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レインボーポット編
第39話「大勇者の危機!!!カルマン少年と勇者モンブラン」①
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「モーガンが父親である国王を見限った以上、スイーツ界にいる必要なんてないもの…一家全員、人間界に亡命よ♪」
先ほどの双子の姉の言葉が、勇者クラフティの頭の中をよぎる。ブランシュ卿達の話を聞いたここなに、質問しようとしたが、ここなは酷く怯え、何も答えてはくれなかった。よっぽど信じたくない事だったのかもしれない。
「兄さん…スイーツ界で一体…何があったって言うんだよ…」
兄が昼休みに入ったタイミングで、クラフティは事情を知っている兄に説明を求めることにした。
「王位継承者の1人が…国王を見限ったって…」
弟の真剣な表情に、ガレットは「ふぅ」とため息をつく。
「ニコラス…お前、勇者となった割に、シュガトピアについて何も見てねぇんだな。おふくろが死んだときの事も…先代のブランシュ卿とライム枢機卿が失踪した時の事も…」
兄の思いがけない言葉に、クラフティは思わず絶句する。
「俺達は慈善団体でも、国のマスコットでもねぇんだ!!!俺達は生きてるんだよ…他の国民と同様に…」
その言葉は、まさしく…長い間募らせてきたシュガトピア国王や貴族に対する不満ともとれる言葉であった。
母の死は決して忘れたワケではない。思い出したくもなかった…勇者ガレットが騎士団の仕事で留守の時、突然国王の側近たちに病弱の母を連れて行かれ、必死に馬車を追いかけようとするものの、馬車は無慈悲にも幼いクラフティと母を引き離してしまった。柵から必死に手を伸ばし、幼いクラフティの真名を叫ぶ母…それが彼が見た、彼女の最後の姿だったのだから。
「母さんだって…あの時、俺が必死で守っていたら…」
「あの時のお前はまだ8歳…8歳の子供が丸腰で複数の大人相手に太刀打ちなんてできねぇ…問題はその後だ。おふくろは「国家転覆」を企てたって、無実の罪を着せられ、ディアマンテ塔に幽閉されてすぐに…身内…それも俺達の母親が冤罪で国に殺された以上、俺達がスイーツ界で暮らし続ける意味はねぇ…」
母のその後を聞かされたクラフティは、怒りで両肩を震わせつつ、第2王子の元へ嫁いだ姉が、なぜ人間界に来たのか、やっと理解した。
………
「それで、あらかじめエレナ一家は第2皇子共々、稀沙良市に亡命させたってワケ?んで、エレナの人間界の名前は…「佐倉えれな」…か。ありがとな、ヨハン…」
ブランシュ卿夫妻とアラン、マリアが人間界にやってきてもうすぐで1週間となる木曜日…今日のカフェ「ルーヴル」は定休日のため、大勇者は妹一家に会うべく、待ち合わせ場所である瀬戌駅近くのレストランへ向かおうとしていた。
「念のため、あいつらにも手土産も用意しとくかな…」
大勇者ガレットの妹には現在、7歳の息子・カイルと、5歳の娘・カレンがいる。そんな甥と姪のためにも、手ぶらで挨拶するのは伯父として気が引けるようで、大勇者は急いでレストラン近くのデパートへと急ぐ。
「グォンッ!!!!!」
まるで、青信号の横断歩道を渡ろうとしている大勇者の命を狙うかのように、高齢者夫婦2人が乗った白いプリウスが自動車側の赤信号を無視し、猛スピードで大勇者に襲い掛かった。
一瞬一瞬がコマ送りになるような状況に、1人の中年勇者は思わず目の前が真っ白になる。
「ププーーーーーーーーーーーーーッ!!!!」
「ドゴォォッ!!!!!!!!!」
「ガシャンッ!!!!!」
デパートの目の前の横断歩道で発生した事故に、ぞろぞろと野次馬達が群がり、救急車のサイレンが鳴り響く。すれ違う赤いライトを尻目に、女性パンクロッカーの姿をしたヒタムの口元がフッと吊り上がる。
