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激甘革命編
第48話「王国壊滅!国王はカオスだった」⑤
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ほぼ同時刻の木苺ヶ丘中央公園―
アーサー元王子とアン元王女は命からがら人間界に到着し、護衛のパウンドも幼いミハイルとエリーザベトが入っている箱を抱え、到着した。アーサー達が到着した場所は、所々雪解けしているが、殆ど銀世界と化した広場であった。
「やっと…到着したか…重光さん、我々はこれから…」
「ドスッ…」
「お兄様っ!!!!!」
元王子がパウンドに問いかけようとした刹那、黒いもやが刃のようにアーサーの背中に直撃し、アーサーはみるみるうちにその姿を変えていく…
「ボコッ…ボコッ…」
まるで風船が膨らみだすかのように、元王子の姿はみるみるうちに雪のように白いカオスイーツへと変化を遂げた。
「ひぃっ…」
「アン様!2人と共にマジパティと勇者達の所へ向かうのです!!!」
パウンドは箱を開け、怯えるアンに彼女の幼い弟妹を託す。
「で、でも…」
「迷っている暇などございませぬ!私が時間稼ぎをしているうちに、早く!!!」
咄嗟に盾を取り出し、元王子だったカオスイーツと対峙するパウンドに厳しい声でそう告げられた元王女は、歩くことができないミハイルを抱きかかえ、エリーザベトの手を引きつつ、アテもない人間界の土地を駆けだした。
宮廷お抱えの家庭教師からは「人間界の事を学ぶ必要はない」として、人間界の事を全く知らないアン達…こんな土壇場で、いとこであるブロッサム公領で育ったカイル達が羨ましく思えるのはどうしてだろう…ここが人間界のどこかもわからぬとも知らず、アンはミハイルを抱えつつ、エリーザベトの手を引きながら、聞きなれぬ音のする方向へ走るが…
「あっ…」
「エリー!!!」
鋼鉄製の柵に差し掛かろうとしたところで、突然エリーザベトが雪道に足を滑らせ、転倒してしまい、アンも振り向いた瞬間、足を滑らせてしまった。
「ぽすっ…」
地面にぶつかるかと思った刹那、何か柔らかい感触がアンを抱き留め、アンが振り向くと黒髪のショートカットで、紫色のフレームのメガネの少女がアンをしっかり支えていた。そんな彼女の後ろには2人の少女と1人の少年が立っている。
「幼い子を抱えながら走るのは、危ないですよ?」
「よかった…どこも怪我をしてないね…」
「泣かないで…」
アンがエリーザベトの方へ目を向けると、妹は泣きべそをかいているものの、藍色の髪の男の子に支えられながら、藍色の髪の女の子に濡れた服をタオルで拭いてもらっている。この「黒髪の少女ならマジパティを知っているかもしれない」…そう悟ったアンは、彼女に助けを請う事にした。
「わたくしは、アンジェリーヌ・シャルロット・クランベリー・オブ・シュガトピア…そして、この子は弟のミハイル。お願いです…わたくし達をマジパティと勇者のいる所へ…」
そう言いながらアンはミハイルを抱えながらかがもうとすると、瑞希の背後にいるハチミツ色のボブカットの少女が、カバンから紫色の宝石がついたスプーンを取り出しながら、フッと微笑む。
「私、マジパティなのよね…事情はわからないけど、この公園にカオスイーツが現れたんでしょ?」
「は、はい…」
玉菜の妙に落ち着いた表情に、アンは思わず拍子抜けする。
「瑞希達は、お姫様達とゆっきーの家に!!!行くわよ、いちごん!幼な妻ちゃん!」
「あぁ!!!」
「了解ですっ!」
一悟達が公園の中へ駆け込んだことを確認した瑞希は、冷斗とみかんと共にアン達を連れて氷見家の屋敷へと歩きだす。
「ドシュッ…バシュッ…」
カオスイーツ化したアーサーは、雪原に溶け込み、端から見れば「出入り口のない巨大なかまくら」と化している。カオスイーツは全身のいたるところからメレンゲ状の泡を飛ばし、巨大な盾で泡を弾く騎士団長代理にけん制を何度も何度も繰り返す。
「くっ…このままでは盾がもたぬ…アン様…」
徐々に亀裂が入る巨大な盾…それもお構いなしに、カオスイーツは攻撃を続ける。そこへ…
「クリームバレットショット!!!」
「ミルフィーユリフレクション!!!」
騎士団長代理の背後から2人の少女の声がして、振り向くとそこにはピンクと白銀のマジパティが無数の泡を相殺し、黄色のマジパティは杖を構え…
「プディングメテオ!フランベ!!!!!」
そう言い放ったと同時に、カオスイーツ本体の頭上に熱を持った巨大な球体が現れ、カオスイーツは球体の下敷きとなってしまった。
「君達がマジパティか…かたじけない…」
盾の騎士の言葉に、一悟達は黙って頷いた。
「私はパウンド・ケーキ…シュガトピア王国騎士団に所属していたものだ。アン様は…」
「お姫様達は安全な所へ避難させたわ。でも、スイーツ界のお姫様がどうしてここに?」
「そ、それは…」
