激甘革命!マジパティ(分割版)

夜ノ森あかり

文字の大きさ
上 下
170 / 248
レインボーポット編

第41話「嵐を呼ぶ結婚式!絆が生み出すブレイブフォーム!!!」⑤

しおりを挟む
 一方、道の駅おにくるみでは、バウムクーヘンのカオスイーツが倒れている魔界のクリームパフに執拗に攻撃を続ける。羽根は傷つき、もはや銀髪の魔鳥まとり族に飛ぶ力は残されていない。そこへ、やっと2人のクリームパフが合流する。
「せいやっ!!!」
 ロングヘアーのクリームパフは、足の付け根が丸見えになるのも構わず、魔界のクリームパフの目の前でバウムクーヘンのカオスイーツを思いっきり蹴り上げる。
「バレットサーブ!!!」
 ショートヘアーのクリームパフは、クリームグレネードをテニスラケットに変化させ、光の玉をバウムクーヘンのカオスイーツに向けて次々と当てていった。
「いいサーブだわ、有馬!全米やウィンブルドン目指せばよかったんじゃない?」
「おあいにく様、あぁいう大会、俺にはあわないんでね…玉菜の方も、いいキック力だぜ?」
「伊達にテコンドーをたしなんではいないわ!フォンダンはトロ子をお願いっ!!!」

「はいでしゅ!!!ショコラヒーリング!!!!!」
 パートナーであるマジパティの言葉に、白い平皿に乗っている精霊は、頭上に大きなチョコレート状の球体を作り出し、その球体に傷ついた魔界のクリームパフとそのパートナー精霊を包み込んだ。

「フォンダンの奴、回復使えるのかよ…」
「フォンダンの回復魔法は強力なの。でも強力な分、あの子の身体に大きな負担がかかるから、滅多に使わないんだけどね?」
 パリでのクイニー・アマンとの戦いを思い出す。クイニー・アマンはとても強く、玉菜はその時、危うく命を落とすところだった。そこでフォンダンが使ったのが、回復魔法だった。回復魔法で玉菜は助かったが、問題はその後だった。

 知らなかったとはいえ、玉菜がクイニー・アマン相手に決め技を使った事が仇となり、フォンダンは傷つき、倒れてしまったのだった。

「さぁ、カオスイーツの中心は…」

 飛び掛かるカオスイーツを有馬に預け、玉菜は神経を研ぎ澄ます。索敵能力はプディングの方が高性能だが、プディングは別の場所にいる。それでも、3人のクリームパフと2人の精霊で弱点をみつけなければならない。玉菜は両目を閉じ、カオスイーツの動きを耳と鼻で感じ取った…

「そこっ!!!」

 ロングヘアーのクリームパフが両目を開いた刹那、白銀の髪をなびかせ、クリームグレネードの銃口からドリル状の弾丸を撃ち放った。その銃口の先に他の物体に擬態していたカオスイーツの頭部にドリル状の弾丸が炸裂し、カオスイーツの頭部の宝石を削り、貫く。
「これでこっちは一件落着ってとこか…」
 玉菜がカオスイーツの中心にダメージを与えた事で、有馬と戦っていたバウムクーヘンのカオスイーツは全て光の粒子となって消え去った。ダメージを受けたカオスイーツの中心はカオスジャンクと化し、クリームパフ達から離れようとするが、背後から飛んできた何かによって、光の粒子と化してしまった。
「それにしても、よく気づいたよな…入口にある看板の「おにくるみ」の「く」の曲げる部分…」
「私、エッフェル塔からカオスイーツを狙い打ったことがあるのよ?あのくらいの距離、どうという事はないわ。それに、私に射撃をススメてくれたイタリア人のお陰でもあるのかしらね…」
「イタリア人」という単語を口にする玉菜の表情は、どことなく哀しげだ。

 短期留学中に初恋の相手から教わった射撃…ある一件で完全に遠き人になった今でも、その思い出と経験を忘れたことはない。

 フォンダンによる魔界のクリームパフと精霊の回復も無事に終わり、フォンダンは玉菜の手のひらでぐったりしている。
「お疲れ様…」
 そう言いながら、玉菜はフォンダンを撫でようとするが…

「疲れた時の大みか饅頭、うまがっぺ?」
 どこから現れたのか、魔界の姿のトロールが大みか饅頭をフォンダンに食べさせている。
「トロ子…どこから来た?どこから…」
「いやー、いつもの公園からここまでが遠ぐてなぁ…時間かかちまったぁ…(いやぁ、いつもの公園からここまでが遠くてね…時間かかっちゃって…)」
 そんなやり取りの中、白いシュガーポットの中に身体を入れた男の精霊が、自分たちが助かっている事に気づいた。
「あ、あなた方は…」
「気が付いたか?俺達はお前らを助けに来たんだ。さぁ、勇者様の所へ行こうぜ!!!」
「場所、わかるの?」
「わがっけど、ここからだと遠ぐてなぁ…」
 過去の自分に場所を聞かれたトロールを、玉菜と有馬がジト目で見つめる。

「そんな事もあろうかと、トロールの跡をつけておいて正解だったようだな?」

 クリームパフ達の背後に、ブランシュ卿が立つ。
「場所の目星はついている!歩いて移動しているヒマなどない…私にまかせろ!!!」
 ブランシュ卿の持っている杖が地面を突くと、ブランシュ卿、3人のクリームパフ、2人の精霊はトロールをその場に残し、混沌の魔女のいる場所へと瞬間移動を始めた。

「ガレちん…玉菜達がしっかりしてるんだがら、あだすらは絶対に負げねっぺ!!!(ガレちん…玉菜達がしっかりしているんだから、あたし達は絶対に負けないわ!!!)」

 混沌の魔女のいる場所へと急ぐマジパティ達を見ながらつぶやく魔鳥族の1人は、まるで勝利を確信したかのように微笑む。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜 

八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。 第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。 大和型三隻は沈没した……、と思われた。 だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。 大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。 祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。 ※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています! 面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※ ※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 ***************************** ***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。*** ***************************** マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...