201 / 248
激甘革命編
第44話「満員御礼!!サン・ジェルマン学園学園祭、開催!」⑦
しおりを挟む
2体のカオスイーツが浄化された事で、サン・ジェルマン学園の敷地全域は何事もなかったかのようにカオスイーツが暴れる前の状態に戻り、学園祭の活気を取り戻す。
「おぉ、ロミオ…どうしてあなたはロミオなの?」
「私はこの国の女帝エリザヴェータ…この私には子供がいない。だから姉の子供を、私の世継ぎとしてプロイセンから呼び寄せた!それなのに…」
玉菜と瑞希のクラスの「ロミオとジュリエット」、ネロのクラスの「エカチェリーナ2世」、グラッセと一華のクラスの「白雪姫」が休憩挟みつつ上演され、それぞれ絶賛されたのだが、白雪姫の方は継母役の一華が事あるごとと観客席のアランに目を向けるので、アンケートでは何故か高等部2年A組の劇だけ「継母こっち見んな!」などの感想が半数を占めた。当のアランは、講堂で配られていたポップコーンを貪っていたので、継母役の一華には気づいてなかったようだ。
やがて学園祭もフィナーレに差し掛かるところで、学園祭特別ゲストとしてあかね、黒亜、カーチェス、ユフィーナのピアノとバイオリンの四重奏が行われ、会場を魅了した。
「♪~」
学園祭も無事に終わり、勇者一家を含めた一般客達は楽し気に帰路に就く。そこから後夜祭に入り、グラウンドで他の生徒達に混ざってフォークダンスを踊る一悟とみるく、玉菜と瑞希を横目で見ながらユキは夕暮れの空を見上げる。本当なら一悟達みたいに、踊りたい相手と踊りたい…でも、相手は同じ肉体を共有している。踊れるわけなどない…ユキはグラウンドに背を向けると、そのままマルチメディア部の部室へ向かい、学園祭の片づけを始めた。
「準備に参加すらしてなかったんだもん…せめて、片づけくらいはやらないと…」
前夜祭のあと、キョーコせかんどが仲間のアンドロイドを呼んで飾り付けてくれた部室…その飾りを一つ一つ丁寧に外していく。結局、学園祭の間はずっと雪斗と会話すらしていない。入れ替わる時も、黙って入れ替わるだけ…そんな日々が続いている事に、ユキの寂しさは募るばかりだ。
「同じ身体なのに…何だか遠く感じる…結局、雪斗は一悟の事を追いかけているだけ…一悟とみるくが恋人同士になっても変わらなかったんだ…」
「それは違うと思います!」
パートナー精霊のガトーの強い言葉に、ユキは顔を上げる。ガトーは部室に置いてあった雪斗のカバンの中から、白いラッピングに水色のリボンで結ばれた小さな包みを取り出し、それをユキの近くに持ってくる。
「このプレゼント…後夜祭の時にユキに渡すように言われました…本当に一悟の事を追いかけているのなら、ユキにプレゼントを用意したりなどしませんよ?」
平皿に座る精霊は、そう言いながらユキに微笑む。
「黙っていれば女性が寄って来る雪斗でも、ユキとのやり取りはなかなかうまくいかないようです。ユキが言い返さなくなってからは、ずっと「どうしたら許してもらえるのか」考えていたみたいで…」
ユキはそっとプレゼントのリボンを解き、箱を開ける。そこに入っていたのは、アヤメの花の形をしたシルバーのネックレスが一つと一通の手紙…
「あの時は、軽々しくあしらってしまい、すまなかった。
最近のいちごんとみるくを見て、寂しく思う君を知っていながら
ああいう答え方をしたのは、僕ながら軽率だったと思う。
僕は君が誰を想っているのかはわからない。だけど、これだけは言える―
君が無邪気に笑えていれば、僕はそれでいい。」
その手紙を読み終えるや否や、ユキは思わず全身を震わせる。そんなユキの目から大粒の涙が零れ落ちる。
「ばか…どれだけ鈍いんだよ…一悟の倍は鈍いんじゃん…こんな手紙寄越されたら…僕…」
夕暮れの窓から、後夜祭のフィナーレを飾る花火が打ち上げられる。
『ますます雪斗の事を振り向かせたくなっちゃうじゃん…』
「おぉ、ロミオ…どうしてあなたはロミオなの?」
「私はこの国の女帝エリザヴェータ…この私には子供がいない。だから姉の子供を、私の世継ぎとしてプロイセンから呼び寄せた!それなのに…」
玉菜と瑞希のクラスの「ロミオとジュリエット」、ネロのクラスの「エカチェリーナ2世」、グラッセと一華のクラスの「白雪姫」が休憩挟みつつ上演され、それぞれ絶賛されたのだが、白雪姫の方は継母役の一華が事あるごとと観客席のアランに目を向けるので、アンケートでは何故か高等部2年A組の劇だけ「継母こっち見んな!」などの感想が半数を占めた。当のアランは、講堂で配られていたポップコーンを貪っていたので、継母役の一華には気づいてなかったようだ。