盾の騎士がクリームパフの問いかけに答えようとした刹那、3人のマジパティ達の足元の雪がカオスイーツと一体化し、瞬く間に3人のマジパティ、4人の精霊、そして盾の騎士をカオスイーツの中へあっという間に飲み込んでしまった。
アーサー元王子とアン元王女は命からがら人間界に到着し、護衛のパウンドも幼いミハイルとエリーザベトが入っている箱を抱え、到着した。アーサー達が到着した場所は、所々雪解けしているが、殆ど銀世界と化した広場であった。
「やっと…到着したか…重光さん、我々はこれから…」
「ドスッ…」
「お兄様っ!!!!!」
元王子がパウンドに問いかけようとした刹那、黒いもやが刃のようにアーサーの背中に直撃し、アーサーはみるみるうちにその姿を変えていく…
「ボコッ…ボコッ…」
まるで風船が膨らみだすかのように、元王子の姿はみるみるうちに雪のように白いカオスイーツへと変化を遂げた。
「ひぃっ…」
「アン様!2人と共にマジパティと勇者達の所へ向かうのです!!!」
パウンドは箱を開け、怯えるアンに彼女の幼い弟妹を託す。
「で、でも…」
「迷っている暇などございませぬ!私が時間稼ぎをしているうちに、早く!!!」
咄嗟に盾を取り出し、元王子だったカオスイーツと対峙するパウンドに厳しい声でそう告げられた元王女は、歩くことができないミハイルを抱きかかえ、エリーザベトの手を引きつつ、アテもない人間界の土地を駆けだした。
宮廷お抱えの家庭教師からは「人間界の事を学ぶ必要はない」として、人間界の事を全く知らないアン達…こんな土壇場で、いとこであるブロッサム公領で育ったカイル達が羨ましく思えるのはどうしてだろう…ここが人間界のどこかもわからぬとも知らず、アンはミハイルを抱えつつ、エリーザベトの手を引きながら、聞きなれぬ音のする方向へ走るが…
「あっ…」
「エリー!!!」
鋼鉄製の柵に差し掛かろうとしたところで、突然エリーザベトが雪道に足を滑らせ、転倒してしまい、アンも振り向いた瞬間、足を滑らせてしまった。
「ぽすっ…」
地面にぶつかるかと思った刹那、何か柔らかい感触がアンを抱き留め、アンが振り向くと黒髪のショートカットで、紫色のフレームのメガネの少女がアンをしっかり支えていた。そんな彼女の後ろには2人の少女と1人の少年が立っている。
「幼い子を抱えながら走るのは、危ないですよ?」
「よかった…どこも怪我をしてないね…」
「泣かないで…」
アンがエリーザベトの方へ目を向けると、妹は泣きべそをかいているものの、藍色の髪の男の子に支えられながら、藍色の髪の女の子に濡れた服をタオルで拭いてもらっている。この「黒髪の少女ならマジパティを知っているかもしれない」…そう悟ったアンは、彼女に助けを請う事にした。
「わたくしは、アンジェリーヌ・シャルロット・クランベリー・オブ・シュガトピア…そして、この子は弟のミハイル。お願いです…わたくし達をマジパティと勇者のいる所へ…」
そう言いながらアンはミハイルを抱えながらかがもうとすると、瑞希の背後にいるハチミツ色のボブカットの少女が、カバンから紫色の宝石がついたスプーンを取り出しながら、フッと微笑む。
「私、マジパティなのよね…事情はわからないけど、この公園にカオスイーツが現れたんでしょ?」
「は、はい…」
玉菜の妙に落ち着いた表情に、アンは思わず拍子抜けする。
「瑞希達は、お姫様達とゆっきーの家に!!!行くわよ、いちごん!幼な妻ちゃん!」
「あぁ!!!」
「了解ですっ!」
一悟達が公園の中へ駆け込んだことを確認した瑞希は、冷斗とみかんと共にアン達を連れて氷見家の屋敷へと歩きだす。
「ドシュッ…バシュッ…」
カオスイーツ化したアーサーは、雪原に溶け込み、端から見れば「出入り口のない巨大なかまくら」と化している。カオスイーツは全身のいたるところからメレンゲ状の泡を飛ばし、巨大な盾で泡を弾く騎士団長代理にけん制を何度も何度も繰り返す。
「くっ…このままでは盾がもたぬ…アン様…」
徐々に亀裂が入る巨大な盾…それもお構いなしに、カオスイーツは攻撃を続ける。そこへ…
「クリームバレットショット!!!」
「ミルフィーユリフレクション!!!」
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「プディングメテオ!フランベ!!!!!」
そう言い放ったと同時に、カオスイーツ本体の頭上に熱を持った巨大な球体が現れ、カオスイーツは球体の下敷きとなってしまった。
「君達がマジパティか…かたじけない…」
盾の騎士の言葉に、一悟達は黙って頷いた。
「私はパウンド・ケーキ…シュガトピア王国騎士団に所属していたものだ。アン様は…」
「お姫様達は安全な所へ避難させたわ。でも、スイーツ界のお姫様がどうしてここに?」
「そ、それは…」
盾の騎士がクリームパフの問いかけに答えようとした刹那、3人のマジパティ達の足元の雪がカオスイーツと一体化し、瞬く間に3人のマジパティ、4人の精霊、そして盾の騎士をカオスイーツの中へあっという間に飲み込んでしまった。
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