造りの壁が行く手を阻んだ。後宮の建屋を取り囲むように、端から端まで続いている。
脱走防止のために取り付けられたものだろう。屈強な兵士でもなければ、登るのは難しそうだ。
「この程度なら、ロープなしでも超えられる……」
生憎、ブレアは屈強な兵士であるため、あごに手を当て独りごちた。
この手の障害物を見ると、突破法を考えずにはいられないのだ。長年騎士をしてきた職業病とでもいうべきか。
実際に脱走すれば家名に傷がつくため、逃げるつもりはない。ないのだが、思いついたら試さずにはいられない。
ブレアはスカートをたくし上げ、塀の出っ張りに手を掛けた。
瞬間、頭上で「ギャッ」と声がした。何事かと考える暇もなく、褐色の物体が足元に落ちる。
「やりましたよ、お嬢様!」
背後の声に振り替えると、片づけを終えたであろうクラリスが、大股歩きで近寄ってきた。荷物に忍ばせていたであろうパチンコを手に、得意満面でブレアに向き直る。
「カモです。焼いて昼食にしましょう」
まるまる肥えた亡骸をむんずとつかみ、クラリスは颯爽と踵を返した。
先ほどの草むらで羽をむしって血を抜き、丸焼きにするつもりなのだろう。後宮の敷地内で獲物を狩れば、ブレアに食事を運ぶ手間が省ける。
「おまえはどこに行っても頼もしいな、クラリスよ……」
納屋から鉈を取りだし、慣れた手つきで野鳥の首を刎ねる老婆を眺め、ブレアは誰に聞かせるでもなくつぶやいた。ちょうど昼食の時間とあってか、ぐう、と腹の虫が鳴る。
この老婆がいればきっと、無人島に放り出されてもそれなりに暮らしていけるだろう――焚火で炙られる鶏肉を見るでもなく眺め、ブレアは生唾を飲み込んだ。
その後、ブレアは雑に刈り取られた草の上に腰かけると、こんがり焼けた肉にかぶりついた。
草が茂ったままでは作業し辛いからと言って、クラリスが適当に処理してくれたのだ。広場全体を整える時間はないため、ひとまずは必要なスペースだけ確保してくれた。
――先ほどまで大空を飛び回っていたであろう野鳥が、まさか小一時間で食肉に生まれ変わるとは。
肉汁したたる肉の塊に目を投じつつ、ブレアは頭のなかでつぶやいた。
毎度のことながら、クラリスの野生術には舌を巻く。本人曰く、戦場で培った『処世術』らしいが。
おろしたての服に肉汁がつかないよう気を配りながら、ブレアは鶏肉の骨を草むらに放った。片脚を食べ終え、残りの脚に取り掛かる。
皿やカトラリーの類は部屋に用意されていないため、当然ながら手づかみだ。長年兵士として暮らしてきた経緯もあり、こういった食事風景には慣れている。とはいえ、その姿は貴族令嬢とはかけ離れていた。
――こんなところを皇太子殿下に見られたら終わりだな。
そんなことを考えつつ、ブレアは野鳥の肉を貪り続ける。
クラリスはカモを焼き終えるや否や、「メイドの仕事がある」と言って慌ただしく後宮を去った。
次に来るのは夕食の時間だろうか。「新入りの雑用係」という位置付けのため、ブレアの世話をしていることを知る者はいない。そのくらい、後宮は極秘の存在なのだ。
当事者であるラザレスを除けば、場所まで把握しているのはクラリスくらいか。もし、彼女の身になにかあれば、ブレアは飢え死確定だ。
後宮のなかで干乾びた自分を想像し、顔を青くしていると、背後でガラッと音が聞こえた。考えるより先に、視線が頭上の窓に向く。
開け放たれたガラス戸から覗くのは、五年前に見た金髪と碧眼――。
「――肉、喰ってる…………」
ラザレスは目をぱちくりさせ、聞こえるかどうかの声でつぶやいた。ブレアは盛大に顔を引きつらせ、口の中のものを飲み下す。
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