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2-2 約束のメダル
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危なげなく勝ち進み、辿り着いた三回戦。次に進めば準決勝というのもあって、場内は緊迫した空気が漂っている。
出場者用のゲートが開き、ブレアは闘技場に足を踏み入れた。雲ひとつない空に浮かぶ太陽が、プレートアーマーを照り付けている。
古代の闘技場を模しているため、場内は円形の造りとなっている。それを見下ろす形で客席が設けられており、戦場とは異なる趣だ。
そうこうしているうちに相手も入場を済ませ、ふたりは互いに剣を取り合った。審判の合図と同時に、二本の白刃が交差する。
準々決勝というのもあり、これまでの対戦相手と比べて筋がいい。ブレアは兜のなかで目を丸くしながら、相手の一撃を受け止めた。
相手も同様に考えているのか、勇み足で間合いを詰めてきた。ブレアは剣を握り直し、隙を見て回避する。
先ほどから攻めの気が強い。こちらの実力を推し量り、闘志を燃やしているのだろうか。
冷静に考えつつも、ブレアは兜の下で口角を上げた。
初戦からずっと退屈な試合ばかりだったため、意図せずとも心が躍る。戦場ならともかく、こうした試合は命を取り合わなくていいから、気楽なものだ。
長引けば勝ち目はないと踏んだのか、相手は勇猛果敢に剣を振るった。そうした斬撃を軽くいなし、ブレアは次なる一手を考える。
勝ち急いでいるせいか無駄な動きが多いから、いずれ消耗するだろう。そこを突けば、確実に仕留められる。
相手もそのことに気付いているらしく、太刀筋に焦燥が滲んでいた。刹那、ヘルムの奥がかすかにきらめく。
――金色の髪に、青い瞳。
はっきり見たわけではないものの、即座に確信した。レンジイトンの第二皇太子・ラザレスだ。
ブレアはヘルムの下で一瞬、目を泳がせた。これまで攻撃を避け続けてきたが、相手がラザレスとなれば話が変わってくる。
負けるためには自ら斬られる必要があるものの、彼の一撃をまともに喰らえば負傷は免れなさそうだ。
ブレアは大会が終わり次第アーカスターに戻り、国境の防衛に従事せねばならない。出来ることなら、かすり傷程度で済ませたかった。
逡巡したのち、ブレアは足を踏み出した。振り下ろされたラザレスの剣が、左肩のアーマーに直撃する。関節の部分は装甲が厚いため、ダメージを受けにくいだろうと踏んだのだ。
「――そこまで!」
肩に衝撃が走ると共に、審判の声がした。我に返ったのか、ラザレスは残心の構えを解く。
「…………どうして?」
ヘルムから漏れ聞こえるかすかな声に引き寄せられ、ブレアはやにわに顔を上げた。
細かな格子の隙間から除くのは、困惑と怒りを混ぜたような青い瞳。わざと負けたことに気付き、腹を立てているのだろう。
並みならぬ怒気に畏怖を覚え、ブレアは咄嗟に目を逸らした。
審判に促されるがまま一礼し、足早に会場を去った。
ラザレスの一撃を受けた肩口が、こちらを責めるようにジンジン疼いた。この分なら大事には至らないだろうが、決まり悪さは拭えない。右肩のプレートアーマーに刻まれた太刀筋が、怨嗟のまなざしに見えてくる。
確かな実力差を見せつけておきながら、わざと負ける――その行為は、侮辱と取られてもおかしくはなかった。もし、自分が同じことをされたら、と考えると胸の奥処がズキンと痛む。
のっぴきならない事情があるとはいえ、真剣勝負を挑んできた相手に八百長を仕掛けたのだ。さすがに心苦しい。
選手用の控室に舞い戻り、ブレアは小さくため息をついた。ぎらりと光る彼の青い瞳が、まぶたの裏に焼き付いて離れない。
◇
自分の出番が終わった後も、ブレアは甲冑姿のまま控室で佇んでいた。
他の参加者に着替えを見られたら、女であることがばれるからだ。加えて、審査長を務める父の帰りを待たねばならない、というのもある。ブレアが途中敗退しようと、大会を最後まで見届けるという審査長の仕事は変わらない。
外からうっすらと漏れ聞こえる雑多な声に、ブレアはふと顔を上げた。無事に大会が終わり、観客たちが闘技場を後にしているのだろう。あと半刻もすれば父も審判長の任から解放されるはずだ。
そんなことを考えつつ、ヘルムの奥から部屋を眺めた。窓から差し込んだ夕焼けの光が、辺りを赤く染めている。
ブレアは息をつき、鎧を着たまま立ち上がった。
スタンレーの仕事が終わった頃合いを見て、彼のもとを訪れる約束だ。そろそろ、着替えたほうがいいだろう。