「フフッ…今日こそ最期の刻よ…カルマン・ガレット・ブラーヴ・シュヴァリエ…」
先ほどの双子の姉の言葉が、勇者クラフティの頭の中をよぎる。ブランシュ卿達の話を聞いたここなに、質問しようとしたが、ここなは酷く怯え、何も答えてはくれなかった。よっぽど信じたくない事だったのかもしれない。
「兄さん…スイーツ界で一体…何があったって言うんだよ…」
兄が昼休みに入ったタイミングで、クラフティは事情を知っている兄に説明を求めることにした。
「王位継承者の1人が…国王を見限ったって…」
弟の真剣な表情に、ガレットは「ふぅ」とため息をつく。
「ニコラス…お前、勇者となった割に、シュガトピアについて何も見てねぇんだな。おふくろが死んだときの事も…先代のブランシュ卿とライム枢機卿が失踪した時の事も…」
兄の思いがけない言葉に、クラフティは思わず絶句する。
「俺達は慈善団体でも、国のマスコットでもねぇんだ!!!俺達は生きてるんだよ…他の国民と同様に…」
その言葉は、まさしく…長い間募らせてきたシュガトピア国王や貴族に対する不満ともとれる言葉であった。
母の死は決して忘れたワケではない。思い出したくもなかった…勇者ガレットが騎士団の仕事で留守の時、突然国王の側近たちに病弱の母を連れて行かれ、必死に馬車を追いかけようとするものの、馬車は無慈悲にも幼いクラフティと母を引き離してしまった。柵から必死に手を伸ばし、幼いクラフティの真名を叫ぶ母…それが彼が見た、彼女の最後の姿だったのだから。
「母さんだって…あの時、俺が必死で守っていたら…」
「あの時のお前はまだ8歳…8歳の子供が丸腰で複数の大人相手に太刀打ちなんてできねぇ…問題はその後だ。おふくろは「国家転覆」を企てたって、無実の罪を着せられ、ディアマンテ塔に幽閉されてすぐに…身内…それも俺達の母親が冤罪で国に殺された以上、俺達がスイーツ界で暮らし続ける意味はねぇ…」
母のその後を聞かされたクラフティは、怒りで両肩を震わせつつ、第2王子の元へ嫁いだ姉が、なぜ人間界に来たのか、やっと理解した。
………
「それで、あらかじめエレナ一家は第2皇子共々、稀沙良市に亡命させたってワケ?んで、エレナの人間界の名前は…「佐倉えれな」…か。ありがとな、ヨハン…」
ブランシュ卿夫妻とアラン、マリアが人間界にやってきてもうすぐで1週間となる木曜日…今日のカフェ「ルーヴル」は定休日のため、大勇者は妹一家に会うべく、待ち合わせ場所である瀬戌駅近くのレストランへ向かおうとしていた。
「念のため、あいつらにも手土産も用意しとくかな…」
大勇者ガレットの妹には現在、7歳の息子・カイルと、5歳の娘・カレンがいる。そんな甥と姪のためにも、手ぶらで挨拶するのは伯父として気が引けるようで、大勇者は急いでレストラン近くのデパートへと急ぐ。
「グォンッ!!!!!」
まるで、青信号の横断歩道を渡ろうとしている大勇者の命を狙うかのように、高齢者夫婦2人が乗った白いプリウスが自動車側の赤信号を無視し、猛スピードで大勇者に襲い掛かった。
一瞬一瞬がコマ送りになるような状況に、1人の中年勇者は思わず目の前が真っ白になる。
「ププーーーーーーーーーーーーーッ!!!!」
「ドゴォォッ!!!!!!!!!」
「ガシャンッ!!!!!」
デパートの目の前の横断歩道で発生した事故に、ぞろぞろと野次馬達が群がり、救急車のサイレンが鳴り響く。すれ違う赤いライトを尻目に、女性パンクロッカーの姿をしたヒタムの口元がフッと吊り上がる。
「フフッ…今日こそ最期の刻よ…カルマン・ガレット・ブラーヴ・シュヴァリエ…」
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