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勇者クラフティ編
第20話「泣いた鬼メイド!主は灼熱の炎の中へ…」③
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「もう大、大、大、大、大事件っ!!!大事件のニオイがするよ!」
昼休みになり、学園食堂の前で突然ユキが雪斗と入れ替わると言い出し、入れ替わったや否や、一悟、みるく、あずき、涼也、そしてシュトーレンの前でそう叫んだ。
「いきなりなんだよ…どこかの火薬戦隊の主題歌みたいな言い回しで…」
「それを言うなら、「科学戦隊」ですわよ?ていうか、それは風紀委員長の突然の失踪の事…ですわよね?」
あずきの言葉に、ユキは目をキラキラとさせながらうんうんと大きく頷く。今朝の風紀委員長の突然の失踪は、瞬く間に学園中に広がり、その範囲は高等部にも及ぶ。
「あの子…怪我をしているのに、学園中どこを探してもいないなんて…もしかすると…」
一悟達の脳裏に最悪の状況がよぎる…
「バサッ…」
一悟達の目の前に、古い新聞記事をプリントアウトしたものが置かれる。それは現在の瀬戌市がかつて瀬戌町、辺利井村、苔山村、桃ノ木村、胡桃野村…と、1つの町と4つの村に分かれていた頃の新聞記事…
「おじさま…」
「汀良は恐らく、住所として登録しているこの屋敷に連れて行かれただろう…私が苔桃台東駅に連れて行かれた時のように…」
「カオスなら絶対にやりかねない行為だ」と言わんばかりの表情に、一悟、みるく、あずき、シュトーレンは息を呑む。ユキと涼也は何のことだかわからない表情を浮かべるものの、深刻な事態である事は理解したようだ。
「「瀬戌市くるみの町大字鬼胡桃21-1」…か。元々ここって、瀬戌市で一番の心霊スポットで有名な廃墟だよ?」
ユキがそう言うと、一悟の表情が曇る。一悟は元々オバケやホラーな話が苦手で、幼いころにみるくの父親が出演した「世にも怪奇な物語」を見て、あまりの恐怖でみるくの隣で失神して以来、トラウマとなってしまったのだ。
「50年前の大火事で、屋敷の娘の家庭教師だったドイツ人女性が1人、奇跡的に無事だったらしいのね?使用人を含めた屋敷で暮らしていた人達の殆どは、遺体で見つかったんだけど…1人だけ、遺体が見つからなかったんだって。」
「確かに、この後日の新聞記事には、ドイツ人のクーゲルホップフ氏が唯一の生存者だと記されていたな。彼女も後に病院で行方不明となったが…」
ユキの説明に、下妻先生は何かを思い出したかのように話す。
「当時は「西幡豆家の呪いで消えたんじゃないか」ってウワサも出ていたんだけど、誰も信じなかったみたい。それで、インターネット普及と同時にそのウワサを聞きつけた心霊マニアや、廃墟マニアが次々と調べに向かったけど、未だに誰一人戻ってきていない…何かあると思わない?」
ユキの説明による恐怖をかき消すように、一悟は急いで昼食のカレーライスをたいらげる。
「ユキは仮に汀良がその廃墟に飛ばされたと考えるのなら、ついでにその心霊スポットとやらの要素を調べ上げる気ではあるまいな?」
その言葉に、ユキはバツが悪そうに無邪気に笑った。どうやら、図星のようだ。
『でも…一番心配なのは、玉菜の方だな…』
昼休みと同時に、玉菜は下妻先生に「用事があるから早退する」と言って、ティラミスのカバンを持ったまま下校してしまったのである。恐らく、昨日のやり取りで最悪の状況を感じ取ってしまったのだろう。あの時の玉菜の表情は青ざめていた…
「それにね、これはマカロンお姉ちゃんから聞いた事だけど、ティラミスとクグロフは同じ時期にブラックビターに入って、20年前にティラミスが京都に飛ばされるまでずーっとケンカが絶えなかったんだって。」
「それで20年ぶりに再会しても、仲は悪いままだったってことね。昨夜、媒体が火事で死んで、ブラックビターに入ってからの事を断片的にだけど、話してくれたわ。大半はクーゲルホップフ氏とクグロフの愚痴だったけどね。」
1人で考え込む下妻先生の隣で、ユキとシュトーレンがティラミスとクグロフの関係について話す。まるで点と点が繋がったかのように、2人の話で何かに気づいたのか、下妻先生はある事に気づく。
「あくまでクグロフに対する、我々の宣戦布告だ。仮に汀良を見つけたとしても、汀良の邪魔は絶対にするな!!!」
そう言い放つ下妻先生に、ユキの目はキラッと輝き、一悟はまるで「めんどくさい事を押し付けられた」と言わんばかりの顔をした。
昼休みになり、学園食堂の前で突然ユキが雪斗と入れ替わると言い出し、入れ替わったや否や、一悟、みるく、あずき、涼也、そしてシュトーレンの前でそう叫んだ。
「いきなりなんだよ…どこかの火薬戦隊の主題歌みたいな言い回しで…」
「それを言うなら、「科学戦隊」ですわよ?ていうか、それは風紀委員長の突然の失踪の事…ですわよね?」
あずきの言葉に、ユキは目をキラキラとさせながらうんうんと大きく頷く。今朝の風紀委員長の突然の失踪は、瞬く間に学園中に広がり、その範囲は高等部にも及ぶ。
「あの子…怪我をしているのに、学園中どこを探してもいないなんて…もしかすると…」
一悟達の脳裏に最悪の状況がよぎる…
「バサッ…」
一悟達の目の前に、古い新聞記事をプリントアウトしたものが置かれる。それは現在の瀬戌市がかつて瀬戌町、辺利井村、苔山村、桃ノ木村、胡桃野村…と、1つの町と4つの村に分かれていた頃の新聞記事…
「おじさま…」
「汀良は恐らく、住所として登録しているこの屋敷に連れて行かれただろう…私が苔桃台東駅に連れて行かれた時のように…」
「カオスなら絶対にやりかねない行為だ」と言わんばかりの表情に、一悟、みるく、あずき、シュトーレンは息を呑む。ユキと涼也は何のことだかわからない表情を浮かべるものの、深刻な事態である事は理解したようだ。
「「瀬戌市くるみの町大字鬼胡桃21-1」…か。元々ここって、瀬戌市で一番の心霊スポットで有名な廃墟だよ?」
ユキがそう言うと、一悟の表情が曇る。一悟は元々オバケやホラーな話が苦手で、幼いころにみるくの父親が出演した「世にも怪奇な物語」を見て、あまりの恐怖でみるくの隣で失神して以来、トラウマとなってしまったのだ。
「50年前の大火事で、屋敷の娘の家庭教師だったドイツ人女性が1人、奇跡的に無事だったらしいのね?使用人を含めた屋敷で暮らしていた人達の殆どは、遺体で見つかったんだけど…1人だけ、遺体が見つからなかったんだって。」
「確かに、この後日の新聞記事には、ドイツ人のクーゲルホップフ氏が唯一の生存者だと記されていたな。彼女も後に病院で行方不明となったが…」
ユキの説明に、下妻先生は何かを思い出したかのように話す。
「当時は「西幡豆家の呪いで消えたんじゃないか」ってウワサも出ていたんだけど、誰も信じなかったみたい。それで、インターネット普及と同時にそのウワサを聞きつけた心霊マニアや、廃墟マニアが次々と調べに向かったけど、未だに誰一人戻ってきていない…何かあると思わない?」
ユキの説明による恐怖をかき消すように、一悟は急いで昼食のカレーライスをたいらげる。
「ユキは仮に汀良がその廃墟に飛ばされたと考えるのなら、ついでにその心霊スポットとやらの要素を調べ上げる気ではあるまいな?」
その言葉に、ユキはバツが悪そうに無邪気に笑った。どうやら、図星のようだ。
『でも…一番心配なのは、玉菜の方だな…』
昼休みと同時に、玉菜は下妻先生に「用事があるから早退する」と言って、ティラミスのカバンを持ったまま下校してしまったのである。恐らく、昨日のやり取りで最悪の状況を感じ取ってしまったのだろう。あの時の玉菜の表情は青ざめていた…
「それにね、これはマカロンお姉ちゃんから聞いた事だけど、ティラミスとクグロフは同じ時期にブラックビターに入って、20年前にティラミスが京都に飛ばされるまでずーっとケンカが絶えなかったんだって。」
「それで20年ぶりに再会しても、仲は悪いままだったってことね。昨夜、媒体が火事で死んで、ブラックビターに入ってからの事を断片的にだけど、話してくれたわ。大半はクーゲルホップフ氏とクグロフの愚痴だったけどね。」
1人で考え込む下妻先生の隣で、ユキとシュトーレンがティラミスとクグロフの関係について話す。まるで点と点が繋がったかのように、2人の話で何かに気づいたのか、下妻先生はある事に気づく。
「あくまでクグロフに対する、我々の宣戦布告だ。仮に汀良を見つけたとしても、汀良の邪魔は絶対にするな!!!」
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