誰もいない控室を念入りに見まわし、ブレアは慎重に籠手を外した。
性別を偽って騎士をしているため、着替えを見られるわけにはいかないのだ。甲冑の下に男物のシャツとズボンを着ているとはいえ、体形までは誤魔化せない。
実際、女でも騎士になることは可能だが、大半が農民出身のうえ、戦果を挙げても下っ端止まりだ。名家タウンゼントの跡取りが女となれば、兵たちの士気は急降下するだろう。「戦場は男のもの」という価値観がいまだ根強いのだ。
ブレアは小さく息を尽きながら、着々と装備を外していった。
腕の装備を外し、鋼鉄の靴を脱ぎ、脛当ても取り払う。これで手足は元通りだ。ヘルムの隙間から見える華奢な四肢に嫌気が差しつつ、ブレアは肩当てに手を掛ける。
食事や運動に気を配っているにもかかわらず、この身はちっとも雄々しくならない。それが最大のコンプレックスだった。
やはり女では無理なのだろうか。これまでは「子どもだから」で通してきたが、そろそろ別の言い訳を用意する必要がありそうだ。
悶々としながら考えあぐねていると、扉の軋む音で我に返った。
父ではない。ブレアはヒュッと喉を鳴らし、着替えの手を止めた。幸い、露出しているのは腕と足のみ。さすがにこれだけで女とばれることはなさそうだ。
「なんだ、まだ着替えてないのか」
麦わら帽子をかぶった青年が、うろんに声を発した。頭がすっぽり隠れてしまいそうな、かなり大ぶりの帽子だ。
見るからに農夫が着用していそうな代物だが、首から下は商人の恰好をしている。なにを着ようが個人の勝手とはいえ、かなりちぐはぐな印象だ。
「もう大会は終わったぞ?」
だから、さっさと着替えろ――青年はそう言わんばかりにブレアに近付いた。
背が高く、健康的な肌色をした快男児。すらりと引き締まった四肢には、うっすらと筋肉が乗っている。
青年は足元の木箱を手繰り寄せると、椅子代わりにどっかりと座った。そして、ブレアの頭からつま先までを、無遠慮にじろじろ見つめている。
その拍子に、帽子の下で真っ青な光彩がきらめいた。ちぐはぐな服に似合わない端正な顔立ちが、いたずらっぽく破顔する。
「おまえ、三回戦で俺と当たったろ? その肩の傷、俺が斬ったやつだ」
青年は嬉々として立ち上がり、ブレアの甲冑に触れた。
間違いない。レンジイトン第二皇太子、ラザレス・アーサー・ヴァルモーデン=レンジイトンだ。
出場者用のゲートが開き、ブレアは闘技場に足を踏み入れた。雲ひとつない空に浮かぶ太陽が、プレートアーマーを照り付けている。
古代の闘技場を模しているため、場内は円形の造りとなっている。それを見下ろす形で客席が設けられており、戦場とは異なる趣だ。
そうこうしているうちに相手も入場を済ませ、ふたりは互いに剣を取り合った。審判の合図と同時に、二本の白刃が交差する。
準々決勝というのもあり、これまでの対戦相手と比べて筋がいい。ブレアは兜のなかで目を丸くしながら、相手の一撃を受け止めた。
相手も同様に考えているのか、勇み足で間合いを詰めてきた。ブレアは剣を握り直し、隙を見て回避する。
先ほどから攻めの気が強い。こちらの実力を推し量り、闘志を燃やしているのだろうか。
冷静に考えつつも、ブレアは兜の下で口角を上げた。
初戦からずっと退屈な試合ばかりだったため、意図せずとも心が躍る。戦場ならともかく、こうした試合は命を取り合わなくていいから、気楽なものだ。
長引けば勝ち目はないと踏んだのか、相手は勇猛果敢に剣を振るった。そうした斬撃を軽くいなし、ブレアは次なる一手を考える。
勝ち急いでいるせいか無駄な動きが多いから、いずれ消耗するだろう。そこを突けば、確実に仕留められる。
相手もそのことに気付いているらしく、太刀筋に焦燥が滲んでいた。刹那、ヘルムの奥がかすかにきらめく。
――金色の髪に、青い瞳。
はっきり見たわけではないものの、即座に確信した。レンジイトンの第二皇太子・ラザレスだ。
ブレアはヘルムの下で一瞬、目を泳がせた。これまで攻撃を避け続けてきたが、相手がラザレスとなれば話が変わってくる。
負けるためには自ら斬られる必要があるものの、彼の一撃をまともに喰らえば負傷は免れなさそうだ。
ブレアは大会が終わり次第アーカスターに戻り、国境の防衛に従事せねばならない。出来ることなら、かすり傷程度で済ませたかった。
逡巡したのち、ブレアは足を踏み出した。振り下ろされたラザレスの剣が、左肩のアーマーに直撃する。関節の部分は装甲が厚いため、ダメージを受けにくいだろうと踏んだのだ。