やがて学園祭もフィナーレに差し掛かるところで、学園祭特別ゲストとしてあかね、黒亜、カーチェス、ユフィーナのピアノとバイオリンの四重奏が行われ、会場を魅了した。
「♪~」
学園祭も無事に終わり、勇者一家を含めた一般客達は楽し気に帰路に就く。そこから後夜祭に入り、グラウンドで他の生徒達に混ざってフォークダンスを踊る一悟とみるく、玉菜と瑞希を横目で見ながらユキは夕暮れの空を見上げる。本当なら一悟達みたいに、踊りたい相手と踊りたい…でも、相手は同じ肉体を共有している。踊れるわけなどない…ユキはグラウンドに背を向けると、そのままマルチメディア部の部室へ向かい、学園祭の片づけを始めた。
「準備に参加すらしてなかったんだもん…せめて、片づけくらいはやらないと…」
前夜祭のあと、キョーコせかんどが仲間のアンドロイドを呼んで飾り付けてくれた部室…その飾りを一つ一つ丁寧に外していく。結局、学園祭の間はずっと雪斗と会話すらしていない。入れ替わる時も、黙って入れ替わるだけ…そんな日々が続いている事に、ユキの寂しさは募るばかりだ。
「同じ身体なのに…何だか遠く感じる…結局、雪斗は一悟の事を追いかけているだけ…一悟とみるくが恋人同士になっても変わらなかったんだ…」
「それは違うと思います!」
パートナー精霊のガトーの強い言葉に、ユキは顔を上げる。ガトーは部室に置いてあった雪斗のカバンの中から、白いラッピングに水色のリボンで結ばれた小さな包みを取り出し、それをユキの近くに持ってくる。
「このプレゼント…後夜祭の時にユキに渡すように言われました…本当に一悟の事を追いかけているのなら、ユキにプレゼントを用意したりなどしませんよ?」
平皿に座る精霊は、そう言いながらユキに微笑む。
「黙っていれば女性が寄って来る雪斗でも、ユキとのやり取りはなかなかうまくいかないようです。ユキが言い返さなくなってからは、ずっと「どうしたら許してもらえるのか」考えていたみたいで…」
ユキはそっとプレゼントのリボンを解き、箱を開ける。そこに入っていたのは、アヤメの花の形をしたシルバーのネックレスが一つと一通の手紙…
「あの時は、軽々しくあしらってしまい、すまなかった。
最近のいちごんとみるくを見て、寂しく思う君を知っていながら
ああいう答え方をしたのは、僕ながら軽率だったと思う。
僕は君が誰を想っているのかはわからない。だけど、これだけは言える―
君が無邪気に笑えていれば、僕はそれでいい。」
その手紙を読み終えるや否や、ユキは思わず全身を震わせる。そんなユキの目から大粒の涙が零れ落ちる。
「ばか…どれだけ鈍いんだよ…一悟の倍は鈍いんじゃん…こんな手紙寄越されたら…僕…」
夕暮れの窓から、後夜祭のフィナーレを飾る花火が打ち上げられる。
『ますます雪斗の事を振り向かせたくなっちゃうじゃん…』
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。


Another World〜自衛隊 まだ見ぬ世界へ〜
華厳 秋
ファンタジー
───2025年1月1日
この日、日本国は大きな歴史の転換点を迎えた。
札幌、渋谷、博多の3箇所に突如として『異界への門』──アナザーゲート──が出現した。
渋谷に現れた『門』から、異界の軍勢が押し寄せ、無抵抗の民間人を虐殺。緊急出動した自衛隊が到着した頃には、敵軍の姿はもうなく、スクランブル交差点は無惨に殺された民間人の亡骸と血で赤く染まっていた。
この緊急事態に、日本政府は『門』内部を調査するべく自衛隊を『異界』──アナザーワールド──へと派遣する事となった。
一方地球では、日本の急激な軍備拡大や『異界』内部の資源を巡って、極東での緊張感は日に日に増して行く。
そして、自衛隊は国や国民の安全のため『門』内外問わず奮闘するのであった。
この作品は、小説家になろう様カクヨム様にも投稿しています。
この作品はフィクションです。
実在する国、団体、人物とは関係ありません。ご注意ください。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる