激甘革命!マジパティ(分割版)

幕間

幕間①「明日香の進路」

「それで、明日香は今後どうしたい?友菓とここなは学校へ行く事が決まっているが…」

　セーラとトルテの結婚式の次の日、私はカフェの休憩時間を利用してブランシュ卿と話をすることにした。と言うのも、私はあの男との件で「カフェの手伝いをする」事しか話していないからだ。

　友菓は9月からマリーと一緒にサン・ジェルマン学園の国際学科に編入し、ここなは情報処理学科に編入する事がそれぞれ決まった…あーちゃんも「木津あいな」として中等部の英語の先生として生活を続けている…決まってないのは私だけ…

　やりたい事が無いわけじゃない…

　怖いの…自分がダークミルフィーユとして好き勝手してきたから、それに対する罪悪感もあるのだけど、それ以上にあの男が私にしてきた事に対する恐怖…また同じ事をされるんじゃないかと思うと、今でも吐き気が止まらなくなる…

「まぁ、無理にとは言わない。学校に行く、行かないの選択肢は明日香の自由だ。時間をかけて決めなさい。学校に通わなくても、高卒認定や資格が取れるのだし…」

「資格…?」

　ブランシュ卿の言葉に、私は思わず身を乗り出した。

　そう…私は混沌の魔女との戦いの時、新しい夢が出来たんだ…

　それは、看護師さんの資格を取ること!

「わ、私…看護師になりたいんです!!混沌の魔女との戦いの時、大賢者様が過去のグラッセを助けるのを見て…」

　ミルフィーユは誰かを回復させる能力がない…だけど、あの時大賢者様がAEDを使って過去のグラッセを助ける姿を見て、私は閃いたんだ。

　回復させる能力がなくても、回復させる知識があれば、その人を助けられるかもしれないって…

「医療の道か…私は医者で、アンヌは養護の先生をしている。医療の道はそんなに生易しいモノではないが、ついてこれるか?」
「はいっ!!ニコルやお母さんがなんと言おうと、私は看護師になりたいんです!!!」

　2人にはまだ話してはないけど、今夜辺りに話そう…私の新しい夢の事を…

「それなら、サン・ジェルマン学園の医療福祉学科の通信課程はどうだ?あの男が懲戒免職で学校から離れる事が決まったが、逆恨みで学校周辺を彷徨く危険性があるだろう。ならば、カフェを手伝いながら、通信課程で勉強した方が、あの男と接近する可能性は低くなるし、登校日は魔界のみんなと登校すれば良い話だ。近くには雪斗の家もあるし、当主様には後ほど私が話をしておく。」

　ブランシュ卿の提案に、私は勿論「はい」と答えた。自分の夢を認めて貰えた事…コレがどれだけ嬉しい事なのか、やっと理解する事が出来たから…

　その夜、私はニコルとお母さんに看護師さんになりたい事を話した。最初はびっくりされたけど、2人は笑わないで聞いてくれた。お金の心配はあったけど、そこは英雄おじさん経由で、おじいちゃんが学費を出してくれる事になった。

　もう私はひとりじゃない…応援してくれるみんながいる…みんなのためにも、絶対に立派な看護師さんになってみせるから…