「――そこまで!」
肩に衝撃が走ると共に、審判の声がした。我に返ったのか、ラザレスは残心の構えを解く。
「…………どうして?」
ヘルムから漏れ聞こえるかすかな声に引き寄せられ、ブレアはやにわに顔を上げた。
細かな格子の隙間から除くのは、困惑と怒りを混ぜたような青い瞳。わざと負けたことに気付き、腹を立てているのだろう。
並みならぬ怒気に畏怖を覚え、ブレアは咄嗟に目を逸らした。
審判に促されるがまま一礼し、足早に会場を去った。
ラザレスの一撃を受けた肩口が、こちらを責めるようにジンジン疼いた。この分なら大事には至らないだろうが、決まり悪さは拭えない。右肩のプレートアーマーに刻まれた太刀筋が、怨嗟のまなざしに見えてくる。
確かな実力差を見せつけておきながら、わざと負ける――その行為は、侮辱と取られてもおかしくはなかった。もし、自分が同じことをされたら、と考えると胸の奥処がズキンと痛む。
のっぴきならない事情があるとはいえ、真剣勝負を挑んできた相手に八百長を仕掛けたのだ。さすがに心苦しい。
選手用の控室に舞い戻り、ブレアは小さくため息をついた。ぎらりと光る彼の青い瞳が、まぶたの裏に焼き付いて離れない。
◇
自分の出番が終わった後も、ブレアは甲冑姿のまま控室で佇んでいた。
他の参加者に着替えを見られたら、女であることがばれるからだ。加えて、審査長を務める父の帰りを待たねばならない、というのもある。ブレアが途中敗退しようと、大会を最後まで見届けるという審査長の仕事は変わらない。
外からうっすらと漏れ聞こえる雑多な声に、ブレアはふと顔を上げた。無事に大会が終わり、観客たちが闘技場を後にしているのだろう。あと半刻もすれば父も審判長の任から解放されるはずだ。
そんなことを考えつつ、ヘルムの奥から部屋を眺めた。窓から差し込んだ夕焼けの光が、辺りを赤く染めている。
ブレアは息をつき、鎧を着たまま立ち上がった。
スタンレーの仕事が終わった頃合いを見て、彼のもとを訪れる約束だ。そろそろ、着替えたほうがいいだろう。
誰もいない控室を念入りに見まわし、ブレアは慎重に籠手を外した。
性別を偽って騎士をしているため、着替えを見られるわけにはいかないのだ。甲冑の下に男物のシャツとズボンを着ているとはいえ、体形までは誤魔化せない。
実際、女でも騎士になることは可能だが、大半が農民出身のうえ、戦果を挙げても下っ端止まりだ。名家タウンゼントの跡取りが女となれば、兵たちの士気は急降下するだろう。「戦場は男のもの」という価値観がいまだ根強いのだ。
ブレアは小さく息を尽きながら、着々と装備を外していった。
腕の装備を外し、鋼鉄の靴を脱ぎ、脛当ても取り払う。これで手足は元通りだ。ヘルムの隙間から見える華奢な四肢に嫌気が差しつつ、ブレアは肩当てに手を掛ける。
食事や運動に気を配っているにもかかわらず、この身はちっとも雄々しくならない。それが最大のコンプレックスだった。
やはり女では無理なのだろうか。これまでは「子どもだから」で通してきたが、そろそろ別の言い訳を用意する必要がありそうだ。
悶々としながら考えあぐねていると、扉の軋む音で我に返った。
父ではない。ブレアはヒュッと喉を鳴らし、着替えの手を止めた。幸い、露出しているのは腕と足のみ。さすがにこれだけで女とばれることはなさそうだ。
「なんだ、まだ着替えてないのか」
麦わら帽子をかぶった青年が、うろんに声を発した。頭がすっぽり隠れてしまいそうな、かなり大ぶりの帽子だ。
見るからに農夫が着用していそうな代物だが、首から下は商人の恰好をしている。なにを着ようが個人の勝手とはいえ、かなりちぐはぐな印象だ。
「もう大会は終わったぞ?」
だから、さっさと着替えろ――青年はそう言わんばかりにブレアに近付いた。
背が高く、健康的な肌色をした快男児。すらりと引き締まった四肢には、うっすらと筋肉が乗っている。
青年は足元の木箱を手繰り寄せると、椅子代わりにどっかりと座った。そして、ブレアの頭からつま先までを、無遠慮にじろじろ見つめている。
その拍子に、帽子の下で真っ青な光彩がきらめいた。ちぐはぐな服に似合わない端正な顔立ちが、いたずらっぽく破顔する。
「おまえ、三回戦で俺と当たったろ? その肩の傷、俺が斬ったやつだ」
青年は嬉々として立ち上がり、ブレアの甲冑に触れた。
間違いない。レンジイトン第二皇太子、ラザレス・アーサー・ヴァルモーデン=レンジイトンだ。